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回想

命を継ぐ者 (ラシル)の旅-逃亡編、第14部の挿話になります。


私は、白く輝く山を見ながら、座主様の話をふと思い出していました・・・。

あの時託された龍爪の旗にまつわる話・・・、


「ルドラさん、これ猿王さんからの預かりものです・・・」

猿王さんから託された包み、ルドラさんは中身を見て、私に戻します。


「ラシルさん、あなたこれ預かっていて・・・」

「え?」

「フホホホ、それは、今回パルバク軍を救った龍爪の旗じゃが、それだけではない・・・」

戸惑う私に座主様が話し始めました・・・。


今から、数百年前、アルシュは当時の座主様が治める地域を盟主国とし、周辺領主がそれに従う連合体制だったそうです。


しかし、度々ザムに攻め入られ困っていた時、ユミルから当時の座主様へ、援助の申し出があったそうです。


「主だった領主に、龍爪(りゅうそう)の旗を掲げユミルの援助を受け入れる意思表示をせよと・・・」

当時は、まだ各領主の力が強かったのでな、と座主様は(つぶや)きます・・・。


「ところが、ある有力領主の部下が密かにザムと通じ、領主一族を幽閉、盟主国へ反旗を掲げる企てを起こした。その時、家臣の協力を得た領主の息子が、龍爪(りゅうそう)の旗を持ちだし、盟主国にこれを知らせるべく城を抜け出した・・・」

座主様、遠くを見ながら話を続けます・・・。


「領主の息子は、途中で追手に討たれた。しかし、討たれる前に別の者に託し、旗と共に謀反が盟主国まで伝わった。おかげで、謀反を起こした部下は討たれ、領主一族は解放された・・・」

「・・・」

座主様、一息入れ最後の言葉を継ぎます・・・。


「この時、領主の息子に協力した家臣は、当時の猿族の王と言われた人物。そして、その領主一族の末裔は、新しくザルード大公を継いだ御仁・・・」


(それって、アルージュ卿のお父様と猿王さんはご先祖時代からの繋がり?)

不思議な話に驚かされます・・・。


「あの方はね、アルシュの王族だったのよ・・・」

ルドラさん、説明を加えます。そのお方は、アルシュ遊学中のザルード公のお姫様と恋仲になり、駆け落ち同然でザルード家に婿入りしたそうです・・・。


「まあ、子供が先にできたのじゃ、致し方あるまい。フホホホ!」

座主様が、笑いながら続けます。

え~っと、恐らく色々あったのでしょうね・・・。


「あの、話は元に戻るのですが、どうしてこの旗を私が預かることになるのでしょうか?」

「儂にそれを言わせるのか・・・?」


座主様、もう龍爪(りゅうそう)の旗は必要ない、今度は龍巫女さんの旗を作りなさいと・・・。

「・・・」

そ、そんな事をしたら・・・。

(私、本当の反逆者になってしまいます)



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