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面会

命を継ぐ者 (ラシル)の旅・逃亡編、第7部と12部の間の出来事 (挿話)です。


奥様ことトリーナの旦那様、神殿に務めていた元貴族の子弟です。主に神殿で使う商品の仕入れや、神殿領地の作物の管理を担当していました。酒造りに詳しく、それが縁で奥様の家に婿入りすることになったそうです。


さて、アルマー村にお尋ね者の回状が回って半月後、トゥルクの街へ、美しい女性を沢山連れた老人がやってきます。そして、何やら女性達は辺りで聞き込みを始めます。


(いい女を沢山連れて、一体どこの金持ちかね・・・?)

旦那様、偶然その光景を目にします。すると女性の一人がこちらにやってきます。微笑みながら・・・。


「あの、お聞きしたいことがあるのですが・・・」

「何でしょう?」

それだけで思わず、よし! と思ってしまう・・・。


「はい、この街で若い女性の占い師を見かけたことはありませんか?」

「若い女性の占い師ね・・・。そういえば、辻占いの出店があったな。でも最近は見てないよ・・・」

「そうですか。いつぐらいから見なくなったのでしょうか?」

「ここ1年ぐらいかな・・・?」


ありがとうございました、と礼を言って立ち去る後ろ姿、思わず見とれて眺めてしまいます・・・。

(ああ、いかん。こんなところ誰かに見られたたら、女房殿に告げ口されてしまう・・・)

女性の情報網は、侮れぬ。そう思った時、


「あら、こんなところで何をしているの?」

(ま、まさか・・・? 後ろから掛けられたその声は、女房殿。何故こんな都合よく現れるのだ・・・)


「いや、何、ちょっとものを尋ねられてね・・・」

旦那様、何気ないふりで冷静に答えます。


「そんな事より頼んでおいた件、どうなったの?」

「ああ、あれね・・・」

はあ~、気を抜く暇もないとは・・・。


・・・・・・・


今から1週前、商都バーキルで、旦那様は大臣殿に面会を申し込んでいました。


「これは大臣殿、御無沙汰をしております」

「いやいや、ミワトランカ殿、久しぶりだな。元気そうでなにより」

二人は、近況を話した後、本題へ、


「さて、今年の麦の作付けですが、昨年の2割増しでいかがでしょうか?」

「そのことだが、倍にできないか?」

(いや、大臣殿、御冗談を・・・)


「それは、年始の例の奇瑞と関係が・・・?」

「いや、昨年の収穫後から、話が出ていたから・・・。ん? 待て・・・」

(宰相殿の無茶ぶりは、あの時からだ・・・。あれは確か、そう、花嫁一行襲撃前か・・・)


大臣殿、何か見えた気がします・・・。


「何か、国の方針に変更でも・・・?」

「・・・」


大臣殿、別の事を考え始め、話が頭に入りません。

(風雲急を告げるかも、と宰相殿が言った後、花嫁襲撃とパルバク侵攻が起きた。これは一体?)


少し調べることがあると告げた大臣殿、その場を後にしました。


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