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美術館の夢

作者: 鳥兜附子


 午前2時。僕は美術館に入った。なぜだか、鍵は開いていた。

入場料の代わりに、靴下を片方脱ぎ捨てて、観覧する。

明かりは全くないのに、薄暗かった。カツンカツンと、革靴の音が響く。

 一枚の絵が現れた。

天使が僕に語りかける。やぁ、機嫌はどうだい?僕は最高さ!こんなにも晴天だからね!

でも僕はそうは思わない。だって、クラヤミなんだもの。

だから僕はこう答えた。晴れていようが雨だろうが、僕は歩くので精一杯さ。

 歩き続ける。

西洋甲冑があった。

彼は僕を見ると、怪訝そうな顔をした。

僕は挨拶をした。彼の手の剣で切られたくなかったからだ。

おはようございます。随分とお早いんですね。

しかし、彼は怪訝そうな顔をしたまま黙っている。

無性に腹が立つので、その顔を殴り飛ばしてやった。するとどうだ。その頭はガランドウじゃあないか。

床に落ちた空の顔は、怪訝そうにリノリウムに溶けていった。

 まだまだ歩く。

奇怪なオブジェがあった。その隣には傘も。

なんて幸運なんだろう!傘が見つかるなんて!

この先、雨が降るとも限らないから。

でもその傘は骨だけでした。

オブジェは言う。残念。アナタが落としたのはその金の傘よ。正直者には罰を与えましょう。

僕は返す。雨が降ってないから、骨だけの方が軽くて便利なんだよ。

僕は傘を差して進みます。

 一枚の大きな絵が掛かっている。

先客もいた。

絵の前に開いた穴から、ネズミがプカプカ浮かんでいる。

あらネズミさん。お金は払ったの?

ネズミさんは答えました。僕たちはもう死んでしまうから良いんだよ。

ネズミさんは、僕の差す傘に触れて、弾けて消えてしまいました。

 出口は見つからない。

行き止まりできょろきょろしていると、蜘蛛がいた。3mもあるような巨大な蜘蛛。

不思議に思って、目を擦ると、居なくなった。

なぁんだ、やっぱり錯覚か。

右を見て、左を見て、右を見るとまた蜘蛛が居た。

なぁんだ、やっぱり本物か。

行き止まりを真っ直ぐ進むと、蜘蛛が後ろを着いてきた。

 その部屋には電球が取り付けられていた。

やっと明かりが着くぞ!

僕は、部屋の向こうにあるスイッチを押す為に走った。

スイッチは、輪ゴム鉄砲だったので、振り返って狙撃しようとしたら、電球を蜘蛛が食べてしまいました。

だから僕は途方に暮れて、蜘蛛を打ち抜いた。

蜘蛛は空に溶けて、右足だけになってしまった。

おやすみ。

 やっと出口が見えてきた。

ドアの隙間から光が漏れている。

ドアを開けると、甲冑の首が座っていた。

ここは、どこだい?

甲冑は怪訝な顔をして喋らない。

まぁ、いいや、明日は学校だからもう寝よう。僕は、首を枕にして眠りました。

枕は言います。

『きみはすでにわたしだが、わたしはまだきみじゃない』


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― 新着の感想 ―
[良い点] ・安部公房っぽいのを書こうというやる気が伝わってくる。 [気になる点] ・おれは安部公房が好きじゃない。 [一言] 甲冑がむかつくだの、金の傘を落としただの、話の投げやりぶりに少し笑った。…
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