その4 「再契約でびっくり」
連日来ていただいてありがとうございます!
出だしが前回と一緒っぽいけど、既読じゃないですからっ><
「あらあら、目を覚ましたようね」
「ひなちゃん!」
聞きなれた声が聞こえてきた。
お母さんの声。
あれ、また寝てた……?
「ひなちゃん、ごめんね、大丈夫?」
「まったくだ……流石にあれはないだろう」
しょぼんとして小さくなってるベルさんに容赦のないアスモさん。
まあ、たしかに衝撃は測り知れなかったんやけどね。
(とにかく、新しい契約しちゃおう。
このままじゃひなちゃんも不便だし)
「わかりました、我等にサポートはお任せください」
アスモさんの声でベルさんも復活して動き出す。
さっきと同じように、2人はウチに向かって手をかざして目を閉じた。
違うのはウチが寝てるってことくらい。
(それじゃ、あたしの言うとおりに復唱してね。
だいじょーぶ、ベルちゃんたちのサポートもあるし、声は出るはずだから。
じゃ、いくよー。
我、汝と共に在らんとする者なり)
「我、汝と……って?!」
声が出たことに驚いたんじゃなくて、その声に驚いてしまった。
だって、頭の中に響くルー様の声とめっちゃ似てたんだもん……
ウチ、声まで変わったんやね……
(もー、途中でやめちゃだめよー。
最初からやり直しだからね。
我、汝と共に在らんとする者なり)
ここまできたら、もうどこまでだって流されてやるっ!
なんて前向きなようにみえるけど、これ以外に道はないっぽいもん。
「我、汝と共に在らんとする者なり」
(うんうん、じゃ次ね。
定められしその時まで、我が身は汝と一つであり、我が心は汝に寄り添うものとす)
「定められしその時まで、我が身は汝と一つであり、我が心は汝に寄り添うものとす」
(おっけー。
故に我は汝であり、汝は我である)
「故に我は汝であり、汝は我である」
(今、我は汝との契約を結ぶ)
「今、我は汝との契約を結ぶ」
(汝、王たる者よ)
「汝、王たる者よ」
(次で最後だよ。
其の名を以て、我、天宮日生との契約をここに宣言せよ)
「其の名を以て、我、天宮日生との契約をここに宣言せよ」
(上出来だよ、ひなちゃん♪
あとは最後の仕上げだけっと)
ルー様の声が聞こえた後、ウチの体はまた自由が利かなくなった。
そして、ウチの口が勝手に動いて言葉を紡ぐ。
「我が名を以てここに宣言しよう。
我ルシフェルは、汝天宮日生と共に歩むことを」
その瞬間、ウチの体は真っ白であたたかくて、何だか神聖な雰囲気すら感じる光に包まれた。
そして急に体に感覚が戻ってきた。
「我アスモデは宣言を聞き届けた。
我が名を以てこの契約を保証する」
「我ベルゼビュートは宣言を聞き届けた。
我が名を以てこの契約を保証する」
アスモさんとベルさんがウチの体に触れて言うと、光はウチの体に吸い込まれるようにして消えてしまった。
(ごくろーさま、契約はバッチリだよ。
それじゃ、あたしはちょっと疲れたから休むね。
アスモ、ベル、後はよろしくね~)
「ちょ、ちょっと?!
ルシフェルって?!」
何かで聞いたことあるんやけど……
そう、めっちゃすごい悪魔やったんちゃうっけ?
「あらあら、そういえば言ってなかったかしら。
わたしたちは悪魔と呼ばれたりもするわね。
でも別に悪いことばっかりしているわけでもないのよ」
「その辺りも含めていろいろと説明せねばなるまいな。
しかし、まずは起き上がって、ご両親に無事を確認してもらうといい」
「あ、はい、そうですね」
アスモさんとベルさんが手を取ってウチを起こしてくれた。
もう体は前と同じようにちゃんと動くみたいやわ。
「お母さん、お父さん……」
2人は固まったままだった。
ウチだってそうなってもおかしくないくらいにありえへんことばっかりやもん。
まずはお母さんに抱き着こうとして近づいたていったんやけど、近づくにつれて何か違和感を感じてきた。
……うん、間違いない。
間違いなく……視線が低いんちゃう?!
だって、お母さんをちょっと見上げてるんやもん……
もう、ほんまに何でもありやわ……
「あは、は……
お母さん、ウチ、何か縮んでしまったみたいやわ……」
「ひなちゃん……
ひなちゃんがまた倒れたとき、どうしようかと思った……
ほんとに、無事でよかった……」
お母さんがぎゅっとウチを抱きしめてくれた。
こんな風にすっぽりと抱きしめられたんて何時以来やったかな……
お母さんの温かさを感じてると、不意に張りつめてた気持ちが切れてしまいそうになった。
「うっ……くぅ……」
「ひなちゃん……
大丈夫、お父さんもお母さんもいるんだからもう大丈夫よ。
ひなちゃん、いつも我慢ばっかりしてたけど、もっともっと甘えてくれていいんだから、ね?」
「お母……さ……うわああああああん……」
もう、どうしようも感情が止まんなかった。
学校でちょっとくらい嫌なこと言われたって、相手してくれる人がいなくたって涙なんか出なかったのに。
どんどん溢れてくる涙と抑えられない声。
後ろから頭を撫でてくれる大きな手はお父さんの手だ。
お母さんに負けないくらいに温かい。
そっか……嫌だからじゃないんだ、悲しいからじゃないんだ、2人の温かさが嬉しいから止まらないんだ……ね……
これが止まるのにはもうちょっと時間が掛かりそう。
だから、お母さん、お父さん、もうちょっとだけ……
悪魔の名前って色んな読み方ができるって、今回いろいろ見てて知りました。
ちなみに今出てきてるのはフランス語読みを当ててみています。
誤字脱字など見つけていただいた方、よかったら教えてください!