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第10010話 その死を目の前で

「お、ギサルムが来た!」

 朝、俺はいつも通りラウンドたちと合流した。

「おっす! ギサルム先輩」

「おはようございます。ギサルム先輩」

「おはようございます」

「おはよー」

「おはよう……ございます」

 ブライト、レフシィ、レアン、クリス、カレンが俺に挨拶をする。

「おはよう」

 俺も挨拶をする。

「そろそろ行かないと遅刻するぞ」

 バレットが教えてくれた。

 またか……


――どうせ、ずる休みだよ

――そうだそうだ

――昨日、普通にしてたのに休むか?

――しかも、2人揃って……

ピリリリリリリリリリリリリ!!

「はい。ギサルムです」

「ギサルム、僕だ」

 電話をかけてきたのはアシッグだった。

「今日は……今日だけは、日常の行動をしてくれ」

「……」

「いつも通りの行動を取ってくれ」


 昼休み。

 あの電話がかかってくる。

「はい。ギサルムです」

「……」

 少しの沈黙。

「ブリッツ……」

「ブリッツか……」

「……」

 ブリッツは再び黙ってしまった。

「どうした?」

「えっと、ギサルムに言わなくちゃ……いけないことがあるんだ……」

「何だそれは? 別れの言葉を言いにきたわけじゃないだろうな? まさか、自殺なんて考えていないよな?」

「え!? えっと……その……」

 そのまま、ブリッツは電話を切った。

ピリリリリリリリリリリリリ!!

 再び携帯電話が鳴った。

「はい。ギサルムです」

「あ、ギサルム?」

 今度はシミターだった。

「シミターか。どうした? 別れの言葉でも言いにきたのか?」

「え!? すごいね、ギサルム。何で分かったの?」

「不穏な空気を感じたからな」

「そうなんだ。じゃあ、改めて……バイバイ……」

 シミターはそう言って、電話を切った。

 俺は、すぐに走り出す。

「ギサルム!? どうしたんだ?」

 途中でバルドスに会ったが、今あいつに構っているわけにはいかない。

 昇降口まで勢いよく降り、急いで靴を履いて昇降口を出た。

 そして、学校から飛び出そうとした。

「コラァ!! お前、何しに行くつもりだァ?」

 豪腕の球体関節人形が目の前に現れた。

 今度こそは……

 こいつを倒して、2人の元に辿り着く!!

 俺は校門を乗り越えようとせずに、豪腕の球体関節人形に突撃した。

「やんのかああぁぁ!!」

 球体関節人形の豪腕が、俺の顔に向かってくる。

 俺はそれを避けようとした。

 だが、俺は何もないところでつまずいてしまった。

 駄目……なのか……?

ドスーーーーーーン!!

「すぐに職員室に運んでやる。……覚悟しとけよ」

 そのまま、俺の意識は途切れた。


 気が付くとそこは保健室だった。

「あ、やっと起きた」

 テディベアが俺の目覚めに気づき、こちらに向かってきた。

「全く何をやっているの君は」

 そして、叱ってきた。

 結局、この状況に……!!

 俺は急いで、走りだした。

「あ、ちょっと……」

 テディベアが俺を止めようとしたが、一足先に保健室を出ることに成功した。

 そして、昇降口に向かい、靴を履き、走った。


 俺はある場所に真っ直ぐ向かった。

 例のゴミ置き場だ。

 昨日は忘れていたが、今日ははっきりと覚えている。

 待ち伏せして、2人を止める!


 ハァ……ハァ……ハァ……

 急ぎ過ぎたか……

 身体がもう限界だ。

 立入禁止の看板が掲げられているゲートを乗り越えて、中に向かう。

 何か硬い物を蹴った。

 足元を見ると、それは剣だった。

 秘力使いや王国の兵士が、使わなくなったからと捨てた奴だろう。

 危ない危ない……

 もう少しで脚を切断してしまうところだった。

 奥へ進んでいっても、嫌な臭いはしなかった。

 鉄のような臭い……

 血の臭い……

 そんなものは、一欠けらも感じなかった。

 俺は、あのゴミ山の麓まで来る。

 そして、頂上を見上げた。

 が……

 見えるはずの人影が見えない……

 いるはずのブリッツとシミターがいない。

 ひょっとして来るのが早すぎたのか?

 まあ、いい。

 それならば、頂上で待ち構えていればいい。

 俺はゴミ山を登った。

 俺はゴミ山を登り続けた。

 ゴミ山の中腹まで来たとき、俺はもう一度頂上を見た。

「なっ……」

 人影が見えた。

 2人の人影が見えた。

 モーニングスターを振り上げる人影と、大剣を構える人影が見えた。

 ブリッツとシミターが見えた。

グシャァァァァァァァァァァァ!!!

ズシャァァァァァァァァァァァ!!!

 頭部が潰される音と腹部が貫かれる音が響いた。

 そして、頂上に辿り着く。

 目の前には、2つの『死体』があった。

 片方の死体は大剣を持ち、もう片方の死体の腹部を貫いていた。

 もう片方の死体はモーニングスターを持ち、片方の死体の頭部をグシャグシャにしていた。

 大剣で貫かれている方の死体の顔が見えた。

「ブリッツ……」

 モーニングスターで、グシャグシャになっている方の顔は判別することはできない。

 一部は骨と肉と脳が入り混じった、わけの分からない物と化している。

 だが、ポニーテールにするための髪留めがそれの正体を強調する……

「シミター……」

 2人の死を阻止できなかった。

 もう、2人がどうやって死ぬかを知っていたのに……

 もう、2人が何処で死ぬかを知っていたのに……

 間に合わなかった……

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 俺は、自分がまた何もできなかった後悔と、2人の死を目の前で見た恐怖から絶叫した。

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