後日談 マグマ
光る陣の上。
足元には、ゴボゴボと嫌な音を立てる灼熱の赤。
噴き上げる熱風。
「――――おいゴミ。これはどういうつもりだ……?」
「え? 火山だよ? てか、あたしゴミじゃないやいっ!」
『もうプンプン!』と、腰に手を当てて見上げてくる人格破綻し腐ったカマ。
服装はと言うと、膝丈でフリフリのロリロリなドレスタイプ。
頭にはそれと合わせたであろうヘッドドレス。
…………さて。
こいつは何がしたいのだろうな……。
「ん? どうしたの、顔。死んでるゾ!」
ぱちこんとウインクをかましてきたんだが、俺はどう反応したら良いのだろうな……。
と言うか。
何故俺は、こんな屑に付き合っているのだろう…………?
拷問だろうか?
いや。
拷問だな……。
「ほぉら~ぁ、シルヴィオ。楽しいでしょ! 笑って笑って! あはははは!!」
そう言ったのは、頭のおかしな女装趣味の変態。
いや、変質者だ……。
俺はそこまで考え、隣で表情筋の死んだウェルに目を向ける。
「ウェル。あれ、沈めるぞ。準備しておけ」
「はい。もちろんです」
一瞬にして働きを取り戻したウェルの表情筋は、笑みの形を作った。
……それはもう、楽しそうに…………。
まぁ。
良いけどな……。
さぁ。
あの変質者を沈めるか。
ちょうど、足元は灼熱のマグマ。
いい感じに消滅するんじゃないだろうか?
そう思うと気分が向上してきた。
ついでに、この間も逝かれた変態は何か言っている。
無視だ、無視。
てことで。
俺はクラジーズの足元の陣を、風を使って鋭く切りぬいた。
「ふぇ?」
と、落ちて行く変態。
もちろんここで終わりになどしない。
俺はあいつの頭を押さえる様、風で奴の体を下へ下へと押しやる、
人格破綻し腐った変態な変質者は必死に抵抗してきた。
だが、それを発生及び展開させてやるほど、俺は頭がおかしい訳ではない。
「?! っ……うわぁぁあああぁぁああぁぁああああああああ!!」
――――ジュッ……。
「…………死んだか……?」
俺はウェルが張りなおした陣の上からそれを見たまま問う。
「えぇ。死にましたね」
と。
ウェルはひどく楽しげに笑って答えた。
ここで俺はハタリと気がついた。
「俺、旅にでねぇといけなくなったんだった……」
「あ。そうなんですか? だったら私の家に住みます?」
「あぁ。そうだな」
「では、行きましょうか」
と、まぁそんなわけで。
俺はウェルの家に厄介になることになった。
ウェルの住んでいる家は、俺の家――といっても、ウェルに改築を頼む前――と変わらない広さだった。
しかも建っている場所は、田園風景広がる田畑を見下ろす山の中。
どの国なのかは分からない。
――――ヒューン
そんな音を立て、頭上の高い場所を黒マントの人間が飛んでいった。
…………あぁ。
ここはファムローダか……。




