第四話 初めての戦闘、そして覚醒
今回以降、ジョブにルビを振ってみたいと思います。
例えば、蓮なら「剣士」で、カノンは「槍使い」。
シリアは、ルビが思いつかないので「勇者」のままで
カノンが仲間に加わり、俺達三人は現在風上に向かって歩いていた。
なぜ、風上に向かって歩いているかというと、それは一時間程前に戻る。
「で、昨日言ってた作戦てなに?」
シリアがこっちに向かって、質問を投げかけて来た。
「あぁ、それなら風上に向かって歩くだけだ」
「え?なんで?」
「植物系の魔物が原因なら、ソイツの花粉が俺達の方向感覚をなくしてんだろ?」
「それしか、考えられないんだけど……それが?」
「だから、花粉を遠くまで飛ばすには、ソイツから風が吹き出してるはずだ」
「そんなこと出来ひんのちゃうか?植物系なんやで」
「まぁ、もしそうじゃなくても、風上に向かってずっと歩いてりゃ、森抜けれるだろ」
「そーか、なるほど。レンって頭いいんやな」
「馬鹿にしてんのか?」
「んなわけあらへんよ。褒めてるんやで?」
「あっそ。んじゃま、早速行きますか」
こうして、今現在に至る。
しかし、途中で風上とは違う方向に歩いた事もあり、実際進んだ距離は大してない。
「あぁ、疲れたなぁー」
「カノン、さっきからそればっかじゃねぇか」
「いや、レンが元気なだけだから。さすがに疲れた」
「そうか?じゃ、休むか」
そう言って、俺達は近くの木にそれぞれ寄りかかって座った。
座ると、今までの疲れが一気に感じられた。
―そうか、結構疲れてたんだな、俺も
「レンてあれやな。よう見ると結構鍛えてんやな」
突然カノンが俺をなめまわすように見始めた。
「なんだよ、突然」
「いやぁ、ウチもまだまだやなぁ、思うて」
「あれでか?」
俺は今朝のカノンの槍の捌き方を思い出していた。
あれでまだまだとか、どんだけ強くなりたいんだコイツ。
すると、シリアが反論しだした。
「だいたい、鍛えてる=強いってわけないじゃん」
「まぁ、そうやけどな」
「けど、コイツの場合、鍛えてる事自体怪しいし」
「?」
「だって、傷一つないんだよ?」
「それはまた、珍しぃーな」
そんなに珍しいことか?普通だろ。
「あのな、鍛えてるっても、剣を使うのは初めてなの」
「えぇ!?」
「ホンマか!?」
「あったりまえだろ。同じぐらい重さの竹刀とかなら、握ってたけど」
まぁ、ハンデとかによく使ってたし。
「ま、そんなことより、さっさとこの森を抜けようぜ」
「そうね」
「そうやな」
俺達は再び歩き出した。
風上に向かって歩くってのは変わらない。
なかなかにいい案だったらしいので、俺自身も満足している。
そんな風に思いつつ、歩き続けること三十分。
ようやくそれらしき樹木を、視界に入れることができた。
「あれやね」
「あれしかないね」
「あれ以外ないっしょ」
その樹木は一目見ただけでも、禍々しい雰囲気を放っているのがわかる。
さらに、ほかの樹木と比べても、幹とかがどす黒い。
「んじゃ、あれを潰せばいいんだな?」
「おそらくね」
「おっしゃ、やる気出て来たで~」
俺達はそれぞれに武器を構えた。
すると、それを察知したかのように、樹木はツタのようなものをこちらに振るってきた。
「うおぁ!?」
「あぶなっ!?」
「ちょ、待ちぃって!!」
ブンブン風を切って迫りくる、多くのツタ。
気が付けば、俺達は散り散りになっていた。
「おいっ!!大丈夫か!?」
「こっちは大丈夫っ!!」
「こっちもやでぇ!!」
一応大丈夫なようだが、これでは埒が明かない。
―どうすれば……!!
思考に気を取られてしまったのがいけなかった。
ブンッ!!
「ぐあっ!?」
俺は吹き飛ばされ、木にぶつかり倒れこんでしまった。
「「レン!?」」
二人の声が聞こえたが、その直後。
「きゃっ!?」
「うわっちゃぁ!!」
二人も俺と同じく吹き飛ばされているのを、視界の端でなんとか確認できた。
その時、頭に浮かんだのは、昔の紅い塊。
―嫌だ、いやだ、イヤダ ミタクナイ アカイ アカイ アカイ イヤダ ミタクナイ イヤダ
「アァァァァァァアァァァァァァァアァァア!!!!!!!!」
side シリア
「アァァァァァァアァァァァァァァアァァア!!!!!!!!」
突然だった。
私達が吹き飛ばされて、倒れこんだ時、レンが雄叫びを上げた。
「な、なんやあれ……!!」
カノンはレンが発する殺気に気圧されている。
そういう私も、気圧されている。
「……ス」
レンが何か言ってるようだが、あまり聞こえない。
「レ……レン……」
私が声を掛けようと声を絞り出した時だった。
レンの姿が掻き消えた。
side out
体が軽い。
自分の体であるはずなのに、まるで違う奴の体に乗り移ったみたいだ。
冷静な自分と、どす黒い感情を抱いている自分がいる。
自然と口が動いた。
「……コロス」
ふらりと体が揺れた瞬間だった。
周囲の風景が一瞬にして、後ろに流れて行った。
すでに、目の前にはあの樹木の太い幹があった。
その幹に何か黒い線が『視えた』。
本能的に、俺はその線をなぞるように、剣の切っ先を走らせた。
ズバッ!!
スピードと全体重を乗せ、剣を振り抜いた。
すると、幹が真っ二つに切れ、そこから紫色の霧が吹きだした。
俺はそれを無感情に見やり、そこで意識を手放した。
気が付くと目に入ってきたのは、見たこともない天井だった。
「どこだよ、ここ……」
誰に言うでもなく、呟いた。
すると、期待もしてなかった返事が帰って来た。
「ここは、シンの隣町、ムドムニの宿屋だよ」
「ようやく、目ぇ覚めたんか~?」
寝たまま横を見ると、そこにはカノンとシリアが座っていた。
「おい、やっと目が覚めたってどういうことだ?」
「……覚えてないんか?」
「……何を?」
「こりゃ、とぼけてるわけでもなさそうね」
はぁ、と溜息をつくシリア。
何なんだ……?
何を覚えてないって……?
―『……コロス』
「くっ……!?」
何かを思い出そうとした途端、鈍痛が頭に走った。
「大丈夫!?」
「どうしたんや!?」
「な、なんでも、ない……」
頭を押さえてみたが、痛みはすでに引いていた。
「もうちょっと寝てた方がいいんじゃない?」
「……あぁ、そうさせてもらう」
俺は、もう一度ベットに潜り込み、目を閉じた。
そして、眠気はすぐにやってき、俺は再び眠りについた。
さー、蓮が暴走しましたねー
それと、今回から次回予告をしてみたいと思います。
次回予告
着いた先の街で起きる騒動。
それに巻き込まれてしまった蓮達。
そこで、新たな出会いがあるとか、ないとか……
次回、乞うご期待!!




