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悪魔の手紙

作者: 山本  哲也

 拝啓大魔王様

 いかがお過ごしでしょうか。先月から人間界の監視をすることになった、侍従長のヴェルデでございます。私が今監視しているのは人間界でも比較的、絶対的貧困者の少ないジャパンという国でございます。今日はこの国での生活に慣れ始め私自身ゆとりが生まれたので一筆取らせてもらった次第です。まずこの国に来て驚いたことはこの世界では同じ種族で殺し合う「殺人」という異常な行為が日夜行われていることです。連日、殺人のニュースがテレビジョンで放送されます。(ちなみにテレビジョンとは人間が発明した道具で、遠くの場所や架空の人物を映す黒い箱のことです。今度魔界に帰る際は大魔王様に献上する品として考えている、人間界でも数少ない成功した発明だと思われます)先日は殺人を起こした犯人の裁判が行われたのですが、6人もの同志を殺したのにもかかわらず、刑務所(魔界でいうサタンの魔窟のようなところです)という場所で10年ほどいれば出れるという罰だけでした。魔界ならばそのような輩はベルゼププの涎に付けた後ゆっくり肉をはいでいくぐらいの刑に処すところですが、どうやら人間界では同志殺しは当たり前のことのようです。そう考えると恐ろしい、魔界よりも腐った連中が多いようです。またその殺人も未熟者が行った場合は、その殺人者を擁護するように法律で定められているようです。魔王様が困惑する顔が目に浮かびますが、ここで私なりの推察を聞いていただきたいのです。この国の法律では未熟者はまだ人と扱うに値しないということなのだと思います。罰を受けるに相当しない存在、それをこの国では少年というらしいです。この国は20歳で少年から大人に変わるらしいのですが、何度も太陽と月を見たからといって人間の何が変わるというのでしょうか、何も変わりません。人外である私だからこそ言えることでしょうか、赤ん坊も老人もこの世に生を受けた瞬間から一人の人間であるのです。少年だからと関係がないのです。体が大きければ大人なのでしょうか? 過ぎた年月が多ければ大人なのでしょうか? この国の一人前になる基準がよくわかりません。一つの存在が一つの存在を消す、そのことこそが問題であると思うのですが…根本は人間という同じ存在なのであるのにもかかわらず殺人。これを起こした者は何らかの形で罪を償うべきなのです。(私はもっぱらそれは自らの命をもってだと思っていますが。)そのものが過ごした年月など些細な問題だと思われて仕方がない。拙い文章力ですみませんがこの一月で感じたことをここに記させてもらいました。

 そちらの状況はどうでしょうか。はやくそちらに帰り魔王様の統治されている国の芝を踏みたいものです。引き続き調査を続けようと思います。魔王様もお元気でお過ごしください。

これは悪魔でも個人の感想です。私には難しい法律の事は分かりません。しかし、亡くなった人は未来を失われたのに、加害者は生きてまだ未来があるというのは、あまりにもおかしいと感じました。「お前のその考えは間違っている」と周りの人には言われたのですが未だに納得がいきません。未来を奪う行為が簡単に許されていいものとは思いません。

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