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地下牢の子供2

「続・命を継ぐ者 (ラシル) の旅」第31話、襲撃の頃の話。そして、第43話、アルシュ国王と第45話、龍の遺跡へそれぞれ話が繋がります。

コンコン!


久しぶりに、牢の荷入れ口を叩く音がする。荷入れ口の蓋を開けると、馴染みの女の子が顔を出してきた。元気だったか? 俺の問いに、こくり、と頷く・・・。


「買ってきて欲しいものがあるの・・・」

そう言うと、いくつか品名を告げられる。


「今日は、外に出ないのか?」

「 うん、少しだけ・・・」

女の子の返事を聞くと、俺はその子を引っ張り上げ外に出す。男の子は来ないらしい・・・。


「ほら、薪は、そこ等にいくらでも枯れ枝が落ちている。ヨモギは、そこに生えている緑の草だ・・・」

「これ?」

「おう、それだ、それ・・・」


女の子が、ヨモギを摘んでいる間、残りの品をどうするか思案する。湯の花と蜜蝋か・・・。確か、街道沿いに薬種店があったな。俺は、集められた枯れ枝を束ねると、荷入れ口からどんどん落としていく。


「湯の花と蜜蝋は、明日持って来るから・・・」


俺は、地下牢へ戻る女の子にそう声を掛けた。そして翌日、湯ノ花と蜜蝋を荷入れ口から落としてやる。


翌週、買い物に行ってくると顔を出した女の子と男の子、座主様がお礼だって、といって渡された軟膏は、効き目もいいが匂いもきつかった。

今度は、香草入りにしてもらうか・・。


そんなやり取りがあった後、子供達は買い物をしてくる、といって長い間出かけるようになる。俺は、いつか逃げ出してくれるのでは? という期待と不安の入り混じった気持ちで送り出す・・・。

だが、夕刻には必ず戻ってきて、地下牢へと帰っていく。


ある朝、二人の子供は、明日か明後日に戻る、と言い残し地下牢の入り口を後にした。そして街道を南に向かい、アルシュの都へ向かったとか・・・。


そしてその翌日・・・・・・・。


“御慈悲を”

そう書かれた札を携え、都の道脇に佇む二人の子供がいます。すると、そこへ宮殿から戻るルドラさんが随身と共に通りかかります。


「あら、ちょっと止まりなさい!」

「ルドラ様、下賤の者故、私が代わりに・・・」


それを押しとどめ、自ら二人の前に立ち銀貨を持たせます。頑張るのよ、といい残しその場を後にするルドラさん、すると女の子が小さい声で、座主様からです、と言いその手にそっと布袋を忍ばせます・・・。


部屋に戻ったルドラさん、布袋を開けると、中には砂金が入っていました。


二人の子供達はといえば、その後、ケイガンの街へと戻ります。しかし、ケイガンの街に入った途端、怪しい男達に追われたのでした・・・。


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