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第1話 1となり世界は動き出す

 世界は、0と1の連続で成り立っている。

 何が0で、何が1か・・・

 その0か1かを繰り返し、世界は構築されている。

 世界は無限の二つの選択で出来上がっている。

 俺の身体だって、幾つもの0と1を繰り返した結果、目の前に存在する。

 これは、何も物質だけに適応されるわけではない。

 人々が話し合っている時、0か1かを迫られる。

 どちらかを選んだだけで、未来に発生する0と1は全て変化する。

 たまに0と1を混ぜ合わせて2ができたと言って叫ぶ輩がいるが、

 それは、その輩の中で0と1を繰り返した結果、生まれた新たな0か1であって、別に対して凄いことではない。


ピピピピピピピピピピピッッ!!

 うるさいなー。

 今、自分で考えた理論が完成しそうなのに・・・


“1”


 1?

 いや、違う。

 これは時計の針だ。

 俺が新しく買った時計は、長針と短針が重なると1に見えるという謎のギミックがある。

 また、時計の1、5、7、11の部分を結ぶ楕円が描かれているという謎のデコレーションがある。

 正直言って、たまに見づらい。

 ん? 待てよ?

 俺は、左肩を下にして、布団の上に横になっている……。

 そして、俺の視線の先には、針が1になっている時計がある……。

 ということは、今の時間は8時45分……。

 ……。

 遅刻だ!!


「おい! 頼むから起こしてくれよ! アシッグ!」

 リュックサックを背負い、携帯電話を片手に走っていた。

「ギサルム……。そんなこと言われてもねぇ……」

 携帯電話の向こう側から聞こえてくるアシッグの声は、呆れている雰囲気を醸し出し、

「だって、分からないし……」

 正論で返された。

 アシッグは、俺がインターネットで作った友達だ。

 無論、現実世界の友達ではないので、朝起こしてくれると言った、気の利いたことができるわけがない。

 要するに俺の八つ当たりだ。

「というかさ、ギサルム。走っていながら携帯していて大丈夫なの?」

 アシッグに心配された。

 情けない話だが、俺には体力が無い。

 皆無と言っていいだろう。

 とにかく、無い。

「あ? ……。ゼェー、ハァー、ゼェー、ハァー……」

 案の定、息が切れた。

「もう切るよ。こっちは作業あるし……」

 そう言って、アシッグは電話を切ってしまった。

 友よ、見捨てないでおくれ……。

 まあ、そんなことより、

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 全力疾走だぁぁぁ!!


 幸いにして、家と中学校の間はそんなに離れていない。

 しかし、早足でも30分はかかる。

 今日は20分かかった。

 1時間目、もうすぐ終わるな……。

ガラガラァァァァ……

「すみません……ゼェー……遅れました……ハァー……」

 教室の扉を開けて、先生に言った。

「うおっ!? 珍しいねギサルム君。君が遅刻するなんて……」

 先生は扉の音で一瞬ビクッとなったが、すぐに普段通りの態度になった。

「大丈夫か? すごく疲れているみたいだけど……」

「ああ……ゼェー……大丈夫です……」

 先生が心配してくれたが、運動後はだいたいいつもこんな調子なので俺は特に気にしてない。

クスクスクスクスクス……

 何処からか、笑い声が聞こえてきた。

――ギサルム遅刻とかまじウケる

――ざまぁねえな

 小さくだが、俺を罵倒する言葉も聞こえてきた。

 そう、俺は虐められている。

「君たち静かにしなさい!!」

 尚、教師陣は俺の味方である。

 理由は、俺が頭が良いからである。

キーンコーンカーンコーン……

「今日の授業はここまで。ギサルム君は後で誰かからノートを写してもらうように」

「気を付け! 礼!」


 俺は、自分の机に向おうとした。

 が、その前に誰かが目の前に立ち塞がった。

「おい。お前調子に乗ってんじゃねえぞ!」

「頭がいいからってなぁ!! 遅刻は遅刻なんだよ!! きちんと反省しろ!!」

 体育会系の2人が目の前にいた。

 何で俺はこいつらに反省する姿を見せなければならない?

「何で、俺がそんなことをしなくちゃならない?」

「んだとぉ!」

ガシィッッッ!!

 拳が顔面に飛んできそうになった。

 だが、それは誰かの腕が拳を掴んだことで、飛んでこなかった。

「やめろ……」

 その拳を掴んだ男が、体育会系の2人を睨んだ。

 体育会系の2人は、残念そうに舌打ちをして去って行った。

「大丈夫か?」

「すまん。ラウンド……」

 俺を助けてくれた男は、何も気にしなくていいという感じの笑顔で振り返った。

「気にすんな!」

 悪意のない笑顔で、俺を励ましてくれた。

「まあ……ありがとう……」

 雑かなと思うような返事をした。

 こうしないと、このやり取りを延々と続けることになる。

「やあ」

「……おう」

 自分の机に荷物を置くと左隣の男に挨拶した。

「すまんブリッツ。悪いんだが、ノート貸してくれ!」

 両手を合わせて、ノートを貸してくれるよう頼んだ。

「あ……ああ。はい……」

 ブリッツは無愛想にノートを出した。

 こんなやり取りだが、これでも幼稚園からの仲だ。

「本当にすまん……」

 ノートを受け取り席についた。

 今日も平和だといいな……

ドスーーーン!!

 突如として爆音が響き渡った。

 俺は爆音がした方向を見た。

 黒い煙が上がっている。

「何だ何だ!?」

 俺のクラスの人達が一斉に窓に駆け寄った。

「また、テロか?」

 ラウンドがいつの間にか俺の隣に来ていた。

「最近、多いなぁ……」

 ラウンドの隣にもう一人来た。

「バレット。何か知らないか? お前の父さん警察だろ?」

「いや、知るわけないだろ。守秘義務ってのがあってだな……」

 2人が言い合いを始めた。

 楽しそうだけど……

「こっちに来るかな?」

 ブリッツが俺の方に寄ってきた。

「さあな。来ないことを祈ろう……」

 予測しようがないので、適当な返事をした。

「ギサルム……怖いよ……」

「うおっ!」

 ポニーテールの女子が俺の前に現れた。

「脅かすなシミター!」

「ご……ごめん……」

 今にも泣きそうな目で俺を見てきた。

 お互いに話し方が微妙なことになっているが、ブリッツと同じく幼稚園からの仲だ。

「まあ、学校も何かしらの措置を……」

ピンポンパンポーン……

「緊急事態です! 殺戮者が現れたということで、軍が出動しました! 児童・生徒の皆さんは教室で静かにしていてください! 騒動が収まり次第、帰宅させます! 教室で静かにしていてください!」

 ……

 やったー、帰れるのかー……

 ……

 俺が学校に来た意味は?


 俺が住んでいるこのライティーン王国は、テロが絶えない。

 中でも殺戮者と呼ばれるテロリストたちは特に危険だ。

 彼らは自分の意志をアピールするためではなく、ただ殺戮をしたいがために大規模な行動をする。

 全く恐ろしい世の中だ。

「おーい! さっさと帰るぞー!」

 ラウンドが叫んでいる。

 考え込んでいる間に歩みを止めていたようだ。

「何してんだ。先に行っちまうぞ!」

 夕日が俺と一緒に帰る人々を照らしている。

 正義感が人一倍強いラウンド、

 ラウンドの弟でイケメンでクールなランス、

 その弟で運動神経が抜群に高いブライト、

 またまた弟で俺と同じぐらい頭が良いレアン、

 レアンの双子で普段は静かにしているけど、怒らせると怖いファング、

 クラス委員も務めるしっかり者のバレット、

 その弟でさわやかなレフシィ、

 実は王国の王子様のバルドス、

 一つ年下のアイドル的な存在であるクリス、

 その妹で小学校の方のアイドル的な存在であるカレン、

 俺の一番の親友であるブリッツ、

 引っ込み思案過ぎるシミター。

 これが俺の大切な友達。

 登校する時も下校する時もいつも一緒だ。

 俺はこいつらがいるから学校に通っていると言ってもいい。

 俺の日常がいつまでも平和でありますように……

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