第八羽 天罰
本屋から病院に戻り、後は病院内に入って病室に戻るだけになった。
「瑠香さんは点滴が下手だからまだ終わってないはずだ」
他の看護師たちに見つからないように注意をしながら病院に入った。
人も少なかったので無事に入れたと思った次の瞬間、背後から殺気を感じた。
「んっふっふ~どこに行ってたのかな~ね・こ・ま・くん?」
僕は後ろを振り向けずに、身体から嫌な汗が吹き出るのを感じた。
ゆっくりと首を後ろに回すとそこには笑顔で僕を見つめている瑠香さんがいた。
しかし目が笑っていない。
「さっきアタシは警告したよね~?」
「まだ点滴中のはずじゃ……」
「それが珍しくうまくいってねぇ」
「は、ハハ……」
「ふふふっ」
「あはは……っ」
「堂々と抜け出してんじゃねぇっ!」
スパコーンといい音と、瑠香さんの怒声が病院のロビーに響き渡った。
瑠香さんのスリッパは見事に僕の額を捕らえて僕の額には綺麗に赤い跡が残った。
「あぅ~……」
「ちゃんと反省しなっ」
「あ~い……」
何とか強烈な一発だけで解放してもらえた。
しかし次回からは本当に命がないかもなぁ。
もしかしたら手足を縛られて退院日まで動けなくされるかもしれない。
一応ナユにこういうのは控えるように頼んでみるか。
とりあえず買ってきた本の入った袋を握ってナユの病室に向かった。