表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信頼の絆 ~終わり無き永遠の旅へ~  作者: 黒衣の旅人
異世界 ディアスガルド編
4/5

第三話

待ってる人がいるか分かりませんが大分遅くなりました。


第三話を投稿します。

自然の精霊ドリアードが宿る樹齢千年と言われる古大樹、それが存在する深き森の浅いところにある《森の町フォレストレア》。

俺とエルム兄妹の三人はあの後襲撃らしい出来事もなく町にたどり着いた。

人と自然が共存する町と言われるだけあってそこは太長い木壁で町を囲い、木の周りに小屋が在って木々の間をつり橋が架かり、下の地上には木製の家に蔦が絡んだ石の家がある。クリフによると(いにしえ)の時代からある遺跡の街で、伝説上に存在したエルフや、代々と続く森の番人の町とも囁かれている場所らしい。

そして俺たちが町の入口である門を潜り抜ける時に門番と思う兵士が四人、こちらに駆けつけて来る。


「まてまて!・・・君たちは聖域に入るために来た冒険者か?ギルド証を確認したい。先ほど酷い怪我をした冒険者がギルドに運び込まれたが、君らは来る途中で何か見てないか?」


走ってきた兵士の内、責任者らしき見た目三十代程の長身の人物が話しかけてきた。酷い怪我をした冒険者の件でクリフの表情が強張る。


「あの!その運び込まれた冒険者って軽装の男性と大剣を持った女性ですか!?」


「む、君たちは彼女たちの知り合いか?」


「この二人の仲間だ。ここへ来る途中に『ダーデス』を名乗る集団に襲われたんだ」


「『ダーデス』だと!?それは本当か?」


「ああ、奴らの隊長さんがご丁重に名乗ったから騙りじゃないかぎりそうだろうな。それよりほら、二人のギルド証を確認してくれ。ちなみに俺はギルド証を持ってない」


『ダーデス』って結構有名どころなのか?説明したら兵士四人が驚いてる。彼らが驚いてる間に仲間を心配して少し焦ってるクリフを落ち着かせて二人にギルド証の提示を促す。

この世界にギルドがあるのは確認できた。二人が出した銀色のカードがギルド証なんだろう、必要なら後でギルドに加入しないといけないな。

余談だが、俺はあらゆる多層世界を旅しているから必要だと思ってギルドや役所で発行してもらった物が多い。影の中で仕分けをしているが、並行世界で使い回せない物もあるので整理しても結構嵩張ってる。


「ギルド証を持ってない?君は仲間ではないと?」


「俺は通りすがりに二人を助けただけの旅人よ。ギルド証が無いと不味いか?」


「いや、別に問題はないが、少し時間を取らせてもらうことになるぞ」


「事情聴取か」


「まぁ、そうゆうことだ。本来この町の出入りに身分の確認や荷物の検分はしないのだが、殺しを生業とする暗殺組織『ダーデス』、なんとか生き残った冒険者から判明したことだが、この町の周囲でそいつ等に襲われて殺された冒険者がここのところ多くてな。奴らが何の目的で行動してるかは不明だが警戒する必要はある」


「つまり身分証明になるギルド証を持ってないから事情聴取を念のためにするってことね」


ならしょうがないと納得して聴取を受けることにした。その前にクリフとティナに渡す物がある。隊長さんと話してる間に二人は荷物の検査をしてもらい、今ちょうど終わったところのようだ。


「おーい、二人共ちょっち来てくれ」


呼ばれた二人は荷物を持ってこっちに来る。


「なんですか?」


「なに?」


「ああ、ギルド証を持ってないから事情聴取を受けることになってね。あの説明(魔法)については必ずするけど、それは聴取の後になるからギルドか宿屋で待っててくれ。それと仲間が重体だろう?これを渡しておくよ」


懐に手を入れて影の収納空間(解りやすくアイテムボックスとか命名するか?)から瓶に液体が入っている物、回復薬と蘇生薬を取り出してクリフに手渡す。


「・・・これは?」


「赤いのが飲んで良し、傷にかけるも良しの怪我を治す回復薬。緑のが死者蘇生とはいかないが、どんな瀕死状態からも持ち直す蘇生薬だ。必要だろ?」


「なっ!?ポーションはまだしも蘇生薬って・・・い、いいんですかこんなものを受け取っても?」


「・・・蘇生薬なんて聞いたことない」


「タダとは行かないがな。クリフとティナには後で情報と言う支払いをしてもらうぞ?なに、俺が訊きたい事を尋ねるからそれに答えてもらうだけだ」


この世界の回復アイテムの有無、そして名称も確認できた。異界の魔法や道具を見せびらかすつもりはあまり無いのだが、ここで信用を得るためにも最低限はものを出さないとな。全部を教えるつもりはないが。


「それだけ・・・ですか?」


「それだけだ。はっきり言って恩を売ってるつもりでもある。俺には俺の目的が有るからね、これはビジネスだと思っておけ。・・・隊長さん、重体者の治療に必要だからこの回復アイテム持ち込んでもいいよな?」


「むぅ・・・目の前で聞いたことのない怪しい薬を出して持ち込む話をされて黙ってる訳にもいかないが、人の命が助かるかどうかの話だ。条件として治療が終わるまで彼らを見張らせてもらうぞ?」


「OK、なら急ごうか。二人は早く仲間のとこに行け。ギルドで治療中だろう?一分一秒を急ぐ必要がある、場所の案内は見張り係さん頼んました」


「・・・クロモリさん。ありがとうございます。ティナ!ギルドに急ごう!」


「分かった。・・・ありがとう、また後で」


真剣な顔で俺に礼を言ってから、この場に居た二人の兵士にギルドまで急ぎながらも案内されて町に入るエルム兄妹。それを見送ると残った隊長さんと部下に促され、二人に両脇を挟まれつつ近くの詰め所らしき小屋に案内される。

大丈夫だと思うが、事情聴取の結果によっては拘束される可能性もある。・・・旅人や冒険者にしては旅に向かなそうな軽装すぎる荷物も持たない見た目で十分怪しいが。


まぁ、そん時はそん時で色々と改竄するだけだがな。色々と。



___________________________



古大樹がある領域は聖域と呼ばれ、そこに立ち入るには聖域の手前にある森の町の領主に許可を貰わなければならない。

僕ことクリフ・エルムを含む旅の冒険者四人は精霊が持つ力の欠片『霊石』を手に入れに聖域へ行く途中だった。なんでもこの国の王の娘である王女が病に倒れ、あらゆる手を尽くしたが治るどころか病が重くなる一方でこのままだと死んでしまうらしい。

聖域内はドリアードの魔力が満ちていて、それを浴びた草花はすくすくと育ち、薬草などは最高の薬になる。そんなドリアードの力の欠片を使って治療薬を作るとのことで、国王は霊石を持ち帰った者に望みし褒美を与えんと御触れを出したため幾人もの冒険者が《フォレストレア》に集まった。


僕の先生でティナの師匠である賢者オースト様に言われて修行の旅に出て、精霊が持つという『精霊石』を集めてる途中だった。今回の御触れは姫様を助けて精霊石も手に入って一石二鳥だとパーティリーダーであるフリックさんが提案したのでここに来た。

フリックさんとミーシャさんとはここの国とは山を三つ程越した所にあるミルチルダ国のギルドで知り合って、旅慣れてない僕たち兄妹に色々とアドバイスをしてくれた。

そして一月程の時間を掛けて『水の精霊石』を手に入れた僕たち兄妹は次の精霊石を求めてフリックさん達とお別れするはずだったが、ボロボロの姿でギルドに戻ったところをミーシャさんに見られたらしく、二人だけで集めるなんて危険だと言って僕たちの旅に同行してくれた。

なぜ僕たち兄妹にそんなに親身になって親切にしてくれるのか尋ねたら「ミーシャの亡くなった妹にお前ら兄妹が似てるらしくて、つい世話を焼きたいらしい。お前は男なのにな」と、フリックさんが笑って答えた。フリックさんの場合はミーシャさんが心配でついてきたと言った。

優しくて強い、僕もティナも信頼している大切な仲間の二人。それなのにこんなことになってしまった、しかも二人のどちらかが今にも死にそうな状態で。


僕はただ危険な旅に巻き込んでしまっただけなのではと、ギルドに向かいながらそう思っていた。


この町では二番目に大きい建物であるギルドの前まで案内された僕たち兄妹は、直ぐにギルドの中に駆け込んで受付のギルド職員に二人の居場所を訊いて僕らの見張りをしている兵士を後ろに伴い医療室に急ぐ。

医療室に入ると数台のベットが目に入り、その内の一つに見知った人物がベットの隣に立っていた。


「ミーシャさん!」


「!クリフ・・・?それにティナ。二人とも無事だったのか」


「ミーシャさん。フリックさんは・・・?」


頭や腕に包帯を巻いたミーシャさんは無言のまま目線を隣のベットに移す。そこには身体を中心に包帯を全身に巻いたフリックさんが寝ていた。だがその顔色は悪く、呼吸も荒くて時々苦しそうな呻き声が口から漏れ聞こえてくる。


「・・・全身を切り裂かれ、胸を一突き。医師の診断だともって後・・・数時間の命らしい。あいつは、あの男は強かった。フリックがその強さに気がついて一人で足止めしようとした、だが・・・だが!あの時、私も共に挑んでいればフリックが、彼は死なずに済んだかもしれない!」


ミーシャさんは自分を責めるように声を荒めて話す。その姿はいつも凛としたミーシャさんと違い、暗い影を落としててジッとフリックさんを見つめている。


「・・・治療はしたんでしょ?この町なら治療に使う薬には困らないはず」


「ここ数日、聖域に入れないらしくて、ハイ・ポーションなどの高級薬が不足してるらしい。この町の外で魔道士が頻繁に襲われてるせいで高位の回復魔法を習得した魔道士も今は居ない」


「魔道士が襲われる?・・・もしかして、私達が襲われたのは、私が、居たから?」


フリックさんが死に瀕する事態に自分が原因だと思ったティナはショックを受けている。

魔道士を襲うことに『ダーデス』が関わってるのは間違いない。僕らの前に出てきてわざわざ名乗ったことも何かが有るに違いない。でも、今はそれよりもフリックさんの方が先だ。


「しっかりしてティナ。それより早くフリックさんにこの薬を使わないと」


「あ・・・うん、そうね。先に蘇生薬を使ってからそのポーションを使えば良いと思う」


「?二人とも、何の話を・・・?」


「僕たちは襲われて別れ別れになった後、ある人に助けられたんです。そして瀕死の仲間を助けるのに使えと、これを貰いました」


クロモリさんから受け取った薬をミーシャさんに見せる。少し怪訝な顔をしたものの、フリックさんが助かる可能性があると理解し「分かった」と一つ頷いてベットの前から横に退くミーシャさん。

僕はベットの前まで行くと蘇生薬の蓋を開けてフリックさんに蘇生薬を飲ませようとする。ミーシャさんが頭を支え持ち、少しずつだがゆっくりと飲ませていくと、顔色がだんだん良くなり、呼吸も正常にするようになる。

すぐに現れたその効果に安堵と共に高位魔法みたいだと蘇生薬の効果に内心驚く。そして最後に包帯の上から染み込ませるようにポーションを傷口にかけて、残りの中身を飲ませる。

その途中でこの部屋の医師が戻ってきて一悶着があったが、さっきまで手の施しようがないと痛々しい姿で死ぬのを待つしかない瀕死だったフリックさんは、ベットの上で浅い呼吸をしながら眠っている。

そして医師がすぐにフリックさんの検査を行い、非常に驚いた表情を見せる。その結果は完全に持ち直して峠を越えたと言った。


「これは驚いた!いったい何をしたんだね?あの状態からここまで持ち直すなんて。ただポーションらしき物を使ってたにしか見えなかったが、彼の先程までの状態なら高級薬と回復魔法の両方を持ち得ないと助からないはずだったが・・・」


思案顔でどうゆうことかとブツブツ言ってる医師。最初から見ていた二人の見張りの兵も「あの重体で助かるなんて凄いのを見た」と言って報告のために引き上げていった。


「クリフ、ティナ。フリックを助けてくれてありがとう。・・・心から感謝する」


「ま、まってください。僕たちは何もしてません。あの人、クロモリさんから貰った薬のおかげです」


「そう、逆に私たちも助けられた。それに魔道士が襲われる事件なら、魔道士の私を狙ってきたはずだから、感謝なんて・・・」


「そうか・・・分かった。クロモリという人物に礼を言うとしよう。それとティナ、そんなに気にしないでくれ。これは貴女のせいじゃない。私も、フリックも、こうして無事なのだから」


「・・・うん」


ミーシャさんの無事を確認できてフリックさんも助かった。だけど、裏で動く『ダーデス』と魔道士を襲う事件。さらに今現在、なんらかの理由で聖域に立ち入るのを禁止されている状況。

僕は嫌な予感を感じながら不安を振り払うのだった。



___________________________



事情聴取を早くも抜け出した俺は情報収集をしつつ町中を探索していた。

色々と質問されたが嘘に真実を少し混ぜた説明(力技とも言う)をして納得してもらった。エルム兄妹との話し合いの時はお茶目な言い訳をしながら説得力のある説明をするはずだったが、その前にティナが睨みを利かせて断言したから二の次を言えずに話を流すことにしたが。


今俺は数は少ないが冒険者らしき奴らをチラホラと見かけては事情聴取中に聞いた冒険者、特に魔道士を含むパーティは襲撃されやすい話の裏付けを取るために話しかけていく。

事情聴取中に聞いた冒険者が襲われる話で、その中に高確率で魔道士が含まれているのを知った。もちろん魔道士がいない冒険者パーティも被害者にいたが、無事にこの町にたどり着いているパーティの方が多い。

ここ二週間でそのことに気がついた勘の良い者が多く、積極的に魔道士を襲うために誤魔化す理由で魔道士がいないパーティも襲い、無差別に襲ってるように見せてると推察している。だが魔道士を襲う理由はまだ不明らしい。

そこに聖域に立ち入ることができない事態が発生。だがこれは四日前から起こったことで、さらに立ち入るには特殊なアイテムと合言葉が必要で魔道士を襲う事件とは関係有るかは判らないとのこと。

この両方の出来事のおかげで魔道士襲撃事件で回復アイテムの消費が多く、そして聖域に入れないから回復アイテムの材料が手に入らなくて、この町の商人は儲けているけど生産が追いつかず品切れを起こしてる状態らしい。


「この場合、魔道士襲撃と聖域封鎖の両方は関係有るような気がするな。魔道士に関係することを聖域内で起こして、同じ魔道士に感知されない・・・いや、邪魔されないように始末してるってとこか?」


あくまで予想だがこの考えがしっくりくる。まぁ「ご都合主義乙」な考えなのは確かだが。

そんな考えをしていると一人の少女がこちらに近づいてくる。見た感じ小学年の10歳前後だろうか。


「ねぇ、そこのおじさん」


「ん?なんだい。俺になんか用か」


「さっきおじさんにこの手紙を渡してって門兵のおじさんに言われたの」


・・・俺の今の年齢考えたら見た目二十代ぐらいでも、おじさん呼ばわりされてもなんか気にならないんだよなぁ。などと思いつつ、ポケットから手紙を出して差し出す少女を見る。


「ああ、わざわざありがとな。・・・でも、受け取るわけにはいかないなぁ」


「え?なんで受け取らないの?」


「だってな?薄っすらと血の匂いを纏う子(・・・・・・・・)からなんて、危なくて受け取れないじゃないか」



次の瞬間、少女は目を細めると纏う雰囲気が変わる。



「へぇ・・・。お兄さん、けっこう鼻が良いんだね?」


「同業者紛いのことをしたことがあるからねぇ」


「同業者紛い?ふーん、変わった人だね」


「まぁね?で、君は『ダーデス』の関係者かな」


「そうだよ。フロムスから貴方宛てのお手紙をわざわざ届けにね」


「・・・あの銀髪くんか。内容は?」


「招待状。要訳すると是非聖域まで来てねってことが書いてある。お兄さん、いったい何をしたの?フロムスが貴方に興味津々だったよ」


俺は顔を顰める。俺に興味津々って俺に何があると思った。だが、もしかして空間転移に興味持たれたか?と思うと考えが甘かったと思わざるえない。転移したときエルム兄妹が空間転移になにも言わず反応がなかったので、この世界に移動系の魔法があると思っていた。もしそうじゃなかったら観察が甘すぎた。

失敗は成功の元と、とりあえず今度は気をつけることにして口を開く。


「俺は別に何もしていないはずだ。それより君たちはドリアードの聖域でなにしてんだよ」


「ふふ、気になる?でも教えないよ。知りたいなら、せ「行く理由がないから行かね」に行く・・・え?」


「俺は旅人でね、この町にふらりと立ち寄っただけで聖域に入るために来た訳じゃない。なんでその招待状は受け取らんよ」


仕事じゃないんだし、面倒ごとにわざわざ招かれたくはない。自分から首を突っ込むのは別だが。


「・・・断るとどうなっても知らないよ?」


「ああ。国に関わる問題じゃないかぎり俺にとって問題はないから。それにフロムスの方からやってきた場合は―――別に、フロムスを倒してしまっても構わんのだろう?」


死亡フラグ?大丈夫、慣れてっから平気だ!

少女は何か呆れてるのか、やれやれと首を振ってる。


「フロムスを殺せると思ってるの?あまり、私達を甘く見ない方がいいよ」


「俺もそれなりに強いと自負はしているがな。それに、わざわざ変装してるのに手抜きしてるんじゃ甘く見ちゃうよ?」


少女が驚いた顔をすると俺を警戒の眼差しで睨んでくる。それに倣いこっちも警戒していつでも逃げ出せる用意をする。この場合、下手すると変質者扱いで叫ばれて悪者にされるからだ。知恵の回る子供が正義、やり難い世の中よ?頭の良い子供の相手は。


「何時、判ったの?確かに私の変装はフロムスからの急な頼みだったから簡単なものだけど、それでも手を抜いていない判り難いものよ?」


「答えとしては最初から。俺は職業に便利屋をしている者でね、いろんな仕事をしてるんだよ。その中には変装しての仕事もある。・・・あまり甘く見るなよ?」


俺の手持ちの技能(特殊能力)には『変装術』と『なりきり』がある。そしてこの子が俺を甘く見て油断しながらやって来たから見破れた。

逆にこの子の油断がなければ変装を見破れなかったかもしれない。魔法で姿を変えてるわけじゃなさそうで、実年齢は分からんが見た目相応だと10歳前後の子供だ。それがあんな死臭と言える血の匂いを薄っすらと纏ってる。かなり裏の世界に馴染んでいると見た。

俺の方が強いと思わせて警戒させると同時に売り言葉に買い言葉と言い返したが、纏う匂いを消してしっかりとした変装をし、本気で挑まれたら次から見抜けるかは分からない。


お互いにジッと睨みながら(傍から見れば見つめ合いながら)数秒して、少女の方が顔を逸らして踵を返して離れていく。その去り際に少女は呟くように告げる。


「・・・ラミィよ。私からもお兄さんをドリアードの聖域に招待させてもらうわ。待ってるからね?」


そして名前を告げると真っ直ぐと歩き去り、俺の視界から消えた。

・・・いやな、暗殺組織の強そうな人物二人に招待されるなんてどんだけよ?あの二人の琴線に触れるようなことしたか?個人的な誘いならホモにロリは対象外なんでパスだ。組織的な誘いならさっさと別大陸に渡ったほうがいいと思える。

何かしらに対する引き運が悪いのは自覚してるが、ホントに着いた早々トラブルがやってくる。さっさと手持ちのクズ宝石をこの世界のお金に換金して、あの兄妹と合流するか。


このあと俺はエルム兄妹と合流せずに町を離れていれば良かったと、後に後悔するのだった。

次回は説明回の予定です。


今のところ物語は一章ずつで終わらせる予定で、現代からSF、ファンタジーまでを取り扱おうと思います。

けれども今のうちに言っておくと内容に付いては自分が戦闘物ありきでしかできないので、ファンタジーでの政治関係や恋愛物のやり取りなどの描写は期待しないで下さい。

歴史にも疎いので昭和や中世以降を題材にした内容も無理があるかと思います。


それでも「見てやんよ」と思ってくださるのなら、どうかよろしくお願います(礼)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ