23話 奇数は前半パート偶数は後半パートアニメだと12話だね
一旦CM入りまーす
訓練室に、低く安定した駆動音が響いていた。
タートルウェアは前に出る。
重心は低く、動きは最小限。
派手さはないが、崩れない。
「いい動きだ、守」
剣の声が通信に入る。
「そのまま、立ち位置を崩すな」
「……はい」
守は短く答え、構えを解かない。
訓練用の敵機が動いた。
だが、守が一歩踏み出しただけで、動きが鈍る。
「……相変わらず、安定してるな」
昇がモニター越しに言った。
「前がこうだと、無駄に焦らなくて済む」
「だな」
焔も同意する。
守は返事をしなかった。
動きに問題はない。
判断も遅れていない。
それでも、胸の奥に引っかかるものがあった。
⸻
訓練終了の合図が鳴る。
タートルウェアが停止し、コックピットが開いた。
「お疲れ」
昇が軽く声をかける。
「今日も守の安定感凄かった」
「……はい」
守はそう答えたが、視線は下がったままだった。
昇は、その様子に気づく。
「どうした?」
守は一瞬、言葉に詰まる。
それから、ゆっくりと口を開いた。
「……もし、敵が来た時に」
一拍。
「僕は、どうすればいいんでしょうか」
昇は、すぐには答えられなかった。
⸻
守は、続ける。
「……戦うのが、怖いんです」
昇は、言葉を挟まずに聞いていた。
「父さんたちが、機械兵の支配を終わらせるために
どれだけやってきたかも、知っています」
「だから……覚悟は、しているつもりです」
守は拳を握る。
「それでも……怖いんです」
「僕が前に出て、失敗したら」
「皆に迷惑をかけるかもしれないって思うと……」
声は小さかったが、真剣だった。
⸻
「……正直に言うとさ」
昇は頭をかいた。
「俺、それがよく分かんない」
守が顔を上げる。
「え……?」
「怖いとか、怖くないとか」
昇は少し困ったように笑う。
「考えたこと、あんまりなくて」
「説明もされないまま放り込まれて」
「気づいたら、こうなってたし」
守は黙って聞いていた。
「親父の理不尽とか、説明不足とか」
「それに耐えるのが、普通だったからさ」
昇は肩をすくめる。
「だから……」
言葉を切る。
守を見る。
「でも――」
昇は、何かを言おうとした。
訓練での動き。
周りを見ていたこと。
一番冷静だったこと。
それを伝えようとした、その瞬間。
⸻
《警報》
低く、鋭い音が施設に鳴り響いた。
《未確認反応 接近中》
「……来たな」
焔の声が硬くなる。
剣の指示が続く。
昇は守を見る。
さっき言おうとした言葉が、喉に残ったままだ。
「守――」
「……はい」
守は答えたが、その表情にはまだ迷いが残っていた。
敵の姿は、まだ見えない。
それでも、時間は待ってくれない。
警報音が、間を詰めるように鳴り続ける。
守は、静かに拳を握った。
答えは、まだ出ていない。
だが――
考える暇は、もうなかった。




