第十話 新たな武器を探しに行こうではないか!
久しぶりの更新!
昼。俺達は今、村長の家に全員が集まっていた。
昨日はあの後、村長が村の人達を連れ、俺達を迎えに来てくれた。
そして、村長に「体を休めてください」と言われたので、昼まで寝てしまったのだった。
その後、村長に呼ばれ、俺達が集まったといった具合だった。
村長は俺達が集まったのを確認した後、話を始めた。
「レンさん、サキを助けていただき、ありがとうございました」
「いや、いい」
「サキから聞いた話だと、すごい量の魔物を倒してくださったそうで」
「ほとんどはサキが倒した。俺は何もしちゃいない」
「いえ、おそらくレンさんがいなければ、サキは死んでいました。改めて、お礼を言います」
そう言うと村長は頭を再び下げた。
「お詫びと言ってはなんですが、一つ情報を差し上げます。役に立つはずです」
「なんだ?」
「レンさんは今、武器を持っていらっしゃらないでしょう?」
「あぁ」
「ここらか一キロ程先にある洞窟に、昔からある一つの武器が眠っていると言われています」
「武器?」
「はい。しかし、その武器を見た者は今までにいません」
「どうしてだ?」
「それが、まったく見たこともない字が多く書かれており、迷宮の様になっています」
「で、それを俺が取れると?」
「はい、なんとなくですが、そう感じています」
そこまで言うと、村長は柔らかな笑みを浮かべた。
「まぁ、私の勘ですがね」
俺はみんなの方を向いた。
「どうする?」
「行ってみましょう」
「そうやな、なんか楽しそうやしな」
「た、楽しそうですか?」
「わかった。お前らがいいなら、行こう」
すぐに話はまとまり、改めて村長に向き直った。
「そういうことで、その情報、使わせてもらう」
「そうですか」
そして、俺達は早速洞窟に戻るため、村長の家を出た。
しかし、俺達が村を出ようとした時だった。
後ろから声を掛けられた。
「レン!!」
「あン?」
振り返ると、サキが立っていた。
「私も連れて行って!」
「「「えっ!?」」」
「……はぁ?」
サキが突然そんなことを言い出した。
「い、いいの?勝手に出てきて?」
「そ、そうや、村長はんに言わんでええんか?」
「そ、そうですよ?」
俺以外の三人が当然のことを言ってる。
「村長はたぶん、わかってる。だって、村長に『頑張ってきなさい』って言われたもん」
「なんだ?あの村長、未来予知の能力でもあんのか?」
どうやら、村長はもうすでに分かっていたようだ。
「それは分かった。なら、なんで俺達についてくる?」
「だって、魔王倒しに行くんでしょ?」
「ま、まぁ、そうだけど」
「だったら、レーグルにもう一度会えるでしょ」
「なるほどな」
つまり、俺達についてくれば、レーグルに会うチャンスが出てくるわけだ。
「ま、そういうことは、皆に聞いてくれ。俺はどっちでもいいぜ」
「私もいいかな。戦力が増えるのはいいことだし」
「シリアの言う通りやなぁ。戦力が増えるのはええ事や」
「な、なら僕も賛成です」
「ということは、全員オッケーってことだな」
「じゃ、じゃあ!」
「あぁ、ついて来てもいいんじゃね?ってか、これはシリアのセリフだな」
「な、なんでよ!」
「俺だってお前について行ってんだぜ?リーダーはシリアだろ」
「えぇ!?」
「ほら、早く行ってやれ。そうじゃないと洞窟いけねぇだろ」
「わ、わかったわよ……。ンンッ、えー、じゃ、サキ。今からサキも私達の仲間だよ」
「あ、ありがとう!!」
こうして、サキが仲間に加わり、メンバーは5人になった。
その後、俺達は村長の言っていた洞窟に辿り着いた。
「ここか」
「そうみたいね」
「なんや、雰囲気すごいなぁ」
「そうですね」
「私も初めて見るよ」
俺達は早速洞窟の中に入って行った。
村長の話では、迷路のようになってるようで……。
「暗っ!」
「そりゃ、そうでしょ」
「洞窟やし」
「ど、どうします?」
「タイマツは無いし……」
「私に任せなさい!」
シリアが突然得意げに(つっても、暗くて顔は見えないけど)声を上げ、ブツブツと言い出した。
すると、前方に光球が浮かんだ。
「おぉ」
「どうよ」
「すごいなぁ」
「さすが勇者ですね!」
「凄い!」
皆から褒められて、シリアはドヤ顔をしている。
「とりあえず、先に進もうぜ」
「ちょっと、レン!待ってよ」
俺が一人先に進もうとしていると、シリア達が後ろから慌ててついてきた。
しかし、ジメッとしてんな……。
そして、十分程一本道を進んでいると、二手に分かれた道が出て来た。
「どっち行くの?」
「……」
「あ、なんか書いてあるで?」
俺がどっちに進もうか考えていると、カノンが近くの壁を指差して、声を上げた。
「ん?」
そこに目を向けてみると、見慣れた文字が飛び込んできた。
「な、なんで……」
「レン?」
「どないしたん?」
近くにいたシリアとカノンが声を掛けて来た。
が、それに答える余裕が全くなかった。
「なんで、日本語が……」
そう、そこには今までに見てきたことのある、この世界の文字ではなく、日本語が書いてあった。
「レン?読めるの、コレ?」
「ウチはまったくわからんへんな」
「レンさん、読めるんですか!?凄いです!」
「読めるも何も、コイツは俺の世界の文字なんだよ……」
「え!?」
驚いたのはシリアだけだった。
なぜなら、俺が異世界から来たのを知ってるのは、シリアだけだったからだ。
「ホントなの?これが、レンの世界の文字だって?」
「あ、あぁ」
「ちょ、何の話してんねん?」
「そうですよ?」
「確かに全然わからないよ」
「あぁ、お前らは知らなかったな……俺は異世界から呼ばれたんだよ、この世界に」
「「「えぇぇぇぇ!?」」」
そりゃ、驚くのも当たり前か。
「勇者の助っ人として、呼ばれたんだと」
「そ、そうやったんか……」
「なら、何も知らなかったのって、異世界に来たからだったんですね……」
「異世界……」
三者三様の反応だった。
今はそれより、この文字がなんでここにあるのかだ……。
もう一度、そこに目を向けた。
そこにはこう書いてあった。
『汝、力を欲さば、右に進め』
右……?
俺はフラフラと右に歩みを進めた。
「レン!?」
「ちょ、待ちぃや!?」
シリア達は俺の後ろをついてきた。
その後も、何度も分かれ道が出て来た。
そのたび、壁には日本語で、どっちに進めという風に書かれていた。
―どうして、日本語が……
そして、25度目の分かれ道を進んだ。
そのまましばらく歩いていると、デカい扉の前に辿り着いた。
「ここが最後……」
「そのようね」
「じゃ、行こうよ!」
「サキに賛成や」
「ぼ、僕も」
「よし、行くぞ」
俺は扉に手を置き、力いっぱい押した。
すると、少しずつ扉が動き、中に入ることが出来た。
そこには、古びた椅子やテーブルが置かれ、簡易的な部屋の様になっていた。
そして、その部屋の中心に、鍔の無い日本刀が鞘に納められ刺さっていた。
「あれか……?」
「たぶんそうね」
「なんか、雰囲気がすごいですね……」
「エリス、怖いんかぁ?」
「そ、そんなことないです!」
「でも、なんか不気味だね……」
俺は迷うことなく、日本刀に近づき握った。
「レン!?」
「ちょ!?」
「「えぇ!?」」
そして、日本刀を握った瞬間だった。
俺の意識はブラックアウトした。
次回予告
意識を失った蓮。
目が覚めると、そこは見知らぬ場所。
そして、目の前にはロン毛の男が立っていた。
その男の正体とは?
次回、乞うご期待!