第十七羽 遊戯
「今日は早いわね」
「翼たちが僕の病室に来たからね」
「はじめまして。鷲原翼です」
「よろしく。自分は空閑那由多」
初めての人だからかな。
ナユのヤツが少し大人しい気がした。
ん?僕のときは初対面からうるさかったはず。
この違いは何なんだろう。
「はい、これ。紅に頼まれていた本だよ」
さすがブックストア・スノハラ。
毎度の事ながら仕事が早いですね。
「ありがと。コウより役に立つわね」
「それを注文してきたのは僕だっ」
「知ってる? 戦の時代は敵の武将の首を持ってきた人が褒美をもらえたのよ? いくらとどめをさしても首を横取りされたらその人の手柄よ」
「それとこれは違うだろ」
「同じよ」
「……二人とも仲がよろしいですねー」
「「どこがっ……あ」」
翼への反応がナユとぴったり被った。
本当に仲がいいのかわからないが相性はいいかもしれない。
「コウは私のわがままを聞くだけよ」
「ネコっちは猫なのに犬みたいね~」
予想していたことを刹那は言ってくれた。
てか猫なのにって言うのはどういうことだ。
見た目ですか。
名前ですか。
両方ですか。
「それより何かしない?」
「遊び道具を持ってきたよー」
刹那はパンパンに膨れたカバンの中から色々なものを取り出した。
トランプ、人生ゲーム、将棋、オセロ、麻雀……どうやってそれらを入れてきた。
そのカバンは四次元カバンなのだろうか。
麻雀のやり方を中学生が知っているのか?
「この中で、四人で出来るのは~……トランプと人生ゲームと麻雀だね」
「てか何で麻雀を持ってきた」
「家にあったからに決まってるじゃない」
「那由多ちゃんは何をやりたい?」
「ん~……麻雀」
「えっ」
中学生がその選択をしますか。
僕がおかしいんですか。
彼女がおかしいんですか。
誰か教えてください。
「トランプは色々やる人によって地方ルールみたいなのがあってよくわかんないし、人生ゲームは時間がかかるわ。麻雀ならやり方を少し知ってるし」
「じゃあ麻雀をやろー」
雀卓を広げて牌を並べ始める刹那。
てか僕はあんまりルール知らないんだけどなぁ。