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ある日突然大悪魔?!  作者: 彩霞
第1章 入学準備をやらなくちゃ
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その8 「拘ってたのは」

1日空いてしまったのに、引き続き来ていただいてありがとうございます!

「さ、ひなちゃん脱いで」

「え、ええっ?!」

「だって、ひなちゃんあんまりこんな服着てくれないし、お手伝いするだけよ?」


そんなこと言っても、恥ずかしいし……

うー、でもこんなに嬉しそうなお母さんに嫌だって言えるわけないやん……

覚悟を決めてTシャツを捲り上げて一気に脱いだ。

うわぅ……やっぱりめっちゃ恥ずかしい!

思わず手で隠してお母さんの方を見ると、お母さんがなぜかぽかんと口を開けてた。


「ひなちゃん……」

「な、何?恥ずかしいから早く……」

「穿いてなかったのね……」


改めて言われると、恥ずかしさがどんどん込み上げてきた。

うー、めっちゃ顔が熱くなってきた。

絶対今顔真っ赤やわ。


「だって、だって、大きすぎて穿いてても脱げるんやもん!」

「それもそうよね……ごめんなさい、気付かなくて。

 ちょっと待っててね」


お母さんまたタンスへ向かったけど……ウチこのまま放置?!

それは流石に嫌やったから、とりあえずもっかいTシャツを着ようしたんやけど、その前にお母さんが戻ってきた。


「お母さんが買ったまだ使ってない分があったから、とりあえず今はこれを使いましょう。

 上は……とにかくちょっと測ってみましょう」

「その前に穿かせて……」


メジャーを手に迫ってくるお母さんを何とか押しとどめて、何とか身に着けることができた……

その後はぐるぐるとメジャーを巻き付けられて、いろいろと測られてしまう。


「ひなちゃん、お母さんとあんまり変わらないくらいになっちゃったのね。

 お母さんの方が少し大きいくらいよ?」

「あう……」

「ちょっと抱きしめていい?」


急にそんなこと言われて、ウチはちょっと戸惑ってしまった。

返事もしてなかったけど、お母さんは後ろからぎゅっと抱きしめてくる。

ふわっといい香りがしてあったかい。


「ごめんね、何もできなくて……

 代われるものなら代わってあげられればよかったのに……」


お母さんの声が急に涙声になったから、ウチは慌てて振り向いた。

涙に歪むお母さんの顔、昨日からさっきまでずっとニコニコだったのはウチのためにがんばってくれてたんやて、めっちゃ感じることができた。


「お母さん、ウチは大丈夫やよ。

 お母さんもお父さんもウチがこんなことになっても、変わらずに優しくしてくれてる……も、ん……」


そのとき、ウチは大事なことに気付くことができた。

外見に拘ってたんはウチ自身やったんやって。

この姿になる前は、家族に似てない自分の姿に、ちょっと引いた感じでの接し方をしてたんやって。

だから甘えたりするのも下手やったんかなって。

今度はこんな風に変わってしまったけど、お母さんやお父さんのおっきなおっきな愛情を感じることができたんは、もしかしたら契約のご褒美なんかも知れへんって、そう思えた。


「くしゅん!」

「まあごめんなさい、風邪ひいちゃうわね。

 上は……今だけお母さんのブラキャミ使ってね。

 後で一緒にお買い物に行きましょう」


体が小さくなってから、何だか体が冷えやすくなった気がする。

まあ、今は別にいいや。

お母さんの用意してくれた服は、今のうちにとっても問題なく着ることができる大きさやった。

何回目かわからんけど、やっぱり縮んでしまったんやね……

着替えが終わって、リビングに戻ろうとしたんやけど、お母さんが引き留めてきた。


「ひなちゃん、ちょっとだけ髪の毛も、ね?」


そんなおねだりポーズで首を傾げられると、ウチでも耐えられないからっ!

お父さんって、お母さんのこういうところでいちころだったんやないかなぁ……今度こっそり聞いてみよ。

ドレッサーの前に座らされて、改めて自分を見てみると、お母さんの選んでくれた服は今のウチの姿とそれなり……ううん、結構いい感じに似合ってる気がする。

は、はわ……何でこんなこと考えてしもたんやろ?!

めっちゃ恥ずかしくなってきた……

あ、あ、あくまで金髪のかわいい女の子の姿に似合ってるってだけで、ウチがかわいいとかそういうことやないんやからねっ!


「あら、どうしたの?

 何だかお顔が赤いみたいだけど、体調が悪いとかじゃないわよね?」

「だ、だいじょぶ……」


鏡越しに見るお母さんは、さっきまでのニコニコ顔に戻ってる。

よかった……できることならお母さんやお父さんには笑顔でいてもらいたいもんね。

ふぅ、ちょっと落ち着いた。


「ああ、こんなことさせてもらえるのって、幼稚園以来かしら?

 小学校に入るときには、ひなちゃんはもう髪の毛短くしてたものね」

「そういえばそうやったよね。

 多分、前にやった契約のときくらいやと思う。

 ウチも何で短くしようって思ったんかは覚えてへんけど」

「どんな髪型がいいかしらね。

 やっぱり長いといろいろ試し甲斐がありそうだわ。

 それにこんなにきれいな色だものね。

 お母さんもひなちゃんとお揃いに染めてみようかな?

 そしたら姉妹と間違えられたりして……なんてね♪」


お母さんは鼻歌を歌いながら、髪を束ねたり、まとめてみたりといろいろ楽しそう。

でも、染めるのはやめてね……姉妹と間違えられるのは結構可能性高そうだけど……

その後しばらく、あれもいい、これもいいといろいろ楽しむお母さん専属モデルを務めることになったんやけど、それが終わるのはあまりに長時間戻ってこないのを心配したお父さんが「何かあったのか?」って入ってくるまで続いたのでした。

じっとしてるのって大変やわ……

エイプリルフールって、ネット上の方が盛り上がってる気がします。

ていうか、ユーモアの効いた嘘って難しいですよね。

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