第二十三話
「待ってしーちゃん! 私も、私も連れてって!!」
玄関を勢いよく開けた、腰に剣を下げ、武装したテファ。
「ダメ。てか無理」
「どうして?! 昔はいろんな場所に連れててくれてたじゃない! それに、しーちゃんは一瞬で軍を丸ごと運べるのに、私は一緒に行っちゃダメなの?!」
シルヴィオの即答に、テファは声を荒げた。
そんな彼女に、シルヴィオはゆっくりとした口調でいう。
「……昔と今じゃ、事情が違うんだ」
「何が違うの? いっつも私はお留守番で、『しーちゃんたちに何かあったらどうしよう』って心配なんだよ! だから私、強くなったのに……!!」
目に涙をため、必死に訴えるテファに、シルヴィオは少し俯いたが、すぐに顔を上げて微笑んだ。
「テファ……。俺の仕事はこの国を守ることだ。そして、お前の仕事は……俺たちの帰るこの家を守ることだ。違うか?」
「…………それじゃ昔と変わらないわ……」
「あぁ、そうだな。だが、俺は誰もいない家に帰りたくはない」
「しーちゃん………………。分かったわ。私、しーちゃんとうーちゃんの帰りをご飯作って待ってる!」
微笑むテファ。
シルヴィオはそんな彼女に対し、顔をひきつらせた。
「いや、作るな。あんな物作る前に掃除してろ。いいな?」
「え? どうして?」
「…………絶対作るなよ? 絶対だ。いいな?」
「? ……あぁ、そっか。しーちゃんが食べたいものを作るのね? わかったわ」
納得したように頷いて、再び微笑んだテファ。
シルヴィオはつられて微笑み、行ってくると言って消えた。
彼が向かった先は、空も同然の宝物庫内部。
かろうじて残っているものは、宝物として価値の低いものばかりだ。
とはいえ、宝物であることにかわりはない。
ついでにシルヴィオがここに来た理由。
それは品定め、ではなく。
ここに放り込んだ危険物の回収だ。
ちなみに危険物とは「危険なものだから」とウェルコットが勝手に付けたものだ。
もちろん、その危険物達はそれぞれによって効果が違い、同じものは無い。
幼いころ、彼はそれが楽しくてしょうがなかった。
(さて、さっさと回収するか……)
シルヴィオは近くにあった小瓶やらなにやらに入った、それらをひょいひょいっと大量に抱え、ウェルコットの傍に移動した。
「待たせたな。ウェルコット」
シルヴィオの言葉に、ウェルコットは彼の方を向く。
「いえ。大丈夫です――て、あなた何を大量に抱えてるんですか?!」
「ん? お前が名前を付けた危険物」
「誰も名前なんて着けてません! それを早く捨てて来なさい!!」
「はは。まぁ、落ち着けよ」
「隣に危険だと分かっているものを抱えてる人の傍で落ち着けると思っているんですか?!」
怒鳴りつつも敵を後退させるため、次々に魔術を放つウェルコット。
そんな彼をみて、シルヴィオはさすがだと感心していた。




