表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の歩  作者: 双葉小鳥
愚者の道
101/185

第七十三話

 眠そうな一人と一匹が傍観する中。

 激しく音を立てながら衝突する二人。

 この二人に疲労の色はない。

 しかし、リビングの壁や床は傷だらけで、絨毯とソファーは切り裂かれ、飾られていた絵や、花が活けられた花瓶は床に落ち、壊れている。

(めんどくせぇな……。そろそろ止めるか…………)

 ため息をついて頬杖をつくのを止め、上体を起こしたシルヴィオは口を開いた。

「ウェル、クー。その辺にしておけ」

「「?!」」

 シルヴィオの言葉に、二人は驚き。

 クーは大きな斧を振り上げ、ウェルコットはそれを砕くべく、右手を出そうとして、固まった。

「ここは室内だ。そんなに暴れたいのなら、外でやれ。もちろん。ここを元通りにしてからな」

 彼はそう言って、あくびをすると、足元のタヌキを抱える。

「ところでお前。痛くないのか……?」

 すっと刺さっている鍵に手を伸ばしたシルヴィオ。

 彼の手がそれに触れるか否かのところを、クーとウェルコットがガシッと掴んだ。

「何をしているんです、シルヴィオ!」

「消えたいの?!」

 血相を変えてどなった二人。

「……だったら早くこいつをどうにかしてやれ」

「あ。いっけなぁい! 忘れてた!」

 呆れ顔のシルヴィオに、クーは「てへっ」といって笑い。

 ウェルコットは困惑気だった。

「……って。どうしてこの様なものがタヌキの背に…………?」

「あ、これね。ウェルの知ってるのと違うから。これはあたしが零級で作った、魔術とか呪いとかを解除するための鍵だよ」

「と言うことは、魔法学校入り口の鍵ではないのですね?」

「うん。ただ、あれみたいに可愛い感じにしたかったから、お手本にしただけ」

「そうですか」

 ニコニコ笑うクーに、安堵の表情を浮かべたウェルコット。

 置いてきぼりを食らったシルヴィオ。

 彼は膝に乗せたタヌキの頭を撫でながら、二人のやり取りをただ聞いていた。

 しかし、昔話に花を咲かせようとし始めた二人。

 それを聞き流すが、終わりそうになかったので強制的に二人の会話を終わらせ、タヌキの話に戻した。

「それで、タヌキにかけられてるモノを解くんじゃなかったのか?」

「あ。そうだったね。それ、貸して」

 そう言ってシルヴィオからタヌキを取り上げたクー。

 彼女はタヌキを床に下ろして、背中に刺さっている鍵に手を添えた。

 これによって、タヌキの周りに色とりどりの魔方陣が浮かび上がり、タヌキの姿がザザッと乱れる。

「やっぱり……。これ、ウェル気づいてた?」

「……いいえ。あなたは良く気づきましたね」

「あたしは、零級の気配を感じたからね」

「…………零級は、零級を扱える術者にしかわかりませんし、解除もできませんから」

 そういって苦笑したウェルコット。

 彼はため息をついて、タヌキからシルヴィオに視線を移した。

「シルヴィオ。あなた、『発生途中の魔術や錬金術は危険だからふれてはいけない』と、言い聞かせていたでしょう? 忘れたのですか」

「……そんなこと言ってたか…………?」

「言いました。あなたがうんと小さい時でしたが、ちゃんと言い聞かせていました」

 呆れ顔のウェルコットに、シルヴィオはめんどくさそうに『知らん』と言った。 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ