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箱の中

作者: 奏瑠*°






生物学者の博士の実験室には、大きな箱がある。


それは、博士の背丈と同じぐらいの大きさで、外側から見ると中が見えるが、内側からは外が見えないようになっていた。


「やれやれ、今日はどんな様子だろうね」


博士は、外側からスイッチを押し、箱の中の電気をつけた。





「やれ、もう朝か。寝てるとあっという間だなぁ」


男は、布団の中から眩しそうに、朝日が差し込む窓に背を向けるように寝返りをうった。


しかし、会社に遅刻するわけにも行かないので、渋々布団から這い出て支度をした。


地球上での生活はみんなこんな感じだった。


男はテレビでニュースを見ながら支度をした。


「おや、また巨大台風が発生したらしい」


ここ最近、地球上での災害は過去最大となっていた。もちろん、被害もそうとうなものである。


今度は、地震速報が鳴り響いた。


「まったく、この世に神様がいるとしたら、もっと住みやすい環境にしてもらいたいぜ」





「おっと」


博士は箱にぶつかり、よろけた。


「最近、よく躓くな。俺ももう歳なんだろうか」


そう言いながら博士は、箱の側にある、さっきとは別のスイッチを押した。


箱の中で、プシューっと音を立ててミストが出てきた。


ミストは、箱の中の毬藻のような球体にかかった。


「この藻は微量だが酸素を発生させるから、今ものすごく注目されているが、どうも微生物が発生してしまって困る。熱しても冷ましても、濡らしても乾かしても駄目だし、突風で飛ばそうと思っても無理だ。やり過ぎると藻が傷付く。微生物は増え続けるし、どうやら長生きするようになってきた。これは、いよいよ困ったぞ」


白衣を着た紫の肌をした博士は、「うーん」と悩みながら4本の腕を組んだ。





雨が降った。





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