プロローグ
(注)初心者なので下手糞な文面やご都合主義なこともあると思います。読み辛かったり展開がおかしい場合があるので苦手な方は注意してください。
世界は大きい。世界は広い。
人はその大きく広い世界の中で生きて、だが『世界』のすべてを認識しているのは誰もいない。いや、一握り位はいるか?
次元の壁、次元の海を隔てて存在する異世界。
もしもの、ifなる可能性の並行世界。
異世界のような横では無く、縦の繋がりで存在する階層世界。
それ以外にも数え切れない様々な『世界』がある。
俺の名前は黒守 歩。そんな様々な世界を渡り巡って旅をしている。
俺はもう結構長く旅をしているな。最後に数えた年数は六千年は経ってて、渡った世界で手に入れた物や技術に魔法も数知れず。・・・言っとくが、俺は人間だからね?うん。ワタシニンゲンヨ?
メタいこと言うとチート、ていうかバグキャラだ。プロフは地球生まれの日本人。黒髪黒目、目つきはキリッとしてるが顔は平凡。身長は175cm前後、当時の年齢は二十代前半だったはず。
一般人だった俺がどうしてこんな存在になったかというと、勇者として異世界に召喚されて、魔王の城に行ったら邪神が居た。な、何を言って(ry ・・・まあ簡単に説明したらこうなる。その邪神のせいで不老不死の状態にされて、呪いのような状態を何とかするために旅を始めて今に至ると。
さて、俺の詳しいことは追々語ろう。今は・・・
「いつになったら出口に着くんだぁーーーー!!!」
・・・今は出口が恋しいです(泣)
俺は別の世界に自由に移動する力を持っているのだが、移動手段がワープや瞬間移動のようにパッと移動したり船や飛行機のような乗り物とかではなく、ただ延々と時間を掛けて歩き渡るしかない。
歩いてる場所は上も下も無い、赤だったり青だったり黒やら紫やらの周囲の色が常に変わる足場も分からん異次元の中だ。初めて通った時はおっかなびっくりで頭がおかしくなりかけた。馴れって怖いね。
いつぐらいか試しにワープ系の移動を使ったら力が四散するように弾かれ、乗り物は特別な処置をしないと入った途端に動かなくなる。その処置も色々手順と手間隙を掛けて行うんだが、別の世界で何度も壊れる出来事があって今では歩いたほうがマシと徒歩で移動している。
今向かってる先は異世界だ。最近は科学技術が発達した世界を中心に並行世界を廻ってたから久々にファンタジーな世界に行こうかと思ったが・・・長い、道のりが長すぎる。いつもだったら一週間位でたどり着くが、もう一ヶ月は彷徨ってる。一週間以上も掛かることは珍しくないため、余裕を持たせて二週間分の食べ物を準備してるが、予備の食料も含めてこのままじゃ食料が尽きてしまう。
「まったく、俺に飢え死ねってか?空間に異常は見えないから向かってる先に何かあると思うが・・・どうすっかな。このまま進むか別の世界に行くか、う~む」
少し歩く速度を落としつつ悩んで腕を組む。休む時以外で下手に立ち止まるといつの間にかどこかの世界の近くに流されてしまう。他世界に続くこの空間はほんとに不思議空間だ。時に人や物が、時に魔物やモンスターと言える化け物が、いろんなのが迷い込むことがある。神隠しの原因の一つだ。
「・・・しかたない。あと少し進んで出口が無いなら別の世界に行くか」
考えた末に答えを決定するとまっすぐ先に進む。
行ったことがある世界なら目に見えない旗やブイみたいなのを残しておけばそれを辿ってまた行くことができる。行ったことのない世界ならどこにたどり着くかは完全にランダム。今回は後者の方だ。途中で考えを変えて他の世界に行くことは偶にあるが、今回は手ごたえはあるのにたどり着く時間が掛かりすぎてるのが珍しかったので進むことにした。
それからしばらく進むとやっと出口である空間の歪みを見つけた。この歪みに特定の力を一定量注げばその世界の扉となる。
それ以外だと大きな力をぶつけて無理やり開くか、地震と同じように長い時間を掛けて歪みが大きくなって割れる空間の裂け目がある。まぁ空間の裂け目なんて滅多に起こらないし、大半が人知れずに発生してすぐに直ってしまうから知らないのが普通だが。
「やれやれ、やっと見つけた。時間掛けさせてくれたな・・・新しい世界にご対面っと」
やっと着いたと安堵しつつ空間の歪みに手をかざす。そして歪みに力を送ると穴が開き、人一人が通れる大きさまで広がる。それを潜り抜けて新しい世界に入ると・・・
「・・・・・・あら?」
晴れ晴れとした良い天気。下には緑が生い茂った森が見える。そう・・・下にである。
出たくない場所No.3の海や空の上に出てしまったようだ。出る場所の指定はできなくはないが、基本はどこに出るかは不明だ。こんな場合に備えてあらかじめ防御魔法や飛行魔法の準備をするのだが、うっかり忘れていた。なので・・・
「あらぁぁぁぁーーーーっ・・・・・・!!!??」
重力に引かれて落ちるしかなかったのである。
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「はぁ・・・はぁ・・・くそ、一体何者だ貴様たちはっ」
「・・・お前たちはよくもった方だが、ここまでだ」
日の光が差し込む森の中で大樹を後ろに右手に剣を持つ傷だらけの少年と、少年が守るように背後に庇ってる杖を持つ少女の二人。
その二人を布で顔を隠してる十数人の黒ずくめの男たちが囲んでいる。男たちは各々が剣にナイフに杖を持ち、リーダーらしきフードを深く被る男が死刑宣告をする。
「・・・やれ」
フードの男が短く告げると剣とナイフを持つ数人の男が素早く動く。少年はそれに対し果敢に前に出て、手に持つ剣で相手の斬撃を受け流し、左手に持つ小型の盾でナイフの一撃を防ぐ。
隙があれば反撃したいところだが相手の数は多く、それでいて連携が上手くて隙も無い。これ以上前に出ると少女が危険に晒される。このままだとダメージが蓄積する一方だが、打つ手が無い少年に焦りがでる。そのため瞬時に後退した覆面の男たちに反応が後れて、杖を持つ数人の男が詠唱したフレイムボールが一斉に襲い掛かる。
(・・・避けきれないっ!)
たとえ避けても後ろの少女に・・・魔法を封じられた妹に当たってしまう。これまでかと思った、その時。
バキバキバキッ!!
「ギリギリで受身を取r・・・ぶがぁっ!」
突然上から振ってきた、黒ずくめの男たち以上の黒服姿の人物にフレイムボールが複数命中する。
木の枝の激しい音と共に現れた人物に唖然とする全員。少年少女の二人と覆面の男たちの間に仰向けに倒れてプスプスと黒煙を上げる人物は、勢いよくガバッと上半身を上げる。
「・・・・・・まさか出たくない場所No.3とNo.2のダブルとは恐れ入ったよ」
出たくない場所No.2は巻き込まれる恐れがある戦場や戦闘中の所だ。覆面の男たちはフレイムボールを受けてなんともなさそうな相手に驚愕し、少年少女の二人は突然の事態に混乱する。
これが今回の黒衣の男と金髪の兄妹との出会いと旅の物語である。