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愚者の歩  作者: 双葉小鳥
愚者の道
177/185

後日談 マグマ

 光る陣の上。

 足元には、ゴボゴボと嫌な音を立てる灼熱の赤。

 噴き上げる熱風。

「――――おいゴミ。これはどういうつもりだ……?」

「え? 火山だよ? てか、あたしゴミじゃないやいっ!」

 『もうプンプン!』と、腰に手を当てて見上げてくる人格破綻し腐ったカマ。

 服装はと言うと、膝丈でフリフリのロリロリなドレスタイプ。

 頭にはそれと合わせたであろうヘッドドレス。

 …………さて。

 こいつは何がしたいのだろうな……。

「ん? どうしたの、顔。死んでるゾ!」

 ぱちこんとウインクをかましてきたんだが、俺はどう反応したら良いのだろうな……。

 と言うか。

 何故俺は、こんな屑に付き合っているのだろう…………?

 拷問だろうか?

 いや。

 拷問だな……。

「ほぉら~ぁ、シルヴィオ。楽しいでしょ! 笑って笑って! あはははは!!」

 そう言ったのは、頭のおかしな女装趣味の変態。

 いや、変質者だ……。

 俺はそこまで考え、隣で表情筋の死んだウェルに目を向ける。

「ウェル。あれ、沈めるぞ。準備しておけ」

「はい。もちろんです」

 一瞬にして働きを取り戻したウェルの表情筋は、笑みの形を作った。

 ……それはもう、楽しそうに…………。

 まぁ。

 良いけどな……。

 さぁ。

 あの変質者を沈めるか。

 ちょうど、足元は灼熱のマグマ。

 いい感じに消滅するんじゃないだろうか?

 そう思うと気分が向上してきた。

 ついでに、この間も逝かれた変態は何か言っている。

 無視だ、無視。

 てことで。

 俺はクラジーズの足元の陣を、風を使って鋭く切りぬいた。

「ふぇ?」

 と、落ちて行く変態。

 もちろんここで終わりになどしない。

 俺はあいつの頭を押さえる様、風で奴の体を下へ下へと押しやる、

 人格破綻し腐った変態な変質者は必死に抵抗してきた。

 だが、それを発生及び展開させてやるほど、俺は頭がおかしい訳ではない。


「?! っ……うわぁぁあああぁぁああぁぁああああああああ!!」


 ――――ジュッ……。


「…………死んだか……?」

 俺はウェルが張りなおした陣の上からそれを見たまま問う。

「えぇ。死にましたね」

 と。

 ウェルはひどく楽しげに笑って答えた。

 ここで俺はハタリと気がついた。

「俺、旅にでねぇといけなくなったんだった……」

「あ。そうなんですか? だったら私の家に住みます?」

「あぁ。そうだな」

「では、行きましょうか」


 と、まぁそんなわけで。

 俺はウェルの家に厄介になることになった。

 

 ウェルの住んでいる家は、俺の家――といっても、ウェルに改築を頼む前――と変わらない広さだった。

 しかも建っている場所は、田園風景広がる田畑を見下ろす山の中。

 どの国なのかは分からない。 

 

 ――――ヒューン


 そんな音を立て、頭上の高い場所を黒マントの人間が飛んでいった。


 …………あぁ。

 ここはファムローダか……。


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