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第11000話 黙示録に記されし暴食の怪物

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

 紙飛行機が旋回している。

 空間が再構築されていく……。

 過去を繰り返す空間ではなく、過去を終わらせる空間。

 暴走した過去に終止符を打つための空間。

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

 紙飛行機の量が増えていく。

 アシッグが急ピッチで作業しているようだ。

 これから、イミテーション共を殺す。

 自分の記憶から生み出され、自分を騙し続けた存在を殺す。

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

グイィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン

 イミテーション共を殺したら、その後はどうするか?

 そうだな……

 この空間を利用して自分の目的を果たすのも悪くないかもしれない。

「準備できたよ」

 アシッグの声が空間内に響く。

 空間はいつの間にかメカニカルになっていた。

 至る所に機械のようなものがある。

「そうか。こっちはいつでもできるぞ」

「じゃあ、イミテーションをそっちに送るよ」

 紙飛行機が一斉に止まる。

 止まった紙飛行機は、砂時計に変化した。

 そして、縦に回転しながら落下していく。

ドギュゥゥゥゥゥン!!

 砂時計の一つが×の字に爆発した。

 次から次へと、砂時計が爆発していく。

「エラーだ。イミテーションがこのバトルフィールドそのものを支配しようとしている……」

「支配? 何の為に?」

「君を取り戻すためだよ」

 イミテーションたちは、意地でもこの空間に俺を閉じ込めるつもりらしい。

「ごめんね」

 アシッグが急に謝った。

「何について謝っているんだ?」

「君を騙すために、色々なことをした挙句、その解決を君に任せることについてだよ」

「ああ、そんなことか。これは俺の問題だ。気にするな」

 イミテーションたちは元々、俺の記憶だ。

 俺が生み出したも同然だから、俺がかたを付ける。

「これからは、『創造主』の言うことはちゃんと聴くよ」

「そうか。なら……」

「ごめん。そろそろ喋っていられなくなってきた。イミテーションが現れる」

ドギュゥゥン!!

ドギュゥゥン!!

ドギュゥゥン!!

ドギュゥゥン!!

ドギュゥゥン!!

 砂時計が全て破壊された。

 俺は身体を構える。

 爆発の後ろから、13人の人影が姿を現す。

 身体はバグを起こしたように、ノイズが走ったり、斑点状に消えていたりしていた。

 目は見開かれ七色に発光し、歯を喰いしばった顔で固定されていた。

 手は黒く変色し、爪が生えていた。

「あーあー。そんな姿になってまで、俺を支配したいのか?」

 俺はイミテーションたちを笑顔で迎えた。

 もちろん、歓迎ではなく敵意を持っているという意味の笑顔を。

「ギサ……ギサルム……ム……。ニ……ニガ……ニガサナ……イ……」

 だが、イミテーションたちに俺の言葉を理解する程の意志は既になかった。

 俺に向かって飛び掛かってきた。

 13方向から繰り出される攻撃は避けようもなかったので、そのまま立ち尽くした。

 いや、避ける必要がなかったというのが、本当の理由だ。

 俺の身体に爪が刺さる。

 出血と共に、頭にデータが流れ込んでくる。

 イミテーションたちが、殺戮者になる前の俺のデータを植え付け、再び俺をこの空間に閉じ込めようとしていた。

「クックックックックックッ……」

 自然と笑みが出た。

 彼らへの憐みが、俺を笑わせた。

「無駄だ……。そんなことをしてもな……」

 俺は爪で刺された箇所に意識を集中する。

 たちまち傷は消え、更にそこから灰色の物体をイミテーションの腕に絡ませ、動けなくさせる。

 イミテーションたちは必死そうに腕を灰色の物体から引き剥がそうとしている。

 歯を食いしばったままの顔なので、尚更必死そうに見える。

「欠片も残骸も残らないように……喰い尽くす!!」

 自分の頭を超高速で変化させる。

 変化させてできたのは、人間の頭とは似ても似つかない怪物の頭。

 俺の本性とでも言うべき醜き姿。

 そして更に首を伸ばし、ちょうど目の前にいたファングの姿をしたイミテーションに頭を近づける。

「ギ……ギサルム……ツ……レ……モド……モド……」

グシャガボグジャバシャ……

 そして、喰い尽くす。

 欠片も残骸も残さないように、全てを喰い尽くす。

「ユル……ユ……サ……ナ……ナイ……」

 頭の上から声が聞こえる。

 うなじから新たに怪物の首を生やす。

 新しく生やした頭の目で確認すると、イミテーションたちが俺の拘束を振り切って飛んでいた。

 喰うことに集中しすぎたか……

 うなじから生やした首がレアンの姿をしたイミテーションを捉え、

「マ……マタ……イ……イ……ショ……」

ガシャベチャグシャクチャ……

 そのまま喰い尽くす。

 更に両腕を怪物の頭にして、超高速で伸ばす。

「イカナ……イカナ……イカナイ……イカナイデ……」

「モ……ド……モドッテ……モド……テ……」

ジュチャペチャグシャグボ……

ベチャシュチャクチャヌチャ……

 クリスとカレンの姿をしたイミテーションを喰った。

 その直後、バレットとレフシィの姿をしたイミテーションが3本の頭の間を猛スピードで突撃してくる。

 俺は肩から新たに2本の首を生やし、2体のイミテーションに向かわせる。

「ユルサ……ナイ……ナイ……ユル」

「ギサ……ギサ……ルム……ム……」

グシャァベチョグショクチャ……

ジュシャグシャペチョクシャ……

 背後に気配を感じた。

 背中から怪物の首を生やし伸ばす。

 背中の怪物の首の目に映ったのは、爪を振り上げているバルドスの姿をしたイミテーションだった。

「ヘイワ……ノ……ヘイ……ワ……ノタメ……タメニ……」

ブシャグチャガリィボグ……

 迷わずそのまま喰う。

 本来の頭の方に意識を戻してみると、ウォーデンの姿をしたイミテーションが目の前にいた。

「カ……カエ……カエッテ……キテ……クレ……」

 ファングを喰い尽くした首を上げて、ウォーデンの姿をしたイミテーションを喰らいに行く。

 だが、ウォーデンの姿をしたイミテーションの突撃してきたため、避けられてしまう。

 俺は本来の首の中程から怪物の頭を生やし、ウォーデンの姿をしたイミテーションが突撃する真正面に伸ばしていく。

 そして、

ブシャバチャゴシャブチャ……

「コ……コッチ……コッチニ……キ……キテ……キテ……」

 上方向に伸ばした頭の更に上から声が聞こえてくる。

 4本の頭で声の発生源を見ると、ブリッツとシミターの姿をしたイミテーションがいた。

「ギサ……ギサル……キテ……キテ……キテ……」

 2体のイミテーションは、俺に襲い掛からず、どんどん離れて行く。

 首を伸ばしても間に合うスピードではなかった。

 俺は背中に意識を集中させて灰色の翼を作り出し、飛翔する。

 更に翼を、スピードが出るように変形させる。

「ツカ……ツカマエ……マエ……ツカマ……エル……」

「モウ……イチド……ド……モウ……チド……」

グシャァァリ……

グオシュゥゥゥゥン……

 飛んでいる俺をランスとブライトの姿をしたイミテーションが追っていたが、脚が変化した怪物の首の餌食となった。

 このままのスピードで飛び続けながら首を伸ばせば、2体のイミテーションに届く。

「ソウ……ハ……サセ……サセナ……サセナイ……」

 本来の頭に衝撃が走る。

 攻撃してきたのは、ラウンドの姿をしたイミテーション。

 俺がそのイミテーションを確認したときには、方向転換して再び攻撃を仕掛けてきていた。

 本来の首から更に2本の怪物の首を生やして応戦する。

 だが、ラウンドの姿をしたイミテーションはそれを物ともせず突撃してくる。

 本来の首とウォーデンを喰らった首も攻撃に参加させる。

「オ……レ……ト……トト……モニ……」

 ラウンドの姿をしたイミテーションが一瞬止まった。

 その瞬間を見逃さなかった。

 腕が変化した2本の頭でラウンドの姿をしたイミテーションを喰らった。

ズジャァァァァァァァァァ

グシャベシャボシャ……

ゴシャクシャペチャ……

 縦に引き裂き、念入りに喰い尽くした。

 残るイミテーションは後2体。

 前方を飛んでいるブリッツとシミターの姿をしたイミテーション。

 肩から伸ばした怪物の首を向かわせる。

「サア……キテ……キテ……」

グベチャパシャブシャベチャ……

 ブリッツの姿をしたイミテーションを喰った。

 後1体……。

 怪物の首を伸ばそうとした時、前方を飛行していたシミターの姿をしたイミテーションが突如向きを変える。

 喰らおうとするが、逃げられる。

 だが、不思議なことに俺に攻撃してこない。

 気が付くと、本来の首の目の前まで来られていた。

 流石に攻撃してくるのかと思って、こちらも喰らう準備をした。

 しかし、シミターの姿をしたイミテーションは先程とは違っていた。

 顔は穏やかな表情になっており、手に爪はついておらず黒くもなっていなかった。

 シミターの姿をしたイミテーションが、本来の首に微笑みながら触れてくる。

 途端に俺の身体は元に戻り、周囲は穏やかな色の空間になる。

「ギサルム……」

「何だ?」

「もし、作られた世界じゃなかったら、この空間に留まってくれた?」

「さあな……」

「もし……もし、私たちが本物だったら、この空間に留まってくれた?」

「……」

「答えてくれないんだ……。でも、ギサルムには笑顔が似合っている」

「そうか……」

「ふふっ……じゃあ……」

「待て」

「え?」

「ありがとな……。俺が殺戮者になった日の事をはっきりと思い出させてくれて……」

「……グスッ」

「どうした?」

「……涙が出てきちゃった」

「……」

「ギサルムは変わっていないね。子供のころからずっと……」

「そうか?」

「それが分かっただけでも、私たちの存在意義は十分にあったよ……」

「そうか……」

「じゃあね……ばいばい、ギサルム」

「……くっ」

 そして、シミターの姿をしたイミテーションは俺に喰い尽くされた。

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