おはようございます。
……あぁ。ここはどこだ?
……そうだ。今ぼくは森さんの部屋に泊まっているのだった。寝ぼけ眼でスマホを探す。時間は10時を少し過ぎたくらいを指していた。カーテンを開けてぼんやりと外を見やる。相変わらず外は明るかった。心なしか空は昨日より明るい気がする。時間の経過と共に少しずつ輝度が落ちて行くのだろうか。太陽らしきものは見えないが、とても良い天気だ。
と、ここではっ!と我に返った。こんなに明るくなるまで寝てしまっていた。他人の部屋に泊まらせて貰っている身なのだから、もう少し早く起きるべきだった。急いで着替えを済ませ、居間に出たが、ここで寝ていたはずの森さんがいない。置手紙などもないが出掛けたのだろうか。せめて彼が帰って来る前にお茶だけでも淹れて待っていよう。台所でウロウロしていると案外早く帰ってきた。彼は目が合うなりニヤニヤしながら
「おう。おはよ。良く眠れたみてぇだな。」
と、痛いところを突いてきた。ぼくは恥ずかしいやら申し訳無いやら、もごもご答えた。
「す、すみません。もう少し早く起きるつもりだったんですけど…」
「いやなに。色々あって疲れてたんだろ。気にすんな。それよりパン食おうぜ。」
手には色々なパンが入った袋。
「わあ。沢山ありますね。」
「ああ。さっき夢んところ行ったら持たされてな。」
「夢さんが?」
「お前さんの話をしにいったんだよ。『私さ任せとけ!』ってさ。良いようにしてくれると思うぜ。」
「森さんにも夢さんにもお手数おかけします……」
「まぁまぁ。持ちつ持たれつだよ。」
「そうですね……あ、ぼくお茶淹れます。」
「おっ。ありがとな!じゃそれでコレ食うか。」
2人でむしゃむしゃパンを食べていると森さんが
「今日はやる事もねぇし、街にでも繰り出すか?お前さんも暇だろ?」
「良いんですか。」
「何も無ぇ普通の街だけどな。」
しばらく歩くと街が見えてきた。全体的に大きくはないけれど、下界とほとんど変わらず、コンビニやスーパーなどがあり、大通りから少し入った路地は飲み屋街といった雰囲気であった。森さんは街に着くなり
「なんにせよ色々持ってねぇだろ?歯ブラシとか石鹸とかよ。」
と言って生活に必要なものを色々と買いだしてくれた。ぼくは申し訳なさを感じつつ、森さんに甘えることにした。