第二十六話
フッと笑ったシルヴィオ。
そんな彼をウェルコットが、困った様な呆れたような顔で見ていた。
『………………』
「………………………」
『…………………………………………』
「……そうか。沈黙を守る、か。 まぁそれも良いだろう。しかし、どんなに時間をかけようとも、私の意思は変わらない。さぁ、どうする? ブタブッテイ王」
しばしの沈黙の後。
シルヴィオは、その沈黙から相手の焦燥を感じとり、再び微笑んだ。
「良いだろう。ウェルコット、初めろ」
「はい。『我、天に作られし物。天よ――――」
詠唱を始めたウェルコットの声に、静まり返っていたブタブッティ側が騒がしくなった。
『?! 陛下……!!』
『陛下! ご決断を!!』
『あちらは本気ございます! 陛下!!』
しきりに『陛下!』と声があがる。
その声の中にブタブッティ王の声はない。
しかし、気配はある。
「さて、今ならまだ落下を止めることは可能だが、な」
そういったシルヴィオの声に、王の側近がさらに慌てだし、若干だが、王からも焦りを感じられる。
しかし、そのあと直ぐに『降伏する』と、重々しく言った。
「そうか。ならばよい」
シルヴィオは地面に迫っていた小瓶の動きを止めた。
「もう良いぞ」
彼は、防御壁を維持することに専念していたウェルコットに言い、ブタブッティ王の目の前に姿を現した。
座標とした王は、まるまると超えた男。
その男は玉座に深く腰かけていた。
「久しいな」
「………………」
突如目の前に現れたシルヴィオの言葉に、ブタブッティ王は固まり、うつむいた。
「早速だが、ここで貴様に選ばせてやろう。自害と処刑。貴様はどの死に方が良い?」
「「「「…………?!……」」」」
その場に居た者すべてに動揺がはしる。




