残り101日 出会いは突然で唐突なもの
思い返すと昨日から、変なことが続いていたっけ。
アプリの無料ガチャで欲しいキャラが当たったり、パンを咥えた女の子とぶつかったり、何故かテストの山がばっちり完璧に合っていたり、親友が女の子に追い掛けられなかったり。
いつもとは違う。
まるで、何かこれから酷い事が起きるから幸せを前払いされているような奇妙な感覚があった。
それを、親友のまるでキャラゲーの主人公張りに女の子にモテる……石動良也に言ってみると。
「……気をつけた方が、いいな」
「やっぱり?」
「俺を見ろ。……後ろに誰もいない。それは、おかしいことだ。自分で言うのもなんだけどな」
「いつもは2、3人居るよな?」
「つまり。今、何かがおかしいのは確かだろ」
「その理論ってどうなのよ」
「信じるか信じないかは「あーはいはい。貴方次第な、はいはいー」
親友は勿体ぶって言ってたけど。
まぁ、俺としてはこんな日もあるかなぁーなんて考え始めた頃で。
それから、放課後まではそう思い込んでいた。
『あの。た、助けて貰えますか?』
電子音のような、ハウリングのかかった声が誰かを呼んでいた。
……俺の帰り道は田舎道で、辺りを見渡しても俺以外には誰も見当たらなくて。
俺を、呼んでるのか。でも人影も何も……。
『足元、です』
「ん?」
声の主を探して足元を見ると。
……バトン?可愛いデザインの、星が付いたものが俺の足元に縋り付くように落ちていて。
「……これ、か?」
『はい。手に取って、貴方の家に上がらせて下さい。お願いします……』
……この時、不信感に素直に従っていれば。
女児アニメのおもちゃかな?とかいう興味を持たなければ。
俺は普通の高校生で、いられたのだ。