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そのいち マリア、30歳記念回顧録を書き始める。
私の名前は、
ーマリア・フォン・ランドル、
南大陸にある、そこそこな国力を持つランドル公国の皇女。
とは言え、一夫多妻の公国には、わたしの他、30人以上の皇女がいて、実は、私は自分が何番目の皇女だか知らない。
だって、そこに私の興味はないもの。
私は30何番目かの皇女。
そういう存在なのよ?
それ以外は、
ーマリア・フォン・ランドル。
って、名前だけよ?
そう思ってたし、やっぱり、そうなのよ?
身分や財産なんか、中央大陸の、いや世界一の極小国であるアークレッドには、まるで関係ない。
アークレッドの唯一の法律。
ー悪いことはしない。
そこには盗みも喧嘩もOKなよくわからない、いいんだか、悪いんだか、の法律がある。
これは、稀代の大天才と言われた私、マリア・フォン・ランドルが教える、愛すべきアークレッドの5人の教え子の記録である。