カランド(19)
・職員室
[場所:職員室]
[吹雪]:「で? どうしたんだよ? 呼び出しなんてして」
[繭子]:「あー、何よーその疑ってるような目はー。今回はちゃーんと用件があって来てもらったんだからねー」t
[吹雪]:「それは裏返すと、今までは用件もなくて呼び出してたってことか?」
[繭子]:「それはそれでちゃんと理由はあるよー」
[吹雪]:「何だよ?」
[繭子]:「自分のクラスメイトとのコミュニケーション」
[吹雪]:「じゃあ俺以外のクラスメイトを呼び出せよ。俺とマユ姉はこれ以上コミュニケーションアップを図る必要はないじゃないか」
[繭子]:「それって、つまりワタシとふーちゃんは誰もが羨む素敵な結びつきがあるってこと?」
[吹雪]:「一緒に住んでるんだぞ? わざわざ学校で話をせずとも家で話せば済むことじゃねぇか」
[繭子]:「ワタシは学校でふーちゃんとおしゃべりしたいのに」
[吹雪]:「そんな暇が教師にはないだろうが」
[繭子]:「搾り出せば多少は出てくるよ?」
[吹雪]:「その時間を他の作業に当てろよ。もっと有効的な時間の使い方があるはずだ」
[繭子]:「ワタシにとっては最良の使い方なのに……」
[吹雪]:「おしゃべりは有効的とは言わない。完全に無駄な時間だ」
[繭子]:「生きていく上で、無駄な時間なんて1秒だってないよ」
[吹雪]:「……急に哲学者みたいなこと言うなよ」
[繭子]:「こうしてる今だって、ワタシの過ごした大切な時間になってるんだから」
[吹雪]:「……綺麗にまとめようとしてるんじゃねぇ。まだ本題に入ってもいないだろうが」
[繭子]:「あーん、ふーちゃんノリ悪いよ~。もっと乗っかってきてくれなくちゃ」
[吹雪]:「黙らっしゃい! そんなユルユルのノリに乗っかったところで、俺には何もメリットないんだよ」
[繭子]:「ワタシとしゃべれることはメリットじゃないの?」
[吹雪]:「今は最大のデメリットだ」
[繭子]:「が、ガーン……」
古いな、随分と……。
[吹雪]:「そんなことより、用件はなんなんだよ?」
[繭子]:「えー、もう? もうちょっとおしゃべりしてたいのに」
[吹雪]:「仕事場に私情を持ち込むのはタブーだろうが。家に帰ったら聞いてやるから」
[繭子]:「ホントに?」
何故そんなに嬉しそうな顔をするんだ?
[繭子]:「絶対だからね?」
「あ、ああ」
[吹雪]:「……じゃあ、本題ね。えっとね――」
……………………。