カランド(22)
[場所:廊下]
[繭子]:「じゃあ、ゲームスタート!」
[吹雪]:「ゲームじゃねぇだろ。もっと真剣にやれ馬鹿ちん!」
チョップ。
[フェルシア]:「さすが吹雪くんね。鋭い一撃」
[吹雪]:「まあ、慣れてますから」
[繭子]:「慣れてほしくないよー、こっちは痛いんだから~」
[吹雪]:「何度も言うが、喰らいたくなかったらそういう行いは控えろ。こっちだってやりたくてやってるんじゃないんだよ」
[繭子]:「ワタシにはイキイキしてるように見える~」
[吹雪]:「気のせいだ。それを言ったら叩かれてるマユ姉だってイキイキしてるように見えるぞ」
[繭子]:「ええ~!? そ、それはないよ~」
[フェルシア]:「マユ、意外とそういう気を持ってるのかもしれないわね?」
[繭子]:「ちょ、ちょっとフェル!? 変なこと言わないでよ~」
[フェルシア]:「嘘ではないんじゃないの? 自分の胸に聞いてみないと分からないわ」
[繭子]:「ワタシは……違うと思うよ」
何でそんなに自信なさそうに言うんだ。
[繭子]:「そんなことはいいの~。話を元に戻そうよ~」
[吹雪]:「最初におちゃらけた雰囲気にしたのは誰だよ?」
[繭子]:「誰なの~?」
[吹雪]:「ユーお前だよ。つまんないボケをかましてんじゃねぇよ」
目の前でグーを作ってやると、マユ姉は目をつぶって頭を抑えた。
[繭子]:「……あれ? ――ひゃっ!?」
頭に手を置くだけにしてやった。
[吹雪]:「ほら、さっさと本題に入れ」
[フェルシア]:「教師が生徒に頭を撫でられるって、何だか不思議な光景ね。――私もやってもらおうかしら」
[吹雪]:「いやいやいや、そんな滅相もない」
[フェルシア]:「そう?」
[吹雪]:「フェルシア先生は先生ですし、それに……身長差もありますから」
[繭子]:「確かにフェルのほうがふーちゃんより大きいもんね~」
[吹雪]:「あんまりはっきり言うなよ」
ちょっと気にしてるんだから……。
[フェルシア]:「まあまあ気にしないで。人間身長で決まるものじゃないんだから」
[吹雪]:「そうですよね」
フェルシア先生は優しいな。
[フェルシア]:「それよりも、いい加減本題に入ったほうがいいでしょう。このままじゃあ日が暮れちゃうわ」
[吹雪]:「というか――」
既に暮れ始めていた。
[繭子]:「あ、夕焼け~、綺麗だな~」
[吹雪]:「暢気なことを言ってる場合じゃないだろう。ほら、このままじゃ、完全に夜になっちまうぞ」
[繭子]:「あ、うん。えっとね――」