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佐藤君は無能力  作者: 三鷹 功
8/10

人間は苦悩の中で覚醒する。

こんばんわ!ここまで読んで頂き有難う御座います。

もはやギャグじゃないですね、うん知ってた。

・・・すいません王道書きたかったんです許してください!

と言うわけでラストスパートまでお付き合いください。

この世界を軋ませる衝撃が邪神から解き放たれた。

一撃にて遠くの山々を粉々に消し去り、雲を一直線に切り裂いた。


ビーム。


男のロマンである筈の攻撃をラスボスが使うと、絶望しか生まれない。


「兄貴達!しっかりしてくだせぇ!このままじゃ!負けちまいますよ!」


犬は必死に清と佐藤を叱咤した、その声もこの邪悪な産声に掻き消されてしまう。


「あ・・あああああ・・・ああああああ!!!」


恐怖で足をガクガクさせ、ただうめき声を上げるしか出来ない、戦う意志などあの悍ましい化け物の前では無理に等しかった。


「に・・・逃げなきゃ!殺される!逃げないと!」


二人の頭には『退却』の二文字で覆い隠されていた。

だが世の中そんなに甘くない、邪神の魔の手から逃れるすべはなかった。



強烈な匂いを発しながら邪神の目は佐藤達を向いた。


「キィイイサァマァラァアアア!!!」


その場にいたら誰でも怖じけずには居られない程の邪悪さを秘めた視線。

猫に睨まれた鼠のようにそこから一歩も動けなくなってしまった。


「コオオオオオオオオオオ!!!!!」


荒い呼吸音に空気が圧縮され中で高熱に高まっていく。

それはビームが発射される予備動作だった。


「兄貴達!避けねぇと死んじまいますよ!」


頭では犬の言葉を理解していた、だが心が動かない、動けない。

圧倒的な敗北を心に刻まれて、もう折れてしまっていた。




「コオオオオオ・・・・」


化け物の口からやがて吃音が聞こえてくる、壊れたレコードのように。

その瞬間を今か今かと待ち望むように。


カッ!という一瞬の煌めきの後にゲームオーバーの悲鳴が鳴り響いた。



ドオオオオオォオオオオオオオオオオオオン!!!!!



佐藤達もろとも消し飛ばす破壊の槌。

逃げる足さえも止められた三人には直撃だった、壮絶な破壊音を轟かせ城諸共貫いた。

死が確実の攻撃だった。

折れた心と共に存在ごと消え去ると思われた。

それなのに、佐藤と清は無事だった、二人は無事だったのだ。

だが無事じゃないやつがいた。

いや、無事じゃない一匹がいた。

ビームが去った後、残された二人の前には。




二人を庇ってボロボロに焼けただれた犬の姿があった。



「・・・・・は?・・・・お、おい犬!」



「う・・・・ブハァ・・・あ”・・あ”にギイ!!」


全身から血を流し、口からも血を吐き出しながら、それでも犬は笑っていた。


「・・・どうして?・・・どうして!」


「へ・・・へへ・・やっと目が・・・戻りやしたね」


「何庇ってんだよ!お前!何してんだぁああ!!」


「大丈夫・・・っすよ・・・・屁でもねぇ」


「嘘つくなよ!こんな、こんなに焼かれて!無事なわけねぇだろ!」


「兄貴・・・大丈夫です・・・大丈夫ですから」


「何でこんなことするんだ!犬!」


「・・・兄貴達を生かすためです」


「生かす?」


「兄貴・・・立ってくだせぇ・・・諦めちゃいけやせん、兄貴達なら勝てます」


「お前頭狂ったのか?あんな化け物どうやって勝つんだよ!」


「勝てますよ・・・兄貴なら」


「何でそんなハッキリ言えんだよ!」


「言えますよ・・・兄貴は勝ちます!」


「だからどうしてそんなにボロボロになってまで言えんだよ!」


「兄貴は漢の中の漢だから!真っ直ぐ突き進み壁をぶち壊す!そんな兄貴だから!」


だから!勝ちます!何度だっていいます!兄貴は勝つ!


絶対に勝つ!兄貴は勝つ!!


「だから立ち向かってくだせぇ!・・・兄貴!!!」



そう言うと弁慶の如く俺たちの前で仁王立をしていた犬がぐらついた。

緩めることなく、自分の血だまりに向かってドサッと音を立てて倒れていった。

地獄を守るはずの番犬が、兄貴達を守るために化け物から命を懸けて守り抜いた。

佐藤はさっきまで動けなかった身体が、魔法が解けたかのように動けるようになっているのを知った。

犬の決死の叫びは、佐藤の折れた心に再び熱い感情でいっぱいにさせたのだ。

佐藤は倒れた犬の身体を抱えて、声にならない呻き声をあげて泣いた。


あいつは言っていた兄貴は勝つと、絶対に勝つと。


「勝手なこと言ってくれやがる・・・でも」


そうだよな、そうゆう話じゃねぇんだよな。


負ける?そんなの関係ねぇよ!


勝てる勝てないじゃねぇ!勝たねぇといけねぇんだ!ここでゲームオーバーになっちゃいけないんだ!


犬が刻んでくれた『勝利』の二文字に背中を押され、佐藤は自然と立ち上がった。

熱く焼けそうな程の熱情が佐藤の中をぐるぐるとうねりながら回っていた。






犬。



お前何でそんなに命張ってんだよ。



そんなところ見せられちゃ、お前の兄貴がカッコ悪いところ見せらんねぇじゃねぇか!



お前、最高にかっこいいよ、だからさ。



お前が惚れた漢はもっとカッコいいってことを教えてやる!




佐藤の中にあった恐怖心は消え去っていた。

あるのは自分の不甲斐なさ、犬に庇われた弱虫な自分。

立ち上がらねぇと。犬に顔向けできねぇ。

ゆっくりと、でも確かな足取りで前を向いた佐藤。

その後ろで同じように心を熱くした男がいた。


「お前だけにカッコいいところ見せるわけには行かねえな」


「・・・清」


いつの間にか清は佐藤の横に並んでいた。


「お前だけじゃねぇよ、俺だってさっき諦めた」


「あぁ、情けねぇな」


「犬は俺たちに大切なことを教えてくれたんだ、俺はな何で犬が清の兄貴って言うのか気になってたんだ」


「聞いたのか?」


「聞いた、そしたらあいつ笑って「親分って呼んでもいいですか?」って言いやがった」


「ハハッあいつらしいな」


「あいつにとって俺は親父なんだ、でも兄貴って呼んでくれてた。よく分からねぇ気を回しやがって」


「助かるな」


「あぁ、父親って感じしねぇし、あいつ怖えし犬だけど最高だよ」


「そうだな、最高だ!」


最高の。




俺たちのダチだ。




「よっしゃ!佐藤!俺が道を開ける!」


「お前もボロボロだろう?無茶すんなよ」


「大丈夫だ、犬よりかなりマシだ!」


「そりゃ比べる相手が悪い」


「それもそうか!でも俺はいま元気なんだ、任せてくれ佐藤、お前に化け物への道を切り開いてやる」


「分かったよ、お前にも見せ場を与えてやるか!」


「お前って奴は・・・まぁいいかじゃあ行くぜ!『神モード』」


神モードが発動します、何%で解放しますか?


「決まってる!フルパワーだ!!」


・・・承認します、フルスロットルで解放、限界突破します、力の全開完了・・・・・・いけます。


「マジかよ、全開ってここまでいけんのか、俺は本当にスキルのこと知らなかったみてぇだ!」


「清大丈夫か?」


「大丈夫さ、それより・・・遅れんじゃねぇぞ?」


「どうゆう意味だ」


「こういう意味さ!」


全力全開使用・・・許可します・・・能力解放1000%お望みのフルパワーです。


清の体が弾丸のように発射された、佐藤は清に引っ張られるように加速する。


「速っ!お前これ何%だよ?」


「聞いて驚け1000%だ!」


「1000%!これ使ったらお前大丈夫なのか?」


「大丈夫じゃないさ!でも全開で行った方がカッコいいだろ?」


「つくづく思ってたがお前バカだろ?」


「はははっ、その言葉お前にだけは言われたくねぇな!」


「違いねぇ!」


二人は笑いながら邪神へと突き進む、真っ直ぐに真っ直ぐ壁をぶち破って行く。


「清・・・お前に負けてらんねぇな俺も壁を超えてやる」


佐藤は三次元の先の次元を知っていた。


四次元。


だがその次元に到達したのは最初に魔王と相打ちになり死の狭間で女神に助けられたから発現した力。

人は四次元の世界を知る事は無い、死というこの三次元から離れた瞬間に得られると言われている世界。

だがその次元に無謀にも挑もうとしていた。


「一回あの次元に到達したんだ、行けない理由がない」


「佐藤?」


「清、俺も壁を越えるよ、次元の壁をな」


「あぁ超えろ超えろ!そんであの化け物をブッ飛ばせ!」


「簡単に行ってくれるぜ・・・良いぜ超えてやんよ!!」


佐藤次元から申請、次元の突破が図られました。

失敗、失敗、失敗。

無理です、四次元は突破不可能です。


「じゃあ成功するまで試すのみだ!」


・・・そうゆう問題じゃないんですが、良いでしょう試してみましょう。

失敗、失敗、失敗・・・etc

何回も何回も失敗の連続が続く。

清のお陰であらゆる敵の攻撃は跳ね返され、もう目前まで迫っていた。


「おい佐藤!もう目の前だぞ!」


「分かってる!おい聞いてるのか?さっさと突破しろ!!」


無茶だと言ってるでしょう、第一に四次元に到達したらその反動で貴方は死ぬ程の副作用を受けますよ?


「知ってるよ、一度経験したからな」


では何故、そこまで頑張るのですか?


「ダチに頼まれたからな」


ダチ?


「あぁ、兄貴は勝つってな!だから俺は勝たねぇといけねぇんだ!」


死にますよ?


「うるせぇ!出来るのか出来ないのかどっちなんだ!!」


・・・はぁ、分かりました貴方に四次元の突破を許可します。


「へへっ、やっと分かったか、そうさ!俺は諦めの悪い漢だからな!」


「佐藤まだなのか!」


「もう大丈夫だ!後は任せろ!ぶん殴ってくる!」




犬、見てろよ。


お前の兄貴いまから本気出すからよ!


次元を超えてやる、最強の次元へ。



「四次元へ!次元を!壁を!」




「超えろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」



佐藤の叫びに世界が止まる。


最強のスキルが目覚めようとしていた。




次元の突破がなされました。



成功。


身体及び精神に致命的な損傷を受けました。


佐藤次元、おめでとう貴方は四次元への資格を取得しました。


四次元は最強の力、時の支配者。

勝ちなさい、私も貴方を応援しましょう。


扉が開かれます。

最強の力をその手に。


四次元。


時間制限 未来視 時間停止 事象操作



「ハハハッ!何だよお前も応援してくれんのか!いいぜ!最強の力であのクソジジイぶん殴ってやる!」



強い意志をその瞳に宿し佐藤は覚醒した。最強の力を発現させた漢は邪神と最後の戦いを繰り広げる。



能力紹介



名称:佐藤 次元(さとうじげん)

人種:人間(覚醒者)

称号:壁を超えし者、女神の恩寵を受けし者

   諦めの悪い漢、時の旅人、真の勇者

スキル:次元魔法(四次元)

能力:瞬間移動、次元切断、絶対防御、分離体

   空間操作、重力操作、時間制限

   未来視、時間停止、事象操作

また明日、会えるのをお待ちしております。

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