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ウィル・フィルとマリア先生  作者: 茶々アルト
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そのじゅうご マリア 30歳 先生にも秘密にしておきたい事がある


可愛い可愛い私の天使達。


きっと、もうすぐお別れね。こんなふうにリーナの食堂でコンタとお酒を飲むのも数えるほどしかできないわ。


コンタに天使達が卒業したら帰国すると伝えたら唖然としてたけど、当たり前よね?


私の名前はマリア・フォン・ランドル。


くさってもランドル公国の何番目かは忘れたが皇女なのよ。


自分でもたまに忘れるけど。


だって、この国に来てから掃除と洗濯を覚えたわ。


リオンにはついてきた侍女もアークレッドは田舎すぎて帰っちゃたのよ。


リーナパパの食堂が美味しいから料理はパンを焼くくらいしかできないけど、料理できなくても食べれる物って意外と多いのよ。


リンゴなんていい例ね。


アークレッドに来てから皮も食べれることを知ったわ。


話が脱線したわね。なんだか驚いた顔のコンタを眺めてるうちに酔い潰れて寝ちゃってたわ。


だって、いつもなら飲み過ぎないように注意してくれるリーナがいなかったんですもの。


そう言えば、可愛い可愛い私の天使達に泣かれたんだったわ。


天使達が卒業したら祖国に帰るって言って。


私だって寂しいのよ。ずっと、貴方達の側で成長を見届けて、いつかコンタと一緒にみんなでお酒を飲みたかったのよ。


あら?私、コンタもいつのまにか同席させていたわ。


だって、近衛兵長を辞めたコンタは毎日私と夜を過ごしていたんだもの。


ー夜ごはんだけど。


そんなふうに記憶が曖昧だったから、いつのまに自宅に戻ったのか不思議だったんだけど、たまーに酔い潰れたときは、リーナパパに頼まれたコンタがおんぶして送ってくれていたから、きっと今回もそうね。


酔い潰れて男に送られて帰宅なんて、きっと皇女としては有るまじき事なんだろうけど、ここはアークレッドよ。


ー悪いことをしない。


そのふざけた法律が全てなんだけど、ふざけてるみたいで一番厳しい法律よね?


私の祖国でコレをしたら全ての人が捕まるわよ、きっと。


だって、この国みたいに心が豊かじゃないもの。


そんな事をつらつら考えながら学び舎に行こうと玄関をあけたから本当にビックリしたわ。


両手いっぱいの真っ赤な薔薇の花束を抱えて跪いたコンタがいたから。


しかも、真っ赤な顔と緊張に震えるこえで、結婚してください、だなんて。


あまりに真っ赤な顔だったからウィルみたいにお酒に酔ってのプロポーズかしらって思ったわ。


ーそういえばあの子、指輪はちゃんと渡したのかしら?


何にもきいてないわ。失敗したのね。


そんか風に現実逃避していたら、コンタが金の指輪を差し出してきたわ。


きっと、近衛兵長時代に貯めたお金使い切ったのね。


アークレッドにずっといるなら貯めたって使い道ないもの。


あら?でも、これってドワーフが作ったゆびわよね?


あら?ウィルに頼んだの?わたしが前に酔い潰れてた時に指輪のサイズはかってたなんて知らなかったわ。


とっても、嬉しいけど私はくさっても三十路でもランドル公国の何番目かは忘れたけど、皇女なの。


アークレッドには嫁げない、そう伝えたらコンタはズボンのポケットから一通の手紙を取り出したわ。


あら、リオンのお姫様と小さい時に数回だけあった事のある、もう顔も思い出せない父のサインと正式な書類である証明があるわ。


ーなにコレ?


私とコンタの結婚を認める手紙ですって。


コンタの両親て西大陸の王様の血をひいていたのね。


よくよく考えてみれば、世界一小さいアークレッド出身の兵士が大国リオンのお姫様の近衛兵長になれるわけないわ。


リオンにはお姫様がたったひとりしかいないのだから。


なんでもコンタは、天才故に他人に心を開かない私を心配した老害に頼まれて私の面倒を見てるうちに、放っておけなくなったんですって。


あのお説教好きな剥げ頭な老害が?


あら、これって老害が私達のキューピットなの?


嫌だわ、私の可愛い天使達と同じだなんて。


可愛い可愛い私の天使達。


ずっと、これからも先生は貴方達を見守るわ。


頼もしい5歳年上の旦那様と一緒に。


ー5歳しか離れてないと知った私の驚き方を見て、せっかくのプロポーズで失敗したかのようにコンタがひどく落ち込んだのは、私の可愛い可愛い天使達には内緒だ。


先生だって秘密にしていたいことはあるの。だって、私の可愛い可愛い旦那様だから。

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