残り101日 名は体を
バトンを布団の上に寝かせて、ブランケットをかけて一息つく。
「なんだこれ!!!!」
『別にブランケットはいりませんが。感謝します。えっと、あなたのお名前は』
「空巡四季、だけど」
『ん、え?どのような字を?』
「空に巡る、季節の四季だ」
『ややこしくて女々しいお名前ですね』
「へし折るぞ」
『ただのジョークです』
……こうやって会話が出来る時点で女児アニメのおもちゃという線は消えた。
なら、何なんだこいつ。いや、これ。
『申し遅れましたね。
私は未来から参りました。『アンリミテッド・クリエイティ・ワードマジック・オブジェクト』と申します』
「……未来から参りました?」
『はい』
「うんたらかんたら?」
『一言も覚えてませんか。簡単に、アンリとでもお呼びください』
よくわからないことが起きてるんだな。
俺には理解出来ない事だと、理解する。
『それではシキ』
「ん?」
『魔法少女になりませんか?』
「……んん?」
『あ。言い方が、ありましたね。こほん。
私と契約して魔法少女になってよ。が正しいですかね』
「その誘われ方でついて行く奴はもういないと思うぞ」
そうですか。と呟いて、アンリは当たり前のように宙に浮かぶ。飛べるんだったら自分で来いよ。と伝えると、アンリは何かのグラフのようなものを投影した。
『私には触った相手の能力を調べる能力がありまして。いや、発現する能力を調べる能力が「あーもうややこしい。つまり何なんだって」
俺の目の前に浮かんできて、ドレスのようなものを宙に出してきた。
メイド服のようなデザインで全体的なピンクがとても可愛い。フリルやリボンがこれでもかというくらいについていて、そしてニーソ。
「これは?」
『あなたが魔法少女になった時の服です』
「ならねぇよ」
『いや。なってください。
あなたには才能があります。……説明しますね』
次に映し出されたのは、俺の名前だった。
珍しい名前だからって晒すことはないのでは?
『私を通じて魔法少女になると。
名前が大きく能力へと影響を受けます。
『木村』様なら木の魔法を、『温水』様ならぬるま湯の魔法を使えます』
「ぬるま湯の魔法ってなんだよ」
『ですが、あなたの魔法はそんなものではない。
『空巡』の名は時間逆行の魔法を使えます』
へぇ。珍しい苗字だからこそ、強い訳なのか。
時間逆行ねえ。かっこいいじゃん。
『逆行の魔法を使えば5秒時を戻せます。しかも1日に10回も使えます』
「5秒?を、10回?」
『はい』
「なんか、しょっぺえな」
『……ですよね。気を使いましたけど。
回数制限とか、なんか使い辛い感じしますね』
てか、なる前提で話進んでない?
『『四季』の名はそのまま4属性使えるってだけですから。まぁ強いですね』
「うわ、投げやり」
『つまりあなたは、魔法少女になれば『時間を5秒戻せる4属性魔法少女』になれるのです』
ネーミングセンス0かよ。
「ならないって」
『なってください。ここ最近だと一番の当たりなんですよ』
「てか、そうゆうのは女の子に頼めよ。少女だろ?」
『私が性転換させますから大丈夫。
最近の当たりだと『穂村火蓮』くらいに当たりなんです』
「強そうじゃん。そこの子は?」
『こんなフリフリ着れるかぁー!!!!ってぶっ飛ばされました』
それをよく俺に頼めたな。
……魔法少女ねぇ。やるメリットが0なのに。
「何故、やらせたいんだ?」
この流れなら居るはずだろ?
アンリが止めて欲しいと、願う敵が。