第13話 年上の従兄弟って初めて会う時大人に見える現象ってなんだろうね
白虎が構えた瞬間、空気が変わった。
機械兵たちが一斉に照準を白虎へ向ける。
だが遅い。
白虎は、消えた。
「は?」
昇の目が追いつかない。
次の瞬間には、白虎はすでに敵陣の中にいた。
白い機体が地面を蹴り、低空を滑るように突っ込む。
両腕の爪が展開される。
鋭く湾曲した巨大なブレード。
それが、閃いた。
機械兵の装甲が、まとめて引き裂かれる。
火花と破片が宙を舞った。
「ちょ、ちょっと待て!」
昇は思わず叫ぶ。
「あんた一人で無双してんじゃねぇか!」
『動けない青龍を守るのが先だ』
白虎は冷静だった。
次々と迫る機械兵を、正確無比に引き裂いていく。
まるで獣が群れを狩るような動き。
「レベルが違いすぎだろ……」
昇は操縦席で呆然とした。
自分はさっきまで必死で戦っていた。
だが白虎は、まるで別次元だ。
機械兵の一機が、白虎の死角から砲口を向ける。
「後ろだ!」
昇が叫ぶ。
だが白虎は振り向きもしない。
背後の気配を感じ取ったかのように、体をひねる。
巨大な爪が逆方向へ振り抜かれ、機械兵の上半身が吹き飛んだ。
「……反則だろそれ」
昇は乾いた笑いを漏らした。
「同じ四獣王だよな?」
『機体性能の差じゃない』
白虎の操縦者は淡々と言う。
『俺たちは、来る日を想定して準備してきた』
昇は一瞬、言葉を失った。
「……準備?」
『お前は、今日いきなり戦場に立たされた』
『だが俺たちは、前から知っていた』
胸の奥が、妙にざわついた。
「……戦うなんて、聞いてねぇよ」
白虎は、わずかに沈黙する。
『だろうな。叔父さんは、そういう人だ』
「そういう人で済ますな!」
昇は思わず叫んだ。
青龍の周囲から、敵影が減っていく。
白虎一機で、戦場の流れをひっくり返していた。
数分後。
最後の機械兵が爆散する。
戦場に、静寂が戻った。
「……終わった?」
昇は半信半疑で呟いた。
『ひとまずな』
白虎は青龍の前に立つ。
『だが、青龍は完全に無防備だ』
昇はモニターの数字を見る。
《エネルギー残量 6%》
「うん、知ってる。今めちゃくちゃ弱い」
『このままでは、次が来たら終わりだ』
「次って普通に言うな!」
白虎は少し間を置いてから言った。
『昇』
「ん?」
『……本当に、何も聞かされていないんだな』
昇は眉をひそめた。
「さっきから思ってたけどさ」
「なんで俺だけ全部初耳なんだよ」
白虎はわずかに沈黙した。
『……叔父さんらしいな』
「それどういう意味だ!」
白虎は青龍を見つめながら続ける。
『俺たちは、最初から覚悟してここにいる』
昇は操縦席で天井を仰いだ。
「親父……マジで後で覚えとけよ……」
こうして、四獣王の戦いは本格的に動き始めた。
だが昇だけが、圧倒的に遅れてスタートラインに立たされていた。




