後日談 天災
俺がウェルの家に厄介になって三日が過ぎた。
今日の天気は晴れ。
山に住む鳥たちの声が響いている。
――と言うより、うるさい……。
ゆっくり眠るなど、出来るわけがないだろう……?
もう。
うんざりだ!
何故日の出とともにうるさい鳥どもに起こされねぇといけねぇんだよっ!!
ふっざけんなよ?!
こっちとら寝不足なんだよ!!
「よーくもやってくれやがったなぁ、オイ」
……うむ。
寝不足が過ぎたようだ。
じゃなければ、白髪頭にアイスブルーの女装趣味のカマで変態、人格破綻者な男が目の前に居るはずがないだろう……?
基本的に少女姿だが、今日は男の姿だ。
酷く苛立っているようだが、身に覚えがないな。
ついでに、山から鳥どもが必死に羽を羽ばたかせ。
地を這う動物たちも同様にこの家のある山から必死に逃げていく。
不思議なこともあるものだ。
「……夢か」
ということで。
悪夢から目覚めるためにもう一度布団にもぐった。
「ふざけるなよ……?」
額に青筋を浮かべ、俺から掛け布団を奪った美丈夫。
これで頭の中が逝かれていなければ、国中の女と言う女が落ちただろうに……。
「はぁ……。何の用だ。クラジーズ…………」
「あぁ? てめぇ、ふざけんなよ? 消滅しかけただろうがっ!」
「チッ…………消滅しとけよ……」
ボソッと呟いてみる。
が、どうやら聞こえていたようで額の青筋が酷くなった。
「殺すっ!」
奴は赤い刃物を俺の頭目がけ振り下ろしてきた。
めんどくせぇなぁ。
おい……。
とか考えて、避けるかと考えていた時だ。
ヒュンと音を立てて飛んできた赤い刃物が、奴の振り上げた腕に刺さったのは……。
「私があなたを殺しましょうか? クラジーズ」
目が笑っていないウェルが扉を開け、現れた。
これに逝かれた人格破綻者は好戦的な笑みを浮かべる。
うむ。
これは早々に避難した方がよさそうだな。
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―――――――
という訳で、家から出たんだが……。
おかしなことに家だけでなく、山が消えた。
それも跡形もなく、だ。
どうやらこれを予期して動物たちは逃げたのだろう。
………………クラジーズは天災同様、感知されるのだろうか…………?




