第2話 50年以上誰も行ってない月に来たら、城と街が建ってた?
以外と早かった
足が、しっかりと地面を踏んでいる。
ふわっと浮く感じはない。
跳ねても、普通に落ちてくる。
「……あれ?」
ドラゴンウェアの中で、俺――青空昇は首を傾げた。
「月って、もっとピョンピョンするもんじゃなかったっけ?」
視線を上げる。
白い大地の向こう。
そこにあるものを見た瞬間、言葉が止まった。
城。
地平線を突き破るように、異常なほど巨大な城がそびえ立っている。
山じゃない。どう見ても人工物だ。
「……城ってレベルじゃねぇだろ」
しかも、城の周囲には規則正しく並ぶ建造物。
道、塔、壁。
――街だ。
月に、街がある。
『……昇、聞こえるか?』
耳元の通信機から、父さんの声が届く。
いつもより少し低くて、慎重な声だ。
「聞こえる! ちゃんと聞こえてる!」
『無事か? 怪我はないか?』
「今のところは平気。てかさ……」
俺は前方を見つめたまま言った。
「月に城と街があるんだけど。これ、普通?」
一瞬の沈黙。
『……そんなはずはない』
『少なくとも、我々の想定にはない』
その言い方に、少し引っかかりを覚えた。
(……我々?)
父さん一人の話じゃない。
でも、その「我々」が誰なのか、俺には分からない。
聞き返そうとして――やめた。
今は、そんなことを聞いてる場合じゃない。
「だよな……」
父さんの声からしても、この光景は想定外らしい。
その時だった。
視界の端で、何かが動いた。
白い通路を、音も立てずに歩く影。
人の形をしているが、人じゃない。
金属の体。
無機質な顔。
「……機械兵か」
呟いた瞬間、それが一体じゃないことに気づく。
街のあちこちから、無言で現れる機械兵たち。
誰も武器を構えない。
だが、全員の視線が――俺に向いていた。
『昇、無理はするな』
父さんの声が、少しだけ硬くなる。
「分かってるって。でも……」
俺は一歩、前に出た。
「襲ってこない。ただ……見てるだけだ」
敵意は感じない。
でも、安心もできない。
まるで、管理されてるみたいだ。
次の瞬間――空気が変わった。
街の奥。
城の方角から、重たい何かが流れてくる。
音もない。
視線でもない。
ただ、分かる。
――ヤバいやつがいる。
機械兵たちが、一斉に動いた。
道を作るように、左右に整列する。
「……おいおい」
思わず乾いた笑いが出た。
「歓迎されてるって感じじゃないな、これ」
城の最上部。
そこから、何かがこちらを見下ろしている気がした。
姿は見えない。
でも、本能が告げている。
ここには、この街を支配してる存在がいる。
「父さん」
『何だ』
「はっきりとは分かんないけどさ」
俺は拳を握った。
「この場所、ただの戦場じゃない」
無言の機械兵。
規則正しい街。
そして、城から伝わってくる圧。
「……なんか、仕組みそのものが変な感じする」
『……気をつけろ』
「了解」
ドラゴンウェアが、低く唸る。
正直、怖くないと言えば嘘になる。
でも――
「ま、来ちまったもんは仕方ないよな」
俺は前を見据えた。
「とりあえず、様子見だ」
こうして俺は、
誰も知らない月の街へ、
ゆっくりと足を踏み入れた。
Q あのお月様にはなにが住んでると思う?
A 月には基地が5つ
大馬鹿者!!
月にはうさぎさんがいて餅をついておるのじゃ!!




