第二十五羽 再勝負
コスプレの服を着たまま僕たちはナユの病室に集まった。
着替えたいと主張したが、三対一の多数決で負けた。
なぜ四人かと言うと翼が無投票だったためだ。
「二人とも人気者だねぇ」
「死ぬかと思った……」
「自分は儲かった~♪」
「那由多、アンタそんなに金をもらって使うのかい?」
笑顔でお札を数えるゴスロリ美少女って絵が変な感じがした。
「もちろん。本とソラを飛ぶための材料費に」
「そうかそうか」
材料費については追求しないほうが今はいいだろう。
「んっふっふ~私も今日はいいものが手に入ったにゃ~」
刹那はデジカメを取り出してなにやら撮った写真を確認していた。
後ろからそれを覗き込んでみると……
「ちょっ……消せっ」
「いやだよ~ん」
刹那のデジカメに撮られていた写真は、僕が招き猫みたいに手を丸めているところだった。
「これを引き伸ばしてポスターにするのさ~私の部屋に幸運を招きいれる招き猫になってもらうのだ~」
「やめてくれ……」
刹那ならやりかねない。
いや、確実にやるだろう。
「私の要求を呑んでくれたら考えてあげないこともないかな~」
「……何? どうせロクな要求じゃないでしょ」
「ん~簡単なことだよ。ネコっちが私の作った服を逃げずに永久的に着てくれれば」
「……遠慮します」
永久的にこんな服を着せられ続けるなんて耐えられない。
中学時代のトラウマが再び起こる恐れがあるぞ。
……まぁ逃げられる確率は野球選手の打率くらいですが。
「自分もコウのコスプレ、見てみたいな」
「そんなこと言ってもしないぞ」
今、ここにいる味方は翼だけだろう。
いや、翼は永世中立かもしれないな。
ということは、僕は一人か。
「……ひょわっ」
突然胸部に衝撃がはしった。
何かと思ったら僕の刹那が後ろに手を回してブラジャーを外したみたいだった。
「な、何するんだよ……地味に痛いし……」
「いやいや~ネコっちが隙だらけだからさ~弄りたくなるのさ」
「あぁ~それわかるかも」
「自分もわかる」
ちょっと待て。
何で女子三人が同意するんだ。
僕は何でそんな弄られるんだ。
「とりあえず、これ、外すよ」
ようやく胸部の締め付けから解放された。
女性はよくこんなものをつけて一日耐えられるなぁ……
僕が女だったら耐えられないだろうな。
「今は~……三時半か」
「コウの友達は五時までには帰ってくれよ?」
「は~い。じゃあまた麻雀しよ~」
「賭けもちろんな……」
「あり、でしょ~?」
刹那に先を越された。
こうなると絶対に逃げられなくなるのだ。
「じゃあせめて麻雀はやめてくれ……僕が不利」
「仕方ないな~ネコっちはわがままなんだから~まぁ今日は衣装があったから麻雀は持って来れなかったけど。空閑ちゃん、翼、何かやりたいのある?」
「僕は特にないかな」
「自分は……トランプがやりたい」
「じゃあトランプにけってーい」
今回の僕の沽券がかかった勝負はトランプになったようだ。