百十四話
「………………わかった」
そう、バルフォンが頷き。
タヌキたちはそろって消えた。
おい。
せめて説明ぐらいしていけよ……。
「…………アイツらは結局、何が言いたかったんだ……」
意味が解らない。
セメロ邸に居た、使用人のリディア並みだな……。
「さぁ……。ですが、何とかなるようなので良かったですね」
ウェルはそう言って微笑んできた。
……こいつも分かってなかったか…………。
「クー。お前は国に帰ったらどうだ?」
「え~、ここに居てもいいじゃない!」
「部屋はない」
「あ、あたし。ウェルと同室でいいよ!」
「却下だ」
「何でよ! 理由は?!」
「ウェルを殺しかねない」
「はぁ……。心配性な主人だね、しーちゃんって! ウェルは頑丈だから死なないって言ってるでしょ?」
……『しーちゃん』って…………。
俺がいつ、お前にそんな風に呼ばれるほど親しくなった……。
記憶にねぇぞ……。
「一応。それは俺の家族なのでな。そう簡単に危害を加えられては、黙っているわけにもいかないんだ」
「むぅ……。あたし、危害なんて加えてないもん!」
『大体ね』と付け足して何か言い始めた。
内容はとてもくだらない。
こんなバカの話をいちいち聞いられっか……。
「………………おい、こいつの部下。さっさとこれを持って帰れ」
これ以上無駄なことに体力使ってたまっか。
はぁ…………。
もう、疲れた。
なんて考えていたら、ラティ、テオ、イオルが近寄ってきた。
「しーちゃん、おつかれ?」
と言ったのはラティ。
俺はそれに大丈夫だと答える。
「かた、たたこっか?」
と、テオ。
その横ではイオルが心配そうな顔でこちらを見ている。
……この子たちと暮らし始めて二年。
ラティとテオは社交的で、イオルは内向的な性格。
ルルカ、ルルクは二人とも悪戯っ子で、細かいところをめんどくさがる。
ちょっとした違いが見当たらない。
フォードは面倒見が良い上、周りを良く見ている
さすが、ここ達を守ってきていただけはある。
学問と武術においても優秀だ。
そして――――。
「おい。飯」
フォードはそう言って、俺の座っている席の前に、食事を置いた。
シンプルだが、とってもまともで、人間の食べても良い料理だ。
……フォード。
お前が常識人で本当に良かった……。
そう思いながら、皆で夕食をとり。
子供たちは風呂に入って部屋に上がっていった。




