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第三羽 再会
約束の十時になり、瑠香さんに指定された特別病棟に向かった。
特別病棟は一般病棟とは違い、行き交う人が少なく、自分の足音がよく聞こえた。
目的の部屋の前に着く前に二人の看護師たちとすれ違ったが気にせずに僕は進んだ。
三階の一番奥の部屋までたどり着き、入り口には『空閑那由多』と達筆な字で書かれていた。
「何て読むんだろ……」
とりあえずドアをノックしてみることにした。
すると中から瑠香さんの陽気な声が聞こえた。
僕は失礼しますと一声かけて中に入った。中は綺麗に片付いていて、椅子に腰を下ろしている瑠香さんと、ベッドに上半身だけを起こして座って右腕を吊っている昨日の女の子がいた。
「よぉ~よく来たねぇ」
「そりゃ瑠香さんのお仕置きが怖いですから」
「じゃ、あとは若い二人に任せるから。コウ、手は出しちゃダメよ?」
僕は反発しようとしたがそれを言う前に瑠香さんは立ち上がって手をヒラヒラさせながら部屋を出て行った。
なんともこんな密室で男女二人っきりというシチュエーションは……