表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の歩  作者: 双葉小鳥
愚者の道
146/185

第百十九話

 こうしてエドレイと同盟を結んだが。

 肝心のアルティファスの鎖はすでに壊れている。

 ……この同盟は意味をなさない。

 しかし、意味をなさずとも異形だなんだと言う国には軍の進行は続けさせている。

 といっても、ファバルの軍勢を見ただけで相手の方から降伏してくるが……。

 …………問題は人間ではなく。

 もっと厄介な者だ。

 俺はそう考えながら、フォードが作ってくれた朝食を食べる。

「まいったな……」

 思わず口から出た言葉。

 この言葉にフォードは怪訝そうな顔で、こちらをみてきた。

「何にまいったんだ?」

 俺は彼の問いに、ラティたちが居ることもあり、少し答え辛い。

 とりあえず誤魔化すことにしよう。

「……何でもないさ。ところでこの目玉焼き、白身がパリッとしていてうまいな」

「いつもそうだぞ?」

 クッ……!

 だったら。

「……黄身がとろっと――」

「それもいつもだ」

 スパッと切り捨てられた……。

 まいったな。

 誤魔化されてくれないようだ。

「……………………おいしいな」

「意味わかんねぇ」

 ジト目で見られてしまった……。

 絶対こいつ。

 俺を変な奴だと考えているな。

 まぁ、あながち間違いではないか……。

 って。

 そうじゃなくてだな。

 とか考えていたら、フォードに軽く暴言を吐かれたが、目をそらしてくれたので許すとしよう。

「おっはよ~ん! とーっても可愛いクーちゃん参上!!」

 腰に片手を当ててピース。

 だけではなく。

 ウインクをかましてきた。

 …………ハッキリ言おう。

 厄介なのが来た……。

 そう思い、うんざりしたのは俺だけでなく。

 ウェルは深々とため息をついてテーブルに突っ伏した。

 テファは慌てて顔をひきつらせる子供らを、リビングから連れ出している。

「…………何の用だ?」

「あは! ねぇ知ってる? 海向こうの大陸が消滅したって!」

 片手を広げ、その中指・指先を口元に当てた外見『美』のつく少女。

 中身は恐らく三十路手前のおと――――。

 ――ピュン!!

 音を立てて俺の顔面めがけ、回転しつつ飛んできたものは、刃が紅い鉈。

 躱さなければ大怪我。

 躱せば家が損傷。

 どちらもウェルが直すことが可能だ。

 が。

 俺が無駄に怪我をする必要もない。

 それに、この鉈を掴むような無謀な真似、したくない。

 きっとコイツの事だ。

 何かの術式を組んでいる恐れもある。

 そう判断して、軽く上体を移動させて躱す。

「チッ……。掴めよクソが…………」

 とても小さく、低くい声音が聞こえた。

 発声元はもちろん可憐な少女。

 を、装った男。

 やはり何か仕組んでやがったか……。

 まったく。

 油断も隙もありゃしねぇ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ