百二十一話
なんて考えながら居座る気満々で離し始めたクー。
話を整理すると、アルティファスが人型をとり、縦横無尽に大陸を破壊したとのこと。
そしてそれが、鎖が切れたあの日。
あの晩の出来事だとクーは話した。
「そうか。で、そんなアルティファスがこの大陸を破壊していないのはなぜだ?」
「あ~それね。ダンたち五神が抑え込んでるんだよ」
「……そうか」
へっへら~と笑ったクー。
……もう帰ってくれないだろうか。
俺もウェルも疲れたんだ。
ウェルを見てみろ。
腹押さえてうずくまってやがるぞ……。
「どうしたの? 顔、死んでるよ?」
「…………そうか……」
お前のせいだよ。
なんて、言えるわけないが。
こいつの事だ。
そう言ったとて、効き目はないことくらいわかっている。
「でね! 今現在進行形で押されてるんだよ~」
クーはそう言って、人差し指を立て、顎に当てて首をかしげた。
一見愛らしくともあるが……。
…………中身が、な……。
「………………そうか……」
同じ言葉を繰り返している気がするが、そんなことはないだろう。
……もう早く帰ってくれないか?
俺とて、前線の状況を確認に行きたいんだ。
負傷者の手当てと、迷惑をかけている兵士たちに、休息を取ってもらわねぇと。
「てなわけで、しゅっぱーつ!」
……は?
今このカマ、なんて言いやがった?
「「っ?!」」
なんで足元に魔方陣が展開してんだよ?!
え。
ちょ、っと待っ――!
――――ギュオン。
そんな。
不気味な音がしたんだ……。
音が収まって、辺りを見回すと、荒地だった……。
そこに俺とウェルは、椅子に座ったまま。
先ほどと変わらない配置でいた。
クーは……。
自慢するかのように、胸を張って立っていた。
……ふざけるのもいいがげんにしろよ?
俺にって都合ってもんがあんだよ、分かれよ。
そんぐらい……。
――――ゴォォオォ!
…………なんだ?
何か、こちらに飛んできているんだが………………って、おい。
なんで炎をまとった巨石が飛んでくんだよ?!
チッ。
ふざけやがって!
俺は手を横に振り、横なぎにおこした風でそれの進路を変える。
巨石はそのまま吹っ飛び。
俺たちから離れた場所で、巨大なクレータを作り。
止まった。
まったく。
なんでこんなもんが飛んでくんだよ…………。




