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第101話 夕闇に映える

「お、ギサルムが来た!」

 朝、俺はいつも通りラウンドたちと合流した。

「おっす! ギサルム先輩」

「おはようございます。ギサルム先輩」

「おはようございます」

「おはよー」

「おはよう……ございます」

 ブライト、レフシィ、レアン、クリス、カレンが俺に挨拶をする。

「おはよう」

 俺が一番遅かったみたいだ……

 まあ、遅いのは今に始まったことではないが……

 ん?

「あれ? ブリッツとシミターは?」

「お前が知らなきゃ、こっちも知らん」

「風邪でも引いたんじゃない?」

 バルドスとランスが答えてくれたが、2人とも知らないようだ。

「そろそろ行かないと遅刻するぞ」

 バレットが教えてくれた。

 しかたがない。

 行くか。

 しかし、弱ったな。

 昨日のことを謝ろうと思ったんだが……


 結局、ブリッツとシミターは学校に来なかった。

「ブリッツとシミターは風邪かあ……」

 2人は風邪を理由に欠席した。

――どうせ、ずる休みだよ

――そうだそうだ

 陰口が聞こえた。

――昨日、普通にしてたのに休むか?

――しかも、2人揃って……

「まあ、多分元気だろ」

 何の気なしに発言した。

「お前、今日はやけに冷たいな」

「そうか? そんなことはないと思うが」

 冷たいか?

「ああ。いつもは2人のことを本当に心配している」

 なるほど、ラウンドの言っていることもあながち間違っていないかもしれない。

 2人とは幼稚園の頃からの幼馴染だから、ラウンドたちとは扱いに違いが出てしまっているのだろう。

「まあ、あいつらを信じているということにしておいてくれ」

 俺はそう言って、教室の外へ出た。

 トイレへ行くためだ。

ピリリリリリリリリリリリリ!!

 こんな時間に携帯電話?

「はい。ギサルムです」

「ギサルム、僕だ」

 電話をかけてきたのはアシッグだった。

「どうした? 急に」

「今日は……今日だけは、日常の行動をしてくれ」

「何を言っているんだ?」

「いつも通りの行動を取ってくれ」

 そのまま切れてしまった。

 どうしたんだ?

 アシッグの奴……


 昼休み。

 俺は、給食の片付けも終わったので、いつも使っているトイレに向かうことにした。

ピリリリリリリリリリリリリ!!

 また、アシッグか?

「はい。ギサルムです」

「……」

 だが、相手は返事をしない。

 迷惑電話か?

「ブリッツ……」

 掛けてきた相手はブリッツだった。

「あ。ブリッツか。どうした? 風邪は大丈夫か?」

「……」

 ブリッツは再び黙ってしまった。

「どうした?」

「えっと、ギサルムに言わなくちゃ……いけないことがあるんだ……」

「何だ?」

「その……さようなら……」

 ブリッツはそう言って、電話を切った。

 さようなら?

 何を……言っているんだ?

ピリリリリリリリリリリリリ!!

 再び携帯電話が鳴った。

「はい。ギサルムです」

「あ、ギサルム?」

 今度はシミターだった。

「シミターか。どうした?」

「あのね……バイバイ……」

 シミターはそう言って、電話を切った。

 バイバイ?

 何を言っているんだ2人とも。

 まさか、自殺!?

 ……

 早く2人に会わないと!!

 すぐに走り出す。

「ギサルム!? どうしたんだ?」

 途中でバルドスに会ったが、今あいつに構っているわけにはいかない。

 昇降口まで勢いよく降り、急いで靴を履いて昇降口を出た。

 そして、学校から飛び出そうとした。

「コラァ!! お前、何しに行くつもりだァ?」

 守衛さんに見つかった。

 だが、答えている暇はない。

 俺は校門を乗り越えようとした。

「待てェ!!」

 守衛さんが校門を乗り越える途中の俺の脚を引っ張った。

ドスーーーーーーン!!

「すぐに職員室に運んでやる。……覚悟しとけよ」

 守衛さんは、地面に落ちた俺を乱暴に掴み運んで行った。

 そのまま、俺の意識は途切れた。


 気が付くとそこは保健室だった。

「あ、やっと起きた」

 保健室の先生が俺の目覚めに気づき、こちらに向かってきた。

「全く何をやっているの君は」

 そして、叱ってきた。

 しかし、今はそれどころではない。

「先生! 今何時ですか!?」

「えっ!? えーと……午後の4時だけど……」

 やばい。

 こうしている間にもブリッツとシミターは……

「すみません!!」

 俺は急いで、走りだした。

「あ、ちょっと……」

 保健室の先生が俺を止めようとしたが、一足先に保健室を出ることに成功した。

 そして、昇降口に向かい、靴を履き、走った。


 しかし、2人は何処にいるのだろうか。

 学校を出たはいいが、検討もつかない。

 家に電話をしてみたが、いないとのことだ。

 ん?

 そういえば、何で2人が順番に電話をかけてきたんだ?

 いくらなんでも時間が近すぎないか?

 実は2人とも一緒にいたんじゃないか?

 でも、本当だとしてもどこにいるかは分からないな……

 いや、そもそも何故電話をしてきたかだ。

 本当は見つけてほしい?

 もし、そうならば目立つ場所、内容を伝えた相手が知っている場所だ。

 そうなれば、場所もある程度は絞り込めてくる。

 だが、それでも候補はいくつもある。

 近場から探していくか……


 ハァ……ハァ……ハァ……

 何処にもいない……

 俺の思い違いか?

 本当は、単に家族の都合で何処かへ行くのを俺だけに教えてくれただけ……

 そんなことを考えていると、ゴミ置き場の前に来た。

 ただし、ただのゴミ置き場ではない。

 このゴミ置き場は元々、俺とブリッツとシミターでよく遊んだ公園の跡地にできたものだ。

 最後にここを見てみるか。

 立入禁止の看板が掲げられているゲートを乗り越えて、中に向かった。

 ゴミ置き場とは、言うものの悪臭はそれほど漂っていない。

 王国がちゃんと管理しているということか……

カラン……

 何か硬い物を蹴った。

 足元を見ると、それは剣だった。

 秘力使いや王国の兵士が、使わなくなったからと捨てた奴だろう。

 危ない危ない……

 もう少しで脚を切断してしまうところだった。

 更に奥へ進んでいくと、嫌な臭いがした。

 鉄のような臭い……

 いや、このゴミ置き場には鉄でできた物はそこかしこに落ちているから鉄ではない。

 強いてあげるならば、

 血の臭い……

 嫌な予感がした。

 ゴミ山の頂上に人影らしき物が見えた。

 もう、日が沈みかけていたため、ゴミ山の麓からはよく見えなかった。

 俺はゴミ山を登った。

 登る度に、嫌な臭いが強くなる。

 どんどん、まるでゴミ山の頂上が発生源であるかのように……

 そして、頂上に辿り着く。

 光源が欲しかったため、携帯電話の液晶を使う。

 液晶の光に照らされて、目の前が鮮明に見える。

 目の前には、信じられない物が映し出された。

 それは、2つの『死体』だった。

 片方の死体は大剣を持ち、もう片方の死体の腹部を貫いていた。

 もう片方の死体はモーニングスターを持ち、片方の死体の頭部をグシャグシャにしていた。

 大剣で貫かれている方の死体の顔が見えた。

「ブリッツ……」

 その顔は歪んではいたが、紛れもなくブリッツだった。

 すると、もう1つの死体は……

 モーニングスターで、グシャグシャになっていてもはや顔で判別することはできない。

 一部は骨と肉と脳が入り混じった、わけの分からない物と化している。

 だが、俺が死体の正体だと予想する人物は、ある物をつけていた。

 ポニーテールにするための髪留め……

 そして、その予想をまるで正しいと言うかのように、その死体の髪の毛には髪留めがついていた。

「シミター……」

 2人はお互いを同時に殺したのだ。

 2人には、この世界は辛かったのかもしれない。

 謂われのないことで虐められ、何もしていないのに虐げられるこの世界が……

 そして、俺が2人にあんなことを言ったせいで……

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

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