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ソプラノ  作者: BAGO
カランド
98/1013

カランド(24)

[吹雪]:「ありませんでした」

教室全体をくまなく見てきたが、鍵らしいものは見当たらなかった。

[繭子]:「やっぱりなかったか~」

[吹雪]:「確かに、マユ姉以外にも先生は来るし、それにクラスメイトもいるから誰かしらが見つけてくれる可能性は高いもんな」

[フェルシア]:「それでも声が上がらなかったってことは、そういうことよね」

[繭子]:「だよね~」

[フェルシア]:「次行きましょう? 次、マユが行ったところは?」

[繭子]:「えっと、2年D組かな。今日は1限目から授業が入ってたから」

[吹雪]:「……それだったらさっきのタイミングでそう言ってくれよ。帰って来ちゃったじゃないか」

[繭子]:「あ、そうだったね。ソーリー」

[吹雪]:「その謝り方、何かムカつくな」

[繭子]:「とか言いながらも二年D組に向かってくれるふーちゃんだった」

[吹雪]:「マンガの終わりみたいな台詞を付けんなよ」

……………………。

[吹雪]:「あっちもなかったです」

[フェルシア]:「教室って可能性は、結構低いかもしれないわね。ないとは言えないから回らざるを得ないんだけれど」

[繭子]:「ひょっとして、掃除の時間の時に、ゴミと一緒に片付けられちゃったとか!?」

[吹雪]:「それはないだろう。ストラップ2つも付けてたんだろ? 普通は落し物だって考えるはずだ」

[繭子]:「拾った少年少女が心に闇を持っていたとしたら?」

[フェルシア]:「どっかにありそうね、そういう設定のノベルとか」

[吹雪]:「――確かにそうですけど、今は問題はそこじゃなくて。そんな後ろ向きなことは気にするだけ無駄だろう。落し物入れになかったってことは、学校の何処かにあるってことだ。学校に来るまではちゃんと持ってたんだろ?」

[繭子]:「うん、ちゃんとお尻のポケットからキーホルダーが顔出してたから」

[吹雪]:「なら、単純に考えて、学校の何処かにあるってことだ。ネガティブに考えるのは禁止だ。こっちの探す気もなくなってしまう」

[繭子]:「はーい」

[フェルシア]:「……本当に、どっちが上なのか分からなくなるわね。あなたたち二人は」

[繭子]:「ワタシのほうが上だよ? スーツ着こなしてるもん」

[フェルシア]:「着こなしは特に関係ないでしょ? 物腰の柔らかさというか、バランスというか、全てにおいて吹雪くんのほうが上を言っているんだもの。他人が納得するのは困難を極めるでしょうね」

[繭子]:「そんなこと言われたって、ワタシのほうが年上なんだもん。年齢詐称だってしてないよ?」

[フェルシア]:「それは知ってるわ。でも……珍しい光景ではあるでしょうね」

[吹雪]:「プラス教師ですからね」

[繭子]:「……これ、新手のイジメ? あんまり言われると、ワタシ泣いちゃうよ? 涙は女の子の強い武器なんだよ? 泣かせたらどんな状況でも男の子が悪いんだよ? だから女の子は泣くんだよ? 自分が悪者にならないために」

[吹雪]:「……フェルシア先生。女性の涙って、そこまで深いものがあったんですか?」

[フェルシア]:「え? いや、そこまでの深さはないと思うわよ? 第一、男の子に泣かせられるようなことはされたこともないし」

[吹雪]:「てことは、今のはマユ姉の出任せですよね?」

[フェルシア]:「まあ、60%くらいはそうかしら?」

[吹雪]:「なら、よかったです」

本当だとしたら、女性に対しての考え方を改めなければいけなかっただろう。

まあ、とりあえず――。

[吹雪]:「誰もイジメてなんてねぇよ。フェルシア先生は自分の思うところを述べただけだ」

[フェルシア]:「大丈夫よ、マユが姉のほうだってことは知ってるから」

[繭子]:「……微妙に慰めになってないように聞こえるのはワタシだけかな?」

[吹雪]:「さあ、フェルシア先生次の場所に移動しましょう」

[フェルシア]:「そうね」

[繭子]:「あ~、二人ともちょっと待ってよ~。まだ場所も言ってないのに~」

……………………。


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