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佐藤君は無能力  作者: 三鷹 功
7/10

主人公は遅れてやって来ると相場が決まってる。

おはよう御座います!先ずは読んで頂き有難う御座います!

ではでは、続きですどぞー!

「ほざくなよ!貴様に何ができると言うのだ!」


強烈な魔力の波動を解放させ、空気すら息苦しくなりそうな空間が辺りを支配した。


「たかが小僧の分際で私を虚仮にしていい訳がない、単なる道具になるはずだった貴様らに叛逆などあってなるものか!」



「おうおう随分とお怒りですなぁ?鉄分足りてますか?困りましたねぇ」


「きさまぁ!」


自分の余興を邪魔された魔王は佐藤に深い怒りを感じていた。

何もかもが自分の思い通りに進んでいた、清の降神術でさえ魔王には効かなかった。

なのにこの小僧は無能力で腰抜だったくせに、今はやけにギラついた目で魔王を睨んでいた。

気に食わない、実に気に食わん奴だ。

突然乱入してきた珍客に魔王は排除しに動くのは当然だった。


「お前ごとき雑魚が私の前に立ちふさがるんじゃ無い!」


魔王はその余りある魔力を力に変えて佐藤に拳を向けて振り抜いた。

ただの拳圧に過ぎぬ風が地面を抉り、衝撃波を起こし竜巻の如く凶悪な攻撃がその身に降りかかった。


「まだこんな力を・・・佐藤!」


「清の兄貴危ねぇ!」


犬に抱えられて清は間一髪で避けることが出来た。

だが目の前に立っていた佐藤は当然の事に、その衝撃をもろに受けていた。


「そんな・・・嘘だろ」


突風が吹き抜けた後は無残な傷跡を周辺に残しながら塵ひとつなく完全に消え去っていた。


「フハハハ!雑魚が粋がるからだ!助けにきた?冗談もここまで来ると喜劇だな!」


「おい!佐藤、佐藤!」


「どうやら熱い友情なんてものはこの程度だったという事だ、私に勝てる存在などこの世界にいるはずがない!」


魔王は油断しきって居た、神である自分を超える存在など想像ができなかった。


「邪魔者は居なくなった、今こそ!勇者のスキルで私はこの世界の支配者となるのだ!」


「おい!クソジジイ、お熱い所悪いが演説はそこまでにしてくれないか?」


「・・・何だ今の声は?」


魔王は先程消しとばした筈の佐藤の幻聴を聞いた、声の方を振り返る、それは自分の座って居た椅子の方向だった。


「やぁ!どうした?そんなに驚いた顔をして?」


「な!・・・なぜ貴様がそこにいる!」


「なぜって言われても、ただ避けただけだぞ?」


振り返った先には、佐藤が不遜にも椅子に胡座をかいて魔王を見下げて居た。


「お前の攻撃遅過ぎて欠伸が出るぜ・・・くあぁ〜」


「あの一瞬でどうやって・・・!・・・そうか分かったぞ!お前瞬間移動のスキルか!」


「・・・」


「大口叩いたのにその程度のスキルか?そんなスキルさして珍しくもない!」


「お前、勘違いしてないか?」


「何がだ?」


「俺がそんな雑魚スキルな訳が無いだろう?」


「ハハハ!図星か?雑魚には雑魚に相応しいスキルだ!」


「分かったよ、いい加減てめーの無駄口も聞き飽きた、一先ずお前をぶん殴らせてもらう!」


「やれるものならやって見たまえ、瞬間移動スキルの佐藤くん?」


「あぁ、いいぜ見せてやるよ」





能力が解放されます。


貴方は次元の壁を超えました。


ようこそ二次元へ。


二次元の住人になりました。


以下の能力が解放されます。



二次元


次元切断、絶対防御




「精々死ぬんじゃねぇぞ、まだまだ殴り足りねぇんだからよ!」



佐藤はいきなり魔王に向かって殴りかかった。


「何かと思えばただのパンチか・・・私に届く訳が無い」


魔王は佐藤のパンチを手のひらで受け止めた。


「こっちこそ遅過ぎて欠伸が出そうだ」


「良いのか?お前受け止めて?」


「は?」


その時、受け止めた掌から肩までにかけて真っ二つに腕を縦に裁断された。


「・・・は?ぐぁああああ!!!」


「だから受け止めて良いのかと聞いたのに・・・」


「ぐあぁ!何だこれは?一体何をした!」


「簡単なことさ、次元を切ったのさ」


「次元を切った?お前一体何のスキルを手に入れたのだ!」


魔王は直感で佐藤のスキルの異常性に気がついた、あいつは何か恐ろしいものを持っている。

俺の体に傷をつける力だと?そんな攻撃は今までで見たことがない!


「貴様から何か嫌な力を感じる、お前はここで殺さなければ!」


「それは仕方ないな、俺は最強だからなぁ!」


「まだほざくか!その口を閉じてやる!」


魔王はなりふり構わず佐藤に近づき首を刎ねようとした。

だがその刃は佐藤の首まで到達することなく、何かの壁に守られるかのように固い物に阻まれた。


「何だ貴様!私の攻撃が効かないだと?!」


「お前の攻撃は次元を超えない、次元を超えない限りお前には俺に傷一つも付けることは出来ねぇよ!」


「フ・・・フハハ・・・フハハハハハ!!私の攻撃は効かないだと?!ほざくなよ小僧!貴様は特別に全力で相手してやろう!」


「言ってろ、雑魚ほど吠えるもんだ」


「ガキが!調子に乗るなぁ!」


魔王はありったけの魔力をその拳に込めた、禍々しく輝くその光は邪悪そのもの。

必殺の一撃が佐藤に向かって放たれた!


「佐藤!避けろ!あれはまずい!」


「清さっきから何心配してんだよ、大丈夫だよ安心しな」


「でも!・・・」


「俺はまだまだ強くなる、ここまでは初級編さ」


「え?・・・しょきゅ・・・・え、なに?」


「まぁ見てろって?」





佐藤次元の要請により強制的に次元の壁が突破されます。


強制突破による身体ダメージが加わります。


左手と肋の骨を負傷しました、全体としては軽微です。


次元の突破に成功しました。


おめでとうございます、貴方は三次元へ到達しました。


三次元の住人は以下の能力が解放されます。


三次元


分離体 空間操作 重力操作



「先ずはその攻撃、危険だからジジイに返すよ」


「何だと?・・・グフッ!ガァアアアアアア!!」


佐藤たちに向けられていたはずの強大な魔力エネルギーが何故か打った本人、魔王の元に打ち込まれた。



「な・・・にを・・したんだ!」


「別に、ただこの空間を支配しただけさ、この空間ではあらゆる事象が俺の支配下に入る」


「支配だと?そんなこと出来るわけが!」


「出来るんだよ俺はな、まぁお前も本当は一度食らっているはずなんだがな・・・」


「一度食らっている?何を言っている?」


「分からなくてもしょうがないさ、俺にとっちゃこれはリベンジ戦なんだよ!」


そう言うと佐藤の体が陽炎のようにブレ始めた。

やがてそのブレは大きくなり、ついには佐藤が三人になった。


「それは分身のスキル!貴様、勇者は一つのスキルのみだ!一体どうやって二つも手に入れた!」


「一つだよ魔王、お前には俺は理解不能な存在だろうな」


「どうゆう事だ!説明しろ!」


「悪いが俺は今気が立ってんだよ、お前のせいで鉄分が足りてねぇんだ!」


佐藤は同時に重力魔法を空間に、そして自分の右腕に展開した。


「な、何だ!急に体が動けなく・・・」


「オメーは俺のダチを、清を散々可愛がってくれやがって!唯じゃおかねぇ!」


三人に分裂した佐藤は上に横に正面から襲いかかる。


重力により何倍も増幅された力を魔王ただ一人に全てをぶつける最強の一撃。



「これで最後だ!くたばりやがれ魔王!!」


「その攻撃!知っているぞ、その攻撃!なぜだ!貴様が使える力ではない!!」


その力は強力なブラックホールを発生させ、ありとあらゆるものを飲み込む。

当然その攻撃を食らった魔王はタダでは済まない。


「そんな!そんな馬鹿な!全てを食らうブラックホールだと!やめろ、引きずり込まれる!!やめろおおおおお!!!!!」


ズズズ・・・と互いの重力のひしめき合う力の音が周囲から漏れ出す。

佐藤の拳から放たれたブラックホールは魔王の体ごと捻じ曲げ消滅させた。


「ふぅ・・・前も思ったけどこの技、使った後はクソ疲れる」


佐藤は大技の反動によりドサリと倒れこんだ。


「だけど・・・もうこれであのクソジジイは居なくなった、俺の・・・勝ちだ!」


仰向けになりながら佐藤は満面の笑みで微笑んだ。


「清!犬!俺は魔王を倒したぞ!」


「・・・マジかよ、あの魔王が」


「やっぱり兄貴は漢の中の漢です!一生ついていきやす!」


次元の彼方に葬り去る最強の必殺技により魔王は敗北した。

そう思っていた、佐藤達は勝利の余韻に浸っていた。

だが得てしてラズボスとはこんなにあっさりと負けるものではない。

ラスボスにはもう一段階上があるのがお決まりだ。





そう、魔王はまだ負けていない。





ーまだ終わってないー



ー私がこんな小僧に負けるはずがないのだー



ー負けていい訳がない!ー



ー力を!私にもっと力をー



ー力が欲しい!ー








「グオオォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」







魔王城を揺るがすほどの咆哮が響き渡った。


「な、何だ?」


「あ、兄貴これはどうゆう?」


「わからねぇ、魔王を倒したら終わりのはずだ!あの技でさっき消滅したはずだ!!」




「小僧ごときガァアアアアア!!!粋がるなァアアアアアアア!!!」



どこから這い出てきたのかわからない。

魔王の体はもう原型を留めていないほどにグチャグチャに潰れていた。

次元を超えて、魔王は執念だけで這い上がってきた。

ただの肉塊のような悍ましい巨大なモンスターがそこには存在していた。


「おい・・・佐藤、あれはやばい・・・やばすぎる」


「何?清どうゆう事だよ!」


「佐藤俺たちは魔王に逆らっちゃいけなかったんだ、こんなの勝てっこない・・・」



「清?お前一体何を見ったって言うんだ?お前のその『神の目』で何を見たんだ!」





「あれは・・・・神だ・・・それも神を超える・・・分からない!俺の『神の目』でも読み切れない!』



「・・・神を超える?」



「次元の彼方で、あいつは力を溜め込んだ、あいつは!さっきとは比べ物にならない程に強くなってる!」



「何だと?!おい清!どうにかなんねぇのか?」



「無理だよ佐藤、化け物だ・・・もう魔王なんかそんな陳腐な存在じゃない・・・邪神だ、正真正銘の化け物が生まれちまった!」


「兄貴達!しっかりしてくだせぇ!なに日和ってんですか!守るんでしょう!ダチを!みんなを!」


「犬!もうそんな次元の話じゃねぇんだ!早く逃げるんだよ!!」


「どうゆう事だよ!こんなのシナリオには無かったぞ!何だよこれ!」




世界の軋むような咆哮を上げながら、無慈悲にも肉塊は佐藤たちに襲いかかった。


全てを無に帰すかのような、ゲームオーバー前提のゲームのように。




視界が全て真っ黒に塗りつぶされた。






能力紹介


 名称:佐藤 次元さとうじげん

 種族:人間

 称号:壁を超えたもの、神の恩寵を受けしもの

    諦めの悪い漢

スキル:次元魔法(3次元)

 能力:瞬間移動、次元切断、絶対防御

    分離体、空間操作、重力操作

毎日8時と20時更新しています。

また夜にお会いできるのを期待しています。では!

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