閑話 その43.6 「本多啓太郎2」
閑話2本目は本多くんからです。
「学級委員、音頭とってくれよ!」
「はぁ、もうわかったよ……
みんな飲み物は揃ってる?
それじゃ、球技大会学年優勝を祝して、乾杯っ!」
「「「かんぱーい!!」」」
球技大会の打ち上げなんて、誰が言い出したのかわからないけれど、結局僕のところにいろいろと回ってきてるんだよね……でも、よくあのタイミングでこの人数の予約が取れたもんだと思う。何せ、今ここにはほぼ全員が揃ってるんだから。
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「本多、ちょっと相談乗ってくれないか?」
「何かな?」
球技大会の後、賞状とトロフィーをどう飾るかについて、先生と話をして、目途がついたところで帰る準備をしていたところに、クラスの数人の子が声を掛けてきた。
「打ち上げの出欠の集計を取ったんだけど、一応ほぼ全員参加なんだよ」
「へえ、すごいじゃないか」
「でもな……」
内部進学の彼が、少し困った様子で同じく内部進学の女の子の方を見ると、彼女は丁寧な字で書かれた一覧表を僕の方に差し出してきた。
「クラブや用事で、全員が揃う時間がないのよ。
どうしたらいいと思う?」
「ちょっと見せてね……ああ、わかりやすいねこれ」
誰がどの時間に参加可能かが上手くまとめてあって、一目でわかるようになっている。よく見ると、朝に用事があったり、昼からクラブだったりと、確かに全員が揃う時間がないようだ。
「あ、あと本多くんは参加できるかな?
何か相談もちかけておいて順番が逆なんだけど、さっき新さんと話してたから聞けなくて……」
「うん、大丈夫だよ。
あと……カズ、お前も来るよな?」
「え……」
そう、さっきの一覧表のカズのところは、参加できる時間が記されてなかった。こういうのに積極的に参加する奴じゃないけど、他の人はみんな参加できるみたいだし、折角なんだから全員参加にしたいからね。カズを見ると、少し迷惑そうな表情だけど、これくらいなら押し切れるはずだ。
(ちょっと君たちからも頼んでよ、絶対いけるから)
相談に来たメンバーだけに聞こえるように、小さな声でそう伝えた。
「枚岡、頼む、男子バスケと女子ドッジが優勝の立役者なんだ」
「枚岡くん、お願い!」
「……はぁ、わかったよ。
何とか都合付ける」
ちょっと僕の方を睨んだ後、諦めたようにため息をついて了承するカズの答えに、残っていたメンバーも拍手したりして喜びを表してた。でもきっと帰りに愚痴られるんだろうね……しょうがないけど。
「あ、それで本題の方だけど……」
「そうだね、お昼が一番参加が多いから、午前からお昼ぐらいまでとお昼から午後までの二部構成ってところかな。
お昼にみんなで一緒にご飯に行くことにして、午前と午後は全部参加できる人のためにも、別の企画を用意しておけば大丈夫だろう」
「そっか、それいいね!
さすが本多くん!」
「となると、何するかとか、お店どうするとか、いろいろ決めないと……間に合うかな……」
今日が水曜日だから、あと3日、この人数の予約を取るとなると割と厳しいラインかもしれない。まあ、そこは発案者のみんなに頑張ってもらうしか……
「ケイタ、店くらい取れるだろ?」
「「えっ?」」
発言した人に、その場にいたメンバーの視線が向いた。そしてそのまま僕の方へと
期待に満ちた視線が向けられた。カズの奴……
「本多くん、いけるの?」
「うーん……」
思わず苦笑が浮かんでしまうのを自覚する。カズが言ってるのはうちの親の経営する店であるファミレスのことを指しているのは明白だ。割と有名な店なんだけど、僕はカズ以外にそのことを言ったことはない。カズだって周りに漏らすつもりがないのは分かっているけど、これはさっきの仕返しなんだろうな。
「わかった、ちょっと心当たりがあるから。
でも確実じゃないからね?」
わぁっと盛り上がるその場を後にして、僕は屋上へと上がった。あまり目立つところで携帯を使うのも気が引けるからなのと、話の内容を周りに聞かれたくないからだ。
電話をする先は、煌陵学園から一番便のいい店舗で、だめなら沿線の駅から近いところかな。別に親の名前を出して無理やりとか考えてるわけじゃないし、普通に予約がいければそれに越したことはないし。
電話が繋がって、人数と時間を伝えると、拍子抜けするほどあっさりと予約が取れてしまった。まあ、手間が掛かるのを望んでいたわけでもないし、ありがたいんだけど。
教室に戻って、予約が取れたことを伝えると、またみんなが盛り上がる。これで僕の役割は果たせたかな。あとは当日楽しめばいい。
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「って思ってたんだけどなぁ……」
「ん?何が?」
「ああ、こっちの話。
それにしても、さっきのボーリングは今度リベンジさせてもらうからね」
「また行くのかよ……」
乾杯も終わってわいわいとそれぞれに盛り上がってる。こんな雰囲気を味わえたのなら、ちょっとくらいの苦労は構わないかな。それにしても午前中の企画のボーリング大会では、カズと同じレーンで残念ながら僅差で負けたんだよね。午後からはカラオケだって言ってたっけ。今度は勝ち負けなんてないし、あとは気楽に楽しませてもらおうかな。
カラオケにて
その1「有名な男性フォークデュオの曲を歌う2人を見て」
葉月「本多くんも枚岡くんも歌うの上手いわね……」
日生「うん……」
葉月「でも本多くんもなかなかやるわね。
たぶん放っておいたら枚岡くん、歌わずに終わってたと思うし」
日生「うん……」
葉月「それにしてもこの2人はバスケ以外もこなすなんて」
日生「うん……」
葉月「ひなちゃん……?」
日生「うん……」
葉月(……どっちがお目当てかしら?)
日生「……そそそんなこと考えてないからっ!」
葉月「……何も言ってないんだけど?」
カラオケのちょっと暗い照明ではわかりづらいけど、ひなの頬がちょっと赤かったり?
その2「有名女性アイドルグループの曲に巻き込まれた1人に注目して」
日生「む、無理、知らないから……」
咲良「そんなこと言わずにさ」
有紀「わたしたちの真似してればいいから」
日生「で、でもっ!」
咲良・有紀「「一生のお願いっ!!」」
日生「ひぃぃ……」
本多「天宮さん、すっかりみんなのアイドルだね」
葉月「だって、ひなちゃんだもの。
あ、でもまた失敗したわ」
本多「そこも天宮さんの魅力なんだろうけどね。
カズはどう思う?」
枚岡「……別に」
葉月「もう、またあわあわしてるし、本当にひなちゃんもかわいいわ……
枚岡くんもそう思うわよね」
枚岡「……別に」
本多(そう言いながらもちゃんと見てるんだよね)
枚岡「何だよ、ケイタ……」
本多「ん?別に?」
最後まで振り付けが上手くできなかったひなが、帰って動画を見ながら練習したとかしないとか?




