第百一話
だが、そんなに早くからこの国は、いや。
世界には異変が起こっていたのか……?
しかし、クーは世界の異変は最近の事だと言わんばかりだった。
となると、実は異変は二年前から一斉に起き。
最近になってそれらは大きくなり、目立ち始めた。
と、言うことか。
では、この国にいつ異変が起きてもおかしくない。
「……そんな、契約は確か千年。残り百年はあるはず…………」
そう言ったのはウェルコットだ。
ダンドルディックが言った言葉を思い出したのだろう。
「あぁ。しかし、一斉となるとおかしすぎる。ルファネス、とりあえずファバルと同盟を結べ。その方が安全性は増す」
頼むから、頷いてくれ。
それで、それだけでこの国の崩壊は遅らせることができるんだ……。
「わかった。お前が言うならそれを信じてやる」
俺がそんな風に切実な思いで告げた言葉に、ルーフは即答。
…………ならあった時に頷いとけよ!!
この馬鹿王子!!!!
あ。
今は王だったな。
くれぐれも愚王にならないことを祈る。
いや。
ウィルロットが見張ってるから、まずそんな事にはならないと思うがな。
「悪いな。エルセリーネ、至急帰国するぞ」
俺はルーフに軽く頭を下げ、兄上たちに報告をするため、隣で俺の腕に抱き着いているエルセリーネに声をかけた。
ウェルコットは俺がソファーとテーブルの間を通るためか、気配が離れた。
「はい。シルヴィオ様」
エルセリーネはそう返事をして、立ち上がると俺の背に手を当てた。
一瞬、何かわから無い感覚が走ったのを感じ、目を開ける。
そこには酷く混乱した様子の、二年前と変わらない姿の少女・ニコラが居た。
…………丸二年。立った、よな……?
まぁ。
そこは何も言うまい。
ニコだっていろいろあったはず。
「行くぞ。ウェル」
「はい。シルヴィオ様」
俺は、ウェルの返事を聞き。
ファバルに移動した。




