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人形少女は魔王様依存症  作者: やまね みぎたこ


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皇帝の光

「我の力を教えてやろうと言ったな」

「教えてくれるの?」


「構わんよ。ちなみに想像はつくか?」


リリは少し考える素振りをして…。


「なんだろう?すっごく強い武器を出せる能力とか?」


にっこりと笑いながら能天気そうにそう言った。

皇帝も笑いながら、手を叩く。


「いいところついてるな!ほぼ正解だ。…正解は「対象に確実に有効な武器を作り出す力」だ」

「私の答えと何が違うの?」


「そうだなぁ~間違いを正すとすればこの剣は強い武器ではないということだ」


皇帝は剣を自分の腕にあてがうと力の限り引きぬいた。

そしてその腕をリリに見せつけるように上げるが、そこには勢いよく細長いものがあてられたような跡が残ってはいるが傷というほどのものは出来ていなかった。


「な?ほとんど玩具のようなものさ、この剣は。だが…」


次に皇帝はその剣をリリに向かって勢いよく投擲する。

それはかなりの速さで放たれ、リリの胸めがけて一直線に向かってくる。そして今度は闇から大量の人形たちがリリの前に現れ盾となった。

その人形たちには赤い糸が繋がれており、その糸は背後の巨大な人形の指につながっていた。


「今、我の力はお前とその能力に向けられている…つまりはこうなるわけだ」


先ほど皇帝の身体を一切傷付けることの無かった剣は人形たちをいとも簡単に貫き、勢いを殺さずにリリまで届いた。

リリはそれをあえてかわさずにその身で受ける。


「うぐっ!…痛い…」

「はははは!そうか痛いか!…そうか」


胸に突き刺さった剣を痛がりながらも引きぬくリリを見て皇帝は実のところ少しだけ危機感を覚えていた。


「(我の惟神は触れただけでも対象になった存在に致命的なダメージを与えるはずだ…それがなんだ?ダメージは確実に通っているようだが有効打には見えない…?手筈通りなら1,2回攻撃を通した段階で説得に戻るつもりだったが…なぜまだお前は笑っていられるのだ…?)」


この戦いが始まってからというものリリは痛みで声を上げる時以外はずっと笑っていた。

今も剣を無事に引き抜き、皇帝に笑顔を向けていた。

皇帝はだんだんとリリに得体のしれない何かを感じだしていた。


「なるほど~あなたが言ってた通りわかりやすくていいね」

「…だろ?そしてお前に勝ち目はない事も理解できたはずだ。どうだ?再び話し合いの席についてはもらえないかな」


「う~ん、それでもいいんだけど~」

「いいんだけど?」


「でもでも、あなたをここで倒せば私の要求も全部通るわけだし…なんならもう殺せば全部思いのままになりそうな気がする」


そう言い放ったリリの笑顔に、皇帝はぞっとする何かを感じた。

腕を見るとわずかながら鳥肌が立っている。


「大きく出たなリリ。我の力を突破出来るとでも?」

「さぁ…でもほら、なんでもまずはやってみないと…ね!」


だん!とリリが勢いよく踏み出し、両腕の刃を振り回しながら皇帝に襲い掛かる。

確かにその力は凄まじく、速さもとんでもない…人間では到底及ばない正真正銘の化け物だ。

だが皇帝は長きを生き、研鑽を重ね技を磨き…人としての戦い方を極めたまさに人世の神であり、リリの身体能力に頼っただけの攻撃などどれだけ早くとも当たらず、その力も触れなければないも同じ…ゆえに皇帝もただリリのわかりやすすぎる動きに合わせて剣を振るうだけ…それだけでその惟神によりいとも簡単にその身体を切り裂いていく。

戦況は完全に皇帝が有利…だというのに。


「なぜだ…なぜ笑う!!」


どれだけ身体を切り刻まれようとも、瞬時に身体を再生させ向かってくる。

そしてその間ずっと…ずっとリリは笑っているのだ。


リリの斬撃の他にも闇から這い出してきた人形…そして背後の巨大な人形も襲い掛かってくるが、その全てに皇帝は難なく対応して確実にリリにダメージを与えているはずなのに…どうしても不安感がずっとついて回る。自分が優位に立っていると思えない。


「いい加減にしろ!」


しびれを切らした皇帝は光の剣を上空に投擲する。

すると空から雨のように多数の剣が降り注ぎ、人形たちを、巨大な人形を、リリを完膚なきまでに傷つけていく。


「はぁ…はぁ…もう満足したか人形」

「ふふっ…あはははっ」


身体中に穴をあけ、地に這いつくばるようにして倒れ込んでいても、すぐに立ち上がろうと動き出す。

今までは気にならなかったのに、リリや人形が動く時の人形の関節が軋む音がやけに皇帝の耳には響いて聞こえた。

そして立ちあがったリリは再び皇帝に向かっていく。

皇帝の能力の性質上、刃どうしの鍔迫り合いすら起きない。一方的に皇帝の光の剣がリリの身体を砕いて終わる。

だが何度リリを斬りつけても、なんどその身体をばらばらにしても…リリは何度も

何度も、何度も、何度も

何度も、何度も、何度も、何度も立ち上がり…そのたびに見惚れてしまうような綺麗な笑顔のままで襲い掛かってくる。


「っ!下手な怪談話より質が悪いな…!!まさか我と体力比べでもするつもりか人形!!」


いや違う、と皇帝は思った。

その目が見ている物は…リリの目的は…ただただ皇帝の命だけだ。

なんの考えもなく、皇帝を殺すことだけを考えているのだ。


「(もう説得は無理か?いや…)」


皇帝はちらりと自分の身体を見た。

その身体の半分を覆っていた黒い痣がいつの間にか綺麗だった半身にまで浸食してきていた。


「(時間がないか…このチャンスを捨てるわけにはいかない…こうなればとことん付き合うしかないか…!)」


皇帝がそう覚悟を決めたとき、それは起こった。突如としてその身体が激しく燃え上がったのだ。


「なっ…!?」


燃え上がる炎は皇帝の身体を焦がしていく。

なぜ突然火が上がったのかとあたりを見渡した時、その足元に自分の足首を掴んだ人形がいることを認識した。


「ア、ア、ア…」


そんな声にならない声を出す人形は他の人形とは違い…その頭部に真っ赤な頭髪のようなものがあり…そして女性の顔を模っていた。

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