00「チュートリアル開始」
iPhoneゲーム『潜入ゲーム』のライトノベルコンテスト応募作品になります。まだ受賞経験等のない新人ですが、ご一読頂き、ご感想頂ければ幸いです。
また、執筆者の方で興味を持って頂いた方は、今後も公募等の情報、互いの研鑽などの為、ぜひご感想等頂けませんでしょうか。ツイッターでも同名で登録があります。宜しくお願いします。
「やること無さ過ぎ。なんていうか、こう、スカッとすることがしたいな」
「欲求不満じゃん? だったら二人で抜けて、あ、大丈夫。黙っててあげるからさ」
「ばーか。お前となんか死んでも無理」
「なはは、言えてる」
「うっせーデブ! 笑ってんなよな」
「正直なんでもいいんだよ。たださぁ、いろいろと飽きた、っていうか」
「そしたら今までにない体験に、興味はないかな」
「おっ、なんだお前いきなり」
「ちっす。よろしくねっと」
「薬とかはパスだぜ? チームも禁止してるしな」
「ああ、大丈夫、勘違いしないで。あるゲームの話だから」
「ゲームて。オタクかお前、ははは」
「ただし。今までに成しえなかった画期的なシステムを組み込んだゲーム、ではある」
「つまりは?」
「なんと夢の中の世界を、自分の意思で自由に行動できるんだ! すごいと思わないかい?」
「…………」
「……ちょ、何言っちゃってんの? 本当は薬……」
「少し黙ってろ。そんなこと本当に可能なのか?」
「簡単に言っちゃうと催眠術みたいなもんね。ヘッドフォンで音楽を聴いて記憶の中にダイブするんだけど、奥底に潜む記憶を見つけ出すのが、また面白いもんでさ」
「嘘だぁ。信じらんねぇ」
「これから流行るよ絶対。今はまだ、噂が飛び交う段階だけども、いずれは若者の間で人気が出る。すぐに品薄になっちゃうんじゃないかなぁ」
「どうせプレ○テでしょ?」
「そういう単純な話じゃないよ」
「はぁ?」
「ああ、誤解しないで。プラットホームではなくてメーカーについてはよく解らないんだな」
「テキトーだな」
「いろいろな説がありすぎて俺にも判別がつかないんだよ。曰く、日本最大手の家電会社がゲーム部門の再建を狙ってとか、曰く、インターネットプロバイダのステマだとか。巷に設定が溢れすぎて正直決められない」
「あーあるある、そういうの。タダほど高いモノは無いっていうかぁ?」
「もちろん怪しいって噂も聞くね。でも、それならすぐに手を引けばいいだけの話さ」
「それで、あんたはやったことがあんの?」
「……あるよ」
「へぇー、どうだった? 難しいのかな?」
「別に普通だよ。少し、思考能力が試される部分はあるけどね」
「うぇぇ。ウチ頭悪いからパス~」
「ちょっと待て。よくわからない、というのまではいい。ただ、何が面白いのか理解できないな。夢の中に入るのがそんなに楽しいか?」
「夢を見るのが嫌い?」
「ああ。そんなに好きじゃぁない。現実の方がよっぽどだ」
「自由に好きな事ができる世界が手に入るかもしれないんだよ?」
「別に今、不自由してないからな」
「そうか、そういう人もいるんだねぇ。ごめんね、無駄な話につき合わせて」
「ちょっと待った。それ、詳しく教えてくんね?」
「んん? ええと君は、ちょっと、やめておいたほうがいいかも」
「はぁー? 勝手なこと言うな!」
「あははは、デブには無理だって」
「う、うるせぇブス! お、お前ふざけてんのかっ!」
「やめろヒロ」
「どうせよぉ騙そうとしてるんだろっ? 見え見えなんだよなっ!」
「嘘じゃないよ。お金もかからない。サイトにアクセスすれば無料で送ってくれるからね。それに、経験を積めば報酬だって貰える。騙すなんて人聞きの悪い」
「騙されるかよっ。それにそんな噂聞いたことねぇし」
「だったら調べてみれば? サイトの名前は……」
「ヒロ、いい加減にしろよ」
「潜入ゲーム」