第百二十話
「はぁ……。それで、用はそれだけか?」
ついため息が出てしまった……。
まぁ、それはそれとしてだ。
お前はそれだけなら、さっさと帰れ。
面倒な奴はもうこりごりだ……。
「バッカねぇ……。それだけだと思うの?」
胸を張って言うクー。
気違いの考えることなんて、分かりたくもねぇけどな。
大体は想像はつく。
「ウェルをいたぶりに来たんだろう?」
「正解! ボッコボコにするよ!!」
ぶいっと言って再び登場したピースサイン。
頭のおかしな奴はそれを突き出し、笑った。
「………………そうかそうか。死なないよう加減しろよ」
面倒事はごめんだからな…………。
はぁ……。
内心でため息を付く。
そして、クーは作ったピースを目の上にかざし、ウインク。
「もっち!」
………………。
ウェル。
俺はもう無理だ。
後はお前に任せた。
そう思いを込め、ウェルに微笑む。
ウェルの顔色が絶望に変わった。
「やだウェル~! あたしに相手をしてもらえなかったからってそんな顔しないでよ~」
クーの矛先がウェルに向かった。
ウェルは顔色が悪くなった。
…………良し。
本題に入ろう。
「…………で、本題はなんだ?」
「ん~? あ。でね! 大陸の消滅は、アルティファスが直接手を下したんだって!!」
「……は?」
こいつは急に何を言い出した?
アルティファスが直接手を下した?
さんざん手を下して病だとか水害災害を起こしまくってただろうが……。
「もう、だからね! 回りくどいことしてたアルティファスが、直接やったんだって言ってるの!!」
いや。
だからな。
「もうすでに直接手を下していただろうが……」
「だぁかぁら! 違うんだって!!」
そういて頬を膨らませるクー。
……外見だけなら微笑ましい様子だが。
さすがにな……。
「ちょっと! 何考えてるのよ!! 変態!」
「お前がな」
「違うわ! 私変態なんかじゃないもん!!」
「………………」
……お前、中身オッサンだろうが。
「あんまり生意気なこと思ってると殺すよ?」
「ぶっぞうなことを言うなよ。また子供たちが怯えるだろうが……」
「いないじゃない。その子供たち」
「お前を見て顔引きつらせてただろうが」
「え~? そんなことないよ! ただ私が可愛過ぎたせいよ!!」
キャッと言って両手を頬にそえたクー。
その姿は様になっていた。
もちろん外見が、だ。
あぁ、それと。
一日始まってそんなに立ってないが、ひどく疲れた……。
…………もう、帰ってくれないかな……?
と言うか。
帰ってください…………。
後生だから……。




