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愚者の歩  作者: 双葉小鳥
愚者の道
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第五十八話

 



「……ード。ロジャード」

 シルヴィオは背後から聞こえた、聞き覚えのある声に慌てて振り返り、その人物を見た。

「…………国王、陛下……?」

 驚愕の表情を浮かべたシルヴィオの前に居る、人物。

 彼は、エドレイ国王・レイザイオン・ウェドー・エドレイ。

 その人だった。

「ロジャード。お前に会うのは、数えるほどだったな」

 懐かしむように、目を細めるレイザイオン。

 彼に、シルヴィオはスッと膝をつき、首を垂れる。

「あぁ。そんなものは必要ない」

 レイザイオンはそう言って、シルヴィオの前にしゃがむ。

「もう……必要ないんだ。ロジャード」

 微笑むレイザイオンに、両手で挟まれる形で顔を上げさせられ、シルヴィオは困惑。

「それは、何故ですか?」

 この問いに、レイザイオンは彼の顔から手を離し。

 ゆっくり目を閉じて、再び開けた。

「ロジャード。妻とルーフ、アン。それから……ずうずうしいのは承知だが、エドレイを頼む」

 レイザイオンは一家の父と、一国の王の顔が混ざった顔で、頭を下げ、消えた。

 これにシルヴィオは驚き、目を開けた。

 見えたものは自室の天井。

 訳が分からず上体を起こし、月明かりが差し込む、暗い室内を見渡す。

(夢……? でも確か……エドレイ王に会って、ルーフたちと国を…………頼まれた……?)

 彼はさっき見ていた夢の内容を思い出し、困惑。

 妙に胸がざわついた。

 シルヴィオはこのざわつきを気のせいだと無視し、再びベッドに身を倒して布団をかぶり、目を閉じる。

 だが、胸のざわつきは収まるどころか増した。

(……やはり変だ。大体、なぜ。エドレイ王の夢を見たんだ?)

 シルヴィオはそう思い、身を起こしてベットに腰かけた。

(ウェルに、相談してみるか……?)

 こうして、シルヴィオはウェルコットの部屋の、扉をノックした。

「ウェル。起きてるか……?」

『……シルヴィオ?』

 中からウェルコットの怪訝そうな声が聞こえ、シルヴィオは扉を開けた。

 ウェルコットは蝋燭の明かりを頼りに机に向かっていたが、体をひねって入ってきたシルヴィオに微笑んだ。

「どうしたんです。夜中に怖い夢でも見ましたか?」

「当たらずとも遠からずと言ったことろだな」

 シルヴィオは彼の言葉に困ったように笑った。

「そうですか……。では、どういった夢かお聞きしても?」

 シルヴィオはウェルコットの問いに、短く返事をして、先ほど見た夢のことを語った。

「…………嫌な予感しかしませんね……」

「お前もか……」

「はい。それで、行かれるのですか?」

「あぁ。テファが何か言って来たらそう言っておいてくれ」

 そう言って踵を返すシルヴィオ。

 ウェルコットはそんな彼に、一つため息をつく。

「……私も行きます」

「いや、必要な――」

「決定事項です」

「…………勝手にしろ……」

 シルヴィオはそう言って、エドレイ王のもとに飛んだ。

「あ……。 あの人は、寝間着のまま…………」

 そう呆れ顔で呟いたウェルコットの言葉は、もうすでにいないシルヴィオに届かなかった。

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