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信頼の絆 ~終わり無き永遠の旅へ~  作者: 黒衣の旅人
異世界 ディアスガルド編
2/5

第一話

(さて、新しい世界に到着してすぐにこうなるとか・・・。どうすっかなこの状況?)


いきなりこの世界の魔法を受けたのはビックリした。だが俺が身に着けてる服や装備は伊達じゃない。

格好は上から下まで黒一色で黒シャツに黒ズボン、おまけに漆黒と言える深い色の黒いロングコートだ。上下の服は高い耐熱性に耐電性と耐刃性、耐弾性を持つ科学世界での最高品。

それと同じ素材で出来てるロングコートは魔法世界で改造して内側の影を使って異空間収納ができる、四次元ポケットならぬ四次元コートだ。おかげで物を持ち歩かなくて助かる。


ゆっくりと立ち上がると服の汚れを払い落として周囲を見渡す。状況的に俺の後ろにいる二人を襲っているようだな。かなり驚いた雰囲気を出していた覆面の男たちはすぐに冷静になって殺気を放ちつつ俺と後ろの二人を包囲してくる。・・・錬度が高いな。


「なぁ、あんたら暗殺者とかか?盗賊にしちゃ動きに無駄が無い。俺にも殺気を向けてるが、見たものは逃がさないってやつ?」


「・・・キサマ、なぜ中魔クラスを受けて平然としている?何者だ、答えろ」


「いや、俺の質問無視で問い返しかい。フードのあんたがボスか?別に答えてやってもいいが、答えたら見逃がしてくれるのか?」


「・・・・・・」


沈黙して答えないフードの男。「中魔クラス」というのは魔法用語だろう。その情報以外は会話にならないと肩を落として後ろの二人をちらりと見る。ボロボロで立っているのが精一杯だが、それでも俺と覆面の男たちを警戒して見据える少年。その少年を後ろから支えてる杖を持った少女。二人とも若いのにしっかりしてるように見える。


「(あっちは警戒してるな、いきなり現れたから無理も無いが。状況的に二人に手を貸した方が得か)

・・・そこの少年。君らの味方になろうか?どうやら相手さん、俺もタ-ゲットにしてるようでね。どうだい?」


「えっ・・・?」


味方になると言われて少年が小さく目を見開く。覆面の男たちの味方をしてもいいが今後を考えるとメリットよりもデメリットの方が高いだろう。こいつ等の存在から少年らも不安はあるが、メリットは覆面たちよりは高い。それに子供を助ける方が良い人に見えるっしょ?


「俺が怪しく見えるのは仕方ないが・・・死にたくない、死なせたくない。そう思ってんじゃね?」


グッと押し黙る少年。躊躇や迷うのも仕方ないが、さすがに相手も待ってはくれない。刃物を持つ3人の男が動く。一人が剣で二人がナイフを持って俺に襲い掛かる。俺は慌てずに両拳の骨をゴキリ、ゴキリと鳴らす。


「(覆面の奴らでフードの男が一番強いな。さて、武器持ち相手に素手で戦う格闘術はと・・・)」


長く生きてはいるが未だに大まかにしか強さが分からん。まぁ普通はそれが当たり前だが。ゲームにあるステータス確認とかの物はどの世界にもなかった。やっぱ探索が進んでない階層世界の深い所だろうな。っと、攻撃してきたからそろそろ真面目に対応するか・・・。



___________________________



「つ、強い・・・」


死に掛けた僕は突如上から降りて・・・と、いうより落ちてきた黒服の人に助けられた。服の色から奴らの仲間かと思ったが、どうやら違うようで奴らと戦い始めた。

相手の攻撃を掻い潜り、手足や顔を狙って素手で反撃、今一人の男からナイフを奪って即座に首を切り裂いた。彼が奴らとグルになって芝居をしている可能性もあったが、それは魔法封じ(サイレント)で魔力と口を封じられている妹が否定する。

彼女は僕が知る魔道士の中でもっとも優秀だと言える力を持ってる。僕らの先生である賢者オースト様が後継者に選ぶほどだ。魔道士としての勘なのだろう、なら僕は信じてみる。


僕たちはこの森の先にある町を目指して移動していた。

人と自然が共存する《森の町フォレストレア》、そこの領主と会うためだ。森には魔物が巣食ってるのが当たり前だが、ここは森の精霊ドリアードの宿る古大樹が近くにあるおかげで魔物はおとなしく、この森一帯が聖域みたいで安全なんだ。・・・それが油断を呼んでしまった。


突然の覆面の男たちの襲撃を受けて僕たち二人と仲間の冒険者二人が引き離されてこうして追い込まれてしまった。覆面の男たちの数は多くて二十人近くは居たと思う。その大半が逃げることにした僕たち二人を追いかけてきて、その途中で妹はフードの男からサイレントの魔法を受けた。

魔力を強化する魔道杖を持っていないし詠唱がほとんど聞こえなかったから、フードの男の実力は間違いなく魔道Aランクだろう。黒服、いや黒衣の人は素手で覆面の男たちを相手にしてるが、魔道Aランクのフードの男には勝てないかもしれない。・・・だが、強力な炎の中級魔道のフレイムボールを複数受けて彼が無事だったことを僕は失念していた。



___________________________



「さすがに無手で倒すには無理があったな」


さまざまな武術を織り交ぜた徒手空拳で戦うが、本来は武器を使った方が得意なので達人レベルの実力は俺には無い。カッコいいとか使えれば便利だといった考えだから中途半端なんだよな。

そんなことを思いつつ隙を作らせて奪ったナイフを詠唱していた一人に向けて投擲する。詠唱中は動けないのか避けるのが遅れて男の胸にナイフが突き刺さり絶命する。これで八人目を仕留めた。

人の命を奪うのは躊躇はしない、それ以前になんとも思わない。長すぎる年月は十分に俺の心を麻痺させる時間があった。人の身で六千年の歳月は狂ってもおかしくはない。それなのに精神が病まないのは不老不死の原因の一つのせいだ。


「おいアンタ、もう半分が脱落したぜ。そろそろ撤退した方がお互いに損はないと思うけど、どうする?」


暗殺者集団だと考えられるこいつ等を逃がすのは悪手なのは分かってはいるが、これ以上の関わりも不味いだけだ。到着そうそう俺に目をつけられるのはごめんだ。


「・・・・・・障害になる者は早々に排除する。狙うは一つのみ」


フードの男が手を上げると残りの覆面たち八人が俺を無視して後ろの二人を狙いに動く。

俺が妨害に動く寸前、フードの男が何かを呟くと手を振り下ろすのが見えた。咄嗟に地面に転がる倒した奴の剣を蹴り上げて持ち、上に向けて投げると姿勢を低くする。すると落雷が投げた剣に墜ちて激しい電撃音が鳴り響く。

動作パターンから勘で動いたが大当たりだった。相手は避けることを考慮してたのか続けざまに火球を五発放ってきた。つか森の中で簡単に火の魔法を使うなよ。


プロだからこそ退けないのか、それともどうしても殺す理由があるのか、二人を見捨てて逃げることもできるがせっかくの出会い人だ。助けるために少し本気を出そう。


「・・・詠唱破棄、《アクアウォール》。彼の者を戒めろ《チェーンバインド》。自己ブースト、『スピードアップ×3』」


俺の前に水の壁が現れて五つの火球を防ぎ、フードの男の周囲からいくつもの鉄の鎖が飛び出して相手の身体を絡めとって動きを封じる。

驚愕するフードの男を無視して両袖から出した投擲用の投げナイフを三本ずつ両手に持ち、少年たちを攻撃する寸前の奴らに振り向きざまに非常に速い速度で一本ずつナイフを投げつける。その中でも魔法使いがめんどいから最優先に必殺狙いで倒し、投げナイフが頭部や背中に命中して死んだ魔法使い四人。残りは剣持ち二人の腕に当てて邪魔をする。

そして不意を衝かれて驚き動きを止めたナイフ持ち二人に速攻で接近し、翻したコートと背中の間に影を作ってそこから取り出した装飾のない鍔無しの刀、長脇差(長ドス)の抜刀で一人、返す刃の袈裟切りでもう一人を切り捨てる。


これだけで一分も経ってないと思う。


「ば・・・馬鹿、な・・・。何をした?何を使ったキサマっ!?」


驚愕しきって叫ぶフードの男。俺は手早く残っていた剣持ち二人の首を刎ねる。これだけ斬った突いたをしたせいで辺りは血の臭いが酷くなっているな。

最後の一人となったフードの男は鎖に縛られつつも呪文の詠唱をするが、この世界に類似するものがあるかは知らないが魔法の使用の際に魔力を感じたので魔力封じ(マジックジャマー)効果のアイテムを取り出して投げつける。


「雷鳴よ、我が敵貫き・・・ぐっ!つ、貫き破壊せよ!《ブラストボルトッ!》」


・・・・・・何も起きない。俺は男に近づいていく。


「・・・なっ、魔法が発動しない?まさか、さっきぶつけたのはサイレンスの魔道具だと?」


「終わりだな。最後にお前らの正体とあの二人を襲ってた理由を教えてくれると嬉しいんだが?」


「クッ・・・、これまでか」


そう言ったフードの男は俺の目の前で突如として死んだ。調べると即効性の毒物で自害したようで、抵抗したり隙を窺って逃げるとかをすると推察してたがこれには拍子抜けた。

この世界の情報を知りたいから後で記憶を読み取る魔法を使おうと思ったんだがねぇ・・・。最後まで会話が繋がらない奴だった。


「まぁ結局、これ以上の関わりは不味いとか思いながらも全滅させちまったな。こいつ等があそこまで狙う二人に興味が出たから仕方ないが」


長脇差をコート裏に仕舞いつつ後ろを振り返る。そこには呆然として立っている少年とこちらをジッと見つめる少女がいた。この後彼らと話し合おうと思うが・・・さてね、どんな話となるかな?

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