21話 まだまだ続く訓練とキャラの掘り下げ
訓練施設の照明が落ち、仮想空間が展開された。
「連携テストを行う」
剣の声は淡々としている。
「相手は仮想機械兵、三体。
目的は撃破ではない。連携の確認だ」
「了解」
昇は短く答え、拳を握った。
隣では、焔が軽く首を回している。
「まあ、大丈夫だろ。
速さと火力は足りてる」
その言葉に、昇は小さく眉をひそめた。
(……足りてる、か)
⸻
開始と同時に、三体の機械兵が展開される。
最初に動いたのは焔だった。
高速噴射。
空中を滑るように移動しながら、火力を叩き込む。
爆圧と熱で、敵の隊列が一気に崩れた。
「今のうちに――」
昇が踏み込もうとした瞬間。
焔の次の一撃が、別方向に叩き込まれる。
敵が弾かれ、位置が大きくズレる。
「……っ!」
昇は進路を修正する。
最小限の動きで詰めようとするが、
熱と衝撃が邪魔をする。
「焔、ちょっと――」
「問題ない、まだ動く!」
焔は止まらない。
火力を“置く”ように、次々と攻撃を通す。
敵は確かに追い詰められている。
だが――
《エネルギー消費 増加》
「……減り方、早いな」
昇は歯を食いしばった。
(敵は動いてる。
でも……俺が殴る位置が、ねぇ)
無理に踏み込む。
その結果、動きが大きくなる。
敵は一体倒れた。
だが、効率は明らかに悪かった。
⸻
「一旦止めろ」
剣の声と同時に、仮想空間が解除される。
昇は息を吐いた。
「……倒せはしたけど」
焔も腕を下ろす。
「変だな。火力が足りてなかったかな」
守の声が、後方から冷静に入る。
「……朱雀の攻撃で敵は制圧されています」
「ですが、その影響で
昇の踏み込みが不安定になっています」
「要するに?」
昇が聞く。
「……焔が作った“場”に、
昇が入りづらい、ということです」
焔は少し考え込み、苦笑した。
「俺、敵しか見てなかったな」
剣が腕を組んだまま言う。
「朱雀は強い」
一拍置いて。
「だが、今のは連携じゃない」
焔は何も言い返さなかった。
昇も、黙って拳を握る。
(このままじゃ、ダメだ)
そう思った、その時だった。
⸻
警報が鳴り響く。
《警戒レベル上昇》
《実機反応 接近中》
「……訓練じゃないな」
昇が言う。
「実戦だ」
剣の声は低い。
「フェニックスウェア、タートルウェアは調整中。
出られるのは――」
「俺と昇、だろ」
焔が言った。
昇も頷く。
「噛み合ってないけどな」
「分かってる」
焔は軽く笑う。
「でも、行くしかない」
剣は短く言った。
「死ぬな」
⸻
戦場に出る。
実体の機械兵が、二体。
焔は即座に動いた。
高速移動。
火力で敵の進路を塞ぐ。
「動きは、止める!」
「分かってる!」
昇は隙を探して踏み込む。
だが、やはりズレる。
敵は倒せる。
それでも、余裕はない。
《エネルギー消費 過多》
「……くそ」
戦闘終了後、昇は吐き捨てた。
「勝ったけど、最悪だな」
「否定できねぇ」
焔も珍しく、真顔だった。
剣の声が通信に入る。
「朱雀の火力は、武器だ」
「だが――」
一拍置く。
「使い方を間違えれば、味方も削る」
焔は空を見上げた。
「……次は、間違えねぇ」
昇も、同じ方向を見る。
(次は――噛み合わせる)
答えは、まだ完全じゃない。
だが、
どこがズレているのかだけは、はっきりと見えていた。




