後日談の後日談
負けました。
減らない件数と嬉しい感想に……。
なので続きやります。
人格破綻者が主に出張ってくると思います。
ご容赦ください。
俺は壊れたように笑うウェルをソファーに座らせ。
茶を入れた。
ウェルは先ほどのアルティファスの言動により、黒く笑っている。
……こんな温厚な奴。
怒らせんなよ…………。
――コトッ
ウェルの前のサイドテーブルに茶を置くが、ウェルがそれに気づいた様子はない。
まいった……。
ここまで怒りの感情を表すウェルは初めてだ。
クーの初登場以来じゃないか?
こんなに壊れるのは……。
あの時も酷かったもんなぁ…………。
急に叫びだすわ、口調が変わるわなんわで。
極めつけはあの表情だな。
【絶望】って言葉がぴったりだった。
あぁ。
今でもクー相手だと、ちょいちょい口調が乱れるな。
本人は『当然』と言っていた――――
「うわぁあああああん!! メルのバカあぁぁあ!! 私に『嫌い』って言ったぁぁああ!!」
突如響いた声は、本日ウェルが壊れた原因。
それは壁に寄りかかり茶を啜る俺の少し離れた正面、そしてウェルの座るソファーの右斜め前程の場所に表れ、床に座り込んで顔を覆っている。
……おいおい。
さっき【完】ってしたばっかりだぞ。
なのになんで戻ってきてんだよ……お前は。
「ふふふ……アルティファス。よく、戻ってきましたね。ちょうどよかった」
『ふふ』っと笑うウェルコット。
彼の手に握られている鈍く光るメイス。
その先についた丸い球体に、鋭く光る数本の棘。
彼はそれをアルティファス目がけ、振り下ろした。
――――ドォォンッ……!
激しく床が揺れた。
と、言うより家そのものが揺れたんだ。
おまけにミシッという音。
…………ウェル。
頼むから家、壊すなよ……?
まぁ。
直すのはお前だから良いか。
――と、言う訳で。
気が済むまで黙って見ていることにした。
案の定。
家が崩壊した。
もう、跡形もなく。
そして帰ってきたウィア達は、そのがれきを前に、立ち尽くしていた。
うむ。
ほどほどで止めるべきだったか……?
「お、お爺ちゃん。こ、これは、いったい……?」
「あぁ、ウィア。おかえり。すまんな、ウェルが暴れたんだ」
「え! あの温厚なウェルコットさんが?!」
酷く驚くウィア。
ただ、驚いた表情をしているのはウィアだけでなく、ランドールとひ孫たち三人は、そろいもそろって驚いていた。
そうだよな。
驚くよな……。
俺はあまりの事すぎて、早々に家から出たほどだ。
はぁ…………。
ここまでウィルを激怒させるヤツなど、人格破綻者ぐらいのものだぞ……?
…………だがまぁ。
人格破綻者が居なかったからこそ、この程度で済んでいるのだろうな……。
「どうしたの、シルヴィオ。変な顔して。あ! 元からだったね!! ごめーん!」
はぁ……。
何故こいつは来なくていい時に限って来るのだろうな……。
「ん? どしたのシルヴィオ。目が死んでるよ? あ、目だけじゃないね! 存在自体が死んでるよ!」
「……お前ちょっと黙ってろ…………たのむから……」
「い~やっ!! こんなに可愛いあたしにそんなこと言うの? ひ~ど~い~~~~!!」
ハイテンションの女装趣味の人格破綻者な爺。
奴の声に、がれきの上にメイスを突き立てていたウェルがゆったりと、こちらを向いた。
刹那。
人格破綻者――――クラジーズ・グルヴィ・キーゼは、血まみれのメイスを腹に受け、メイスと共に星となった。
「だから『黙ってろ』と言っただろうが…………」
【馬鹿な奴だな】。
そう、意味を込めて呟いた。
まぁ。
確実に奴の耳には届いていないだろうがな……。
……さてと。
とりあえず、ウェルを落ち着かせるとするか…………。
お気に入り件数、増えてるのと、『続きが読みたい』との嬉しい言葉を受け。
続投。
ホントはするつもり、なかったんだよ……?
でも、やっちゃった。
ガッツリ不定期です。
それでよろしければ、楽しんでいってください。
あと、短編であげてる【むかし話】ってタイトルは、ウェルコットがシルヴィオに会う前の少年期です。
ウェルコットが主役です。
なので、人格破綻者の出番はないっ!!
ちなみに。
この頃のクーは【愚者の歩】で書いた通り、ファムローダを出てます。




